2018年07月26日
UNCTAD「世界投資レポート2018年版」(13完)
(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0447MenaRank4.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その4)
2017.8.7.26
前田 高行
(2) 2000-2017年末のFDIアウトバウンド残高の推移
(まだまだ少ないが徐々に存在感を増すMENAからの対外投資!)
(a)MENAのFDIアウトバウンド残高
(表http://menarank.maeda1.jp/4-T08.pdf 参照)
2000年末のMENAのFDIアウトバウンド残高は合計273億ドルであったが、世界全体に占める割合は0.4%であり、外国直接投資(FDI)の出資国(FDIアウトバウンド国)としての存在感は殆どなかった。その後FDIが世界的規模で拡大する中でMENA諸国の投資額は世界の伸びを上回って増加、2010年末の対外投資残高は2,600億ドルとなり、2012年末には3千億ドルを超え、2017年末の残高は5,181億ドルに達して全世界に占める割合も1.7%となりMENAの対外投資における存在感も少しずつ高まっている。因みに2017年末のMENAの対外投資残高は日本及び中国(1.5兆ドル)の3分の1強であり、米国(7.8兆ドル)の15分の1である。
(2014年にイスラエルを追い抜きトップを走り続けるUAE!)
(b)主要6カ国のFDIアウトバウンド残高の推移
(図http://menarank.maeda1.jp/4-G05.pdf 参照)
2017年末のFDIアウトバウンド残高上位6カ国(UAE、イスラエル、サウジアラビア、カタール、トルコ及びクウェイト)について2000年以降の残高の推移を見ると、2000年の対外投資残高は最も多いイスラエルが91億ドル、それに次ぐサウジアラビアが53億ドル、トルコ37億ドルであり、UAE、クウェイトの湾岸産油国の残高は20億ドル未満にとどまり、カタールはわずか1億ドル弱に過ぎなかった。
その後2010年末には6か国とも残高は100億ドルを超え、イスラエルとUAE両国の残高は500億ドルを突破している。その他の国の残高もクウェイト282億ドル、サウジアラビア265億ドル、トルコ225億ドル、カタール125億ドルと急増、特にUAE、クウェイト、カタールの湾岸産油国は20倍~100倍の急激な拡大を見せている。
2010年2013年にかけては各国とも残高は増加したが、2013年以降はクウェイトが年々減少している。またトルコも2014年以降は停滞気味である。これに対してUAEは直線的な増加傾向を示し2010年の556億ドルから毎年100億ドル以上残高が増加し続け、2017年には2010年の2.2倍の1,244億ドルに達している。
イスラエルは2000年末残高91億ドルが2010年末には679億ドルに増加し、2013年までMENAのトップであった。その後はUAEに次ぐMENA2位の地位を保っており、2017年末の残高は1,038億ドルである。
サウジアラビアとカタールも躍進が目覚ましく、カタールの場合1億ドル未満に過ぎなかった2000年末の投資残高が2010年には125億ドルに急成長、さらに2017年末の残高は529億ドルと7年間で4倍に増えている。サウジアラビアは同一期間内に265億ドルから796億ドルへと3倍に増加している。
クウェイトのアウトバウンド投資残高は2013年の372億ドルをピークに減少し続けており2017年末の残高は306億ドルである。トルコの場合は2010年末の225億ドルから2014年末に396億ドルまで増加した後、ここ数年は400億ドル前後で推移している。
以上
(MENAなんでもランキング・シリーズ4 海外直接投資 完)
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