2018年10月31日
世界主要国とMENAのGDP成長率 ・ 一人当たりGDP(IMF 2018年10月版)(5完)
5.世界および主要地域・国のGDP成長率の推移(2016~2020年)
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-11.pdf 参照)
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-04.pdf 参照)
(世界の平均成長率は3%台後半で推移、中国は6%台を維持!)
(1)世界および主要な地域・国
2016年(実績)から2020年(予測)までの5年間の経済成長率の推移を見ると世界全体では3%台で推移しており今年及び来年は3.7%である。
地域別で見ると2016年に4.9%の成長率を達成したASEAN-5か国はその後も他の地域を大幅に上回る成長率を示し、今年及び来年は5.3%及び5.2%と予測されている。産油国を多く抱えたMENA地域は石油価格によって影響を受けやすく2016年の5.1%が2017年には一転して2.2%に急落、その後は穏やかな成長路線に戻り、2020年には3.0%になると予測されている。
日本の成長率は2016年の1.0%が2017年には1.7%に上昇したが、2018年以降、2020年までは1.1%→0.9%→0.3%と連続して低下する見通しである。日本の成長率は以下に述べるとおりインド、中国にははるかに及ばず、米国、ドイツなどと比べても見劣りする低い水準にとどまっている。
米国の経済は先進国の中でも特に好調であり5年間を通じてほぼ2%台の成長を維持し、特に今年及び来年は2%台後半の成長率が見込まれている。中国は2016年から2020年までの5年間を通じて6%台の高い成長が続くと見られているが、その成長率は2017年の6.9%から年々低下し来年は6.2%と予測されている。これに対してインドは5年間で7.1%(2016年) →6.7%(2017年) →7.3%(2018年) →7.4%(2019年) →7.7%(2020年)と2017年以外は中国の成長率を上回り、2017年を除き毎年7%以上の高い成長を維持している。ロシアは2016年(▲0.2%)はマイナス成長に陥ったが、2017年以降はプラス成長に転じ、2019及び2020年は1.8%の成長率が見込まれている。
(成長率急低下のトルコ、暗雲たれこめるイラン!)
(2)MENA諸国
2018年のGDPがMENA最大のサウジアラビアは原油価格下落の影響を受けて2017年は▲0.9%のマイナス成長に陥った。今年はプラス成長に戻り2020年まで2%前後の成長が見込まれている。サウジアラビアに次ぐMENAのGDP大国トルコは2016年3.2%→2017年7.4%→2018年3.5%と高成長を続けてきたが、来年(0.4%)及び再来年(2.6%)は成長が鈍化する見通しである。
サウジアラビアを含むGCC6か国の平均成長率は2.9%(16年)→0.2%(17年)→2.5%(18年)→3.4%(19年予測)→2.9%(20年予測)と2017年を底に回復すると予測されている。同じ産油国でもイランは2016年には12.5%の高い成長を達成したが、2018年、2019年は2年連続してマイナス成長に陥り、2020年にようやく1.1%のプラス成長に回復する見通しである。
(完)
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