2018年07月16日
UNCTAD「世界投資レポート2018年版」(6)
(MENAなんでもランキング・シリーズ その4)
2018.7.16
前田 高行
2.FDIアウトバウンド(FDI Outflows, 対外直接投資) (続き)
(資本の動きが活発なイスラエルとUAE!)
(2)主要国のFDI Inflows(FDIインバウンド)とFDI Outflows(FDIアウトバウンド)の差
(図http://menarank.maeda1.jp/4-G02.pdf 参照)
トルコ、エジプト、イラン、イスラエル、サウジアラビア、UAE及びカタールのMENA主要7か国のFDIインバウンド(FDI Inflows、1-(1)参照)とFDIアウトバウンド(FDI Outflows、2-(1)参照)を比べると各国ごとの特徴が見受けられる。
イスラエル、トルコ、エジプト及びイランの4カ国はFDIインバウンドがFDIアウトバウンドを上回っている。特にイランはFDIの流入(インバウンド)が50億ドルに対し、流出(アウトバウンド)はゼロであり、またエジプトも74億ドルの流入に対し流出は2億ドルにとどまっている。イスラエルは流入と流出の差が7カ国の中では最大であるが(127億ドル)、流出(190億ドル)、流入(63億ドル)と双方向の動きが活発である。同じようにUAEも流入額104億ドルに対し流出額140億ドルと出入りの動きが活発であったが、イスラエルとは逆に流出が流入を上回り、差し引き36億ドルの流出超過となっている。
中東の経済大国の一つであるトルコは、FDI流入(インバウンド)額は109億ドルでイスラエルに次いで多いが、FDI流出額は26億ドルにとどまっているため、差し引きで82億ドルの流入超過になっている。これとは反対に比較した7カ国の中で流出超過額が最も大きいのはサウジアラビアの42億ドルである。同国の場合、アウトバウンド56億ドルに対してインバウンドは14億ドルにとどまっている。同国はこれまでインバウンド額が80億ドルから100億ドルを超える水準を超えていたのであるが、2017年は極端に減少している。アウトバウンド(流出)額はほぼ例年並みであったため流出超過額が42億ドルと7カ国の中では最も多くなっている。
UAE及びカタールはサウジアラビアと同様豊かなオイルマネーがあるため、資本の流入が流出を上回り余剰資金が海外に向かう傾向が強く見られる。中でもUAEは資本の流入と流出が活発であり、流入額104億ドルはトルコとほぼ同額であり、流出額140億ドルはイスラエルの2倍以上と際立って高く、資本の動きが極めて活発であることを示している。UAE自体の原油生産量はサウジアラビアをはるかに下回り、国内にも目立った産業は乏しいが、周辺国を含めた外国人投資家の金融センターの役割を果たしていることがインバウンド、アウトバウンドの金額から読み取れる。
(続く)
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