2018年10月22日

世界主要国とMENAのGDP成長率 ・ 一人当たりGDP(IMF 2018年10月版)(1)

IMF(国際通貨基金)では毎年4月および10月に世界各国の経済見通しWorld Economic Outlook Database (WEO)」を発表しており、今年10月版(以下WEO2018Oct)がインターネット上に公開された。

URL:

https://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2018/02/weodata/index.aspx

 

この中にはGDP成長率、ドル建て・各国通貨建てのGDP金額、一人当たりGDP、貿易額、財政収支など数多くのデータがあり、特に当年度或いは次年度の経済成長率は官庁、メディア等々で広く引用されている。

 

 ここでは2016年から2020(予測)までのGDP総額及び一人当たりGDP(いずれもcurrent price, ドル建て)を取り上げ、また成長率については前回の20184月版(以下WEO2018Apr)と比較して世界主要国およびMENA諸国の経済状況の変化を検証する。

 

(世界平均を下回るMENAの成長率!)

1.2018/19年の経済成長率

(http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)

(http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-01.pdf 参照)

(1) 世界および主要地域・国の経済成長率

 IMFは今年(2018年)の世界の経済成長率を3.%と見ており、来年(2019)も今年と同じ3.7%と予測している。地域別に見るとASEAN5か国は今年の5.3%から来年は5.2%とやや下向く見通しであり、EUも同じく今年の2.2%が来年は2.0%に低下する見通しである。

国別に見ると今年より来年の成長率の低い国が多く、日本は1.1%0.9%、米国は2.9%2.5%といずれも0.20.4%低下し、中国は6%台の高い成長率を維持するものの今年の6.6%に対し来年は6.2%に低下する見通しである。これに対してインドは今年の成長率は7.3%であるが、来年はさらに高い7.4%と予測している。

 

(2)MENA諸国の経済成長率

IMFによればMENA(中東北アフリカ地域)の成長率は今年の2.4%に対し来年は2.7%に上昇すると見込まれているが、両年とも世界平均の成長率を1%以上下回っている。国別にみると今年はイラン(-1.5%)とイエメン(-2.6%)がマイナス成長率であるが、それ以外の国はいずれもプラス成長と見込まれている(シリアはデータなし)。

 

各国の中でリビアの今年の成長率は10.9%と際立って高い。但し同国の経済成長見通しは毎回大きく上下に振れ、同国のGDPを左右する石油の生産量が内戦状況で大きく低下しているため、二桁成長が可能か否かは疑問である。

 

MENAの大国であるトルコ、イランおよびエジプトの今年・来年の成長率はトルコが3.5%0.4%と大きく低下し、またイランは-1.5%-3.6%とマイナス成長がさらに悪化する見通しである。これに対してエジプトは5.3%5.5%とかなり高い成長が持続すると見込まれている。トルコとエジプトの今年の成長率はMENA平均(2.4%)を上回っており、来年はトルコが減速、エジプトは好調を続けるものと見込んでいる。

 

歳入のほとんどを石油・天然ガスに依存しているGCC諸国は今年の成長率がUAE 2.9%、カタール2.7%、クウェイト2.3%、サウジアラビア2.2%といずれも2%台の成長率である(オマーンは1.9%、バハレーンは3.2)GCC6カ国の平均2.5%でありMENA平均(2.4%)とほぼ同じ水準である。2019年についてバハレーンを除く5カ国は今年を上回る成長率が見込まれており、6カ国平均は2.5%→3.4%に改善する見込みである。

 

(続く)

 

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        前田 高行         183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

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drecom_ocin_japan at 16:53コメント(0)MENA  

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