新・アラビア半島定点観測 前田高行責任編集

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http://mylibrary.maeda1.jp/0444MenaRank12.pdf

（MENAなんでもランキング・シリーズ　その１２）

2018.6.18

前田　高行

（君主制国家が上位を占めるMENA！）

２.　MENA諸国の２０１８年「世界平和指数」

(表http://menarank.maeda1.jp/12-T01.pdf　参照)

　MENA１９カ国１機関の中で最も平和度が高いのはクウェイトで、世界ランクでは１６３カ国中の４２位である。因みに世界で最も平和度が高いとされる国はアイスランドであり、日本は世界第９位である。

　クウェイトに次いでＭＥＮＡ第２位はUAEで同国の世界ランクは４５位、MENA第３位はカタール(世界５６位）である。４位以下は少し離れてモロッコ(世界７１位)、オマーン(同７３位)、チュニジア(同７８位)が７０位台に並んでいる。これら６か国が世界１６３か国中の上位グループに入っている。このほか世界１００位以内にあるのはヨルダン(９８位)であり、それ以外の１２か国１機関はいずれも１００位以下である。

世界１００位以内でMENA上位の国の顔ぶれを見るとチュニジア以外は全て君主制国家であることがわかる。これらの君主制国家はいずれも君主(国王または首長)が絶対的な権力を保持している。MENAは絶対君主制国家が命脈を保っている世界的にも珍しい地域であるが、そのような絶対君主制国家の平和度がイラン、トルコ、エジプト、イラクなどの共和制国家よりも高いことがMENA地域の大きな特徴である。因みに同じ君主制国家でもサウジアラビア及びバハレーンの世界ランクはそれぞれ１２９位及び１３０位であり他の君主制国家よりかなり低い。

MENA８位のアルジェリア以下の国々はいずれも世界１００位以下であり、このためMENAの平和度の世界平均ランクは１１６位と極めて低い水準にある。MENAの大国であるイラン、エジプトおよびトルコはそれぞれ１３１位、１４２位、１４９位である。

世界１４０位台にはエジプト、トルコの他イスラエル、パレスチナ自治政府、レバノンがひしめいている。イスラエルは経済、社会に関する世界ランクでは常に上位を占め、MENA諸国の中でも１，２位を争っている[１]が、平和度は世界１４６位と極めて厳しい評価である。さらにイラクは１６０位、シリアは世界最下位の１６３位であり「イスラーム国」などの過激組織と内戦状態を続けてきた両国は世界で最も平和度が低い。

因みに日本は世界９位であるが、米国は世界１２１位と中国(同１１２位)よりも低い。

なお平和指数ランクでは安全度に応じてVery high(非常に高い), High(高い), Medium（中程度）, Low(低い)及びVery low(非常に低い)の５段階に分類されている。日本はVery highであるが、MENA地域ではクウェイト、UAE、カタール、モロッコ、オマーン及びチュニジアの６カ国がHighにランク付けされている。またヨルダン及びアルジェリアはMediumとされ米国及び中国も同じ範疇である。そしてサウジアラビア、イラン、エジプト、イスラエル等はLowレベルとされ、トルコ、リビア、イエメン、イラク、シリアの５カ国は最も低いVery lowのレベルとされている。

 (続く)

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