MENA

2018年11月20日

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(MENA
なんでもランキング・シリーズ その15)

 

5.主要国の分野別競争力(レーダーチャート)

(図http://menarank.maeda1.jp/15-G02.pdf 参照)  

 MENAの主要5カ国(エジプト、トルコ、サウジアラビア、イスラエル及びUAE)と日本、米国、中国の分野別競争力を比較してみる。ここではこれら7か国を総合世界ランクが近い国同士で3つのグループに分け、レーダーチャート図によって各国の競争力の特徴を比較検討する。

 

レーダーチャート図は最も外側が世界順位1位であり内側の中心は世界151位である。また最上段の総合順位以下時計周りの1から12の数字は各分野を示している。各分野の世界順位を結ぶ輪が各国の状況である。レーダーチャートの輪が外側に広がっているほど世界での順位が高く、また輪の形が円に近いほど各分野で平均した競争力があることを示している。

 

(1)イスラエルと米国、日本の比較

 まず米国(総合世界1位)、日本(同5位)とイスラエル(同20位)を比較すると、米国は「4.マクロ経済の安定性」(34位)と「5.健康」(47位)が大きく落ち込んでいるが、12項目中の8項目は世界のベスト・テンに入っており、また3項目は世界1位である。これに対して日本は米国同様「4.マクロ経済の安定性」が大きく落ち込み世界41位にとどまっているが、「2.インフラ」など7項目が世界のベスト・テンに入っており平均した競争力を持っていることを示している。

 

MENA1位、世界20位のイスラエルは「11.ビジネスダイナミックス」が世界10位以内であり、また「5.健康」、「8.労働市場」、「12.イノベーション力」が世界20位以内であるなど高ランクの項目が多く、「10.市場規模(世界56位)」を除くすべての項目が世界40位以内であり一部の分野では世界的な競争力がある。

 

()UAE、中国とサウジアラビアの比較

 次にUAE、中国およびサウジアラビアを比べると総合順位はそれぞれ27位、28位、39位でありUAEと中国はわずか1ランクの差である。UAEは「4.マクロ経済の安定性」が世界1位であり、中国は「10.市場規模」が世界1位と、それぞれの特色が表れている。その他の項目では「1.制度機構」がUAEの19位に対し中国は65位とUAEの方がかなり競争力が高い。これに対して「5.健康」分野では中国44位、UAE79位と中国が優位に立っている。その他の分野ではそれぞれ一長一短である。サウジアラビアは両国に比べて各分野の競争力が劣っており、特に「8.労働市場」(世界102位)及び「11.ビジネスダイナミズム」(世界114位)の分野でUAE或は中国と大きな格差がある。

 

(3)トルコとエジプトの比較

 トルコとエジプトは共に人口7千~8千万人を有するMENAの大国である。両国の総合ランクはトルコ61位、エジプト94位と大きな格差がある。両国は「4.マクロ経済の安定性」がそれぞれ世界116位、同135位と極めて低く、また「8.金融システム」も共にランクが低い(111位及び130位)。唯一世界順位が高いのは「10.市場規模」であり(トルコは世界13位、エジプトは24位)、これは人口が多いことによるものである。両国を比較するとすべての分野でトルコがエジプトを上回っているが、「5.健康」分野でトルコが世界48位に対しエジプトは99位と両国の格差が大きい。

 

()

 

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2018年11月19日

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日本が5位に躍進:世界競争力ランキング(2018年版) ()

(MENAなんでもランキング・シリーズ その15)

 

4.MENAの分野別競争力(続き)

(表http://menarank.maeda1.jp/15-T03.pdf 参照)

(7) 製品市場(Product market)

世界11位のUAEMENAトップである。カタール(世界25位)、バハレーン(同28位)がこれに続いているが、UAEとはかなりの開きがある。MENA4位以下はサウジアラビア(同32位)、オマーン(同33位)、イスラエル(同41位)、クウェイト(同69位)であり、これら以外の国は世界ランクの下位グループとなる。主要な国とその世界順位はトルコ76位、エジプト121位、イラン134位などである。

 (参考:米国3位、日本5位、中国55位)

 

(8)労働市場(Labor market)

この分野のMENA諸国の世界ランクは概して低く、平均は98位であり、12分野の中では最も低い。イスラエルは世界ランク15位で非常に良いがMENA2位のUAEの世界ランクは42位であり、バハレーン、カタールが50位前後で続いている。そしてMENA16か国中10カ国は世界ランクが100位以下である。例を挙げればサウジアラビアが102位、トルコ111位などであり、エジプト、アルジェリア、イランは世界130位台にとどまっており、イエメンは世界最低ランクの140位とされている。

 (参考:米国1位、日本18位、中国69位)

 

(9)金融システム(Financial system)

この分野ではイスラエルが世界ランク22位でMENAのトップである。これに次いでUAE、ヨルダン、バハレーン及びカタールが世界30位台に並んでいる。その他のGCC各国はサウジアラビアが45位、クウェイト48位、オマーン56位である。またMENAの大国であるトルコは65位であるが、イランは98位、エジプト99位である。

(参考:米国1位、日本10位、中国30位)

 

10)市場規模(Market size)

 市場規模の競争力ランクは人口と購買力、特に人口の多さがランクに反映する。また産油・ガスの歳入が多い国は購買力も高い。このためこの分野ではMENAの一部の国が世界ランクの上位に顔を出している。例えば、トルコは世界13位であり、サウジアラビア17位、イラン19位の3か国が世界20位以内に入っている。また人口は少ないが豊かな産油国であるUAEは中継貿易基地として中東・中央アジアおよび東アフリカ地域を市場に取り込んでいることが世界28位の評価につながっている。これに対してクウェイト(54位)、カタール(51位)など人口が少なく、対外貿易規模の小さい産油国は市場規模での競争力は低い。

(参考:米国2位、中国1位、日本4位)

 

(11)ビジネス・ダイナミズム(Business dynamism)

 ビジネス・ダイナミズムはイスラエルが世界5位である。これに続くのはUAEであるが世界ランクは33位であり大きな格差がある。さらにMENA3位以下はカタール(世界40位)、オマーン(同52位)、バハレーン(同54位)GCC各国が続くが、同じGCCでもクウェイトとサウジアラビアはそれぞれ世界96位、同114位でありビジネスのダイナミズムがかなり低いと評価されている。なおトルコ、エジプト及びイラン各国の世界ランクはそれぞれ76位、97位、119位である。

(参考:日本14位、米国1位、中国43位)

 

(12)イノベーション力(Innovation capability)

 イノベーション力の高さでMENAトップのイスラエルは世界16位である。同国に続くのはUAE及びカタールであり、それぞれの世界ランクは35位と37位、さらにサウジアラビア(41位)となっており、この順位は総合順位と同じである。世界140カ国の上位に入っているのはこれらの国々の他、トルコ、ヨルダン、レバノン、エジプト及びイランの合計9か国である。一方100位以下の国はクウェイト(103位)、アルジェリア(106位)、イエメン(133位)の3か国がある。

(参考:日本6位、米国2位、中国24位)

 

(続く)

 

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2018年11月15日

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(MENA
なんでもランキング・シリーズ その15)

 

4.MENAの分野別競争力

 冒頭に触れた通り世界競争力指数は「制度機構」から「イノベーション力」まで12の分野について世界140カ国を順位付けている。分野毎のMENA各国の世界順位は概略以下のとおりである。

(表http://menarank.maeda1.jp/15-T03.pdf 参照)

 

(1)   制度機構(Institutions)
MENAトップはUAEで世界順位は19位であり、同国に次ぐのはイスラエル(世界26位)である。MENA3位以下は世界30位台にカタール(同31位)、オマーン(同36位)、サウジアラビア(同39位)が並んでいる。さらにバハレーンが42位であり、これにヨルダン、モロッコ及びクウェイトを加えた9カ国が世界140カ国の上位グループに入っている。9カ国中の6カ国はGCC諸国であり、MENA地域ではGCCが高い競争力を有している。MENA3大国のトルコ、エジプト及びイランの世界順位はそれぞれ71位、102位、121位である。
(
参考:日本20位、米国13位、中国65位)
 

(2)   インフラ(Infrastructure)
UAEは世界15位であり評価が高い。これに次いで世界20位台にイスラエル(20位)、オマーン(24位)、カタール(26位)の3か国がリストアップされている。さらにMENA5位以下はバハレーン(世界30位)、サウジアラビア(同40位)と続き、50位台にはトルコ、クウェイト、モロッコ、エジプトの各国が続いている。
(
参考:日本5位、米国9位、中国29位)

(3)   情報通信技術(ICT adoption)
ICTの分野ではUAE(世界6位)及びカタール(同9位)が飛び抜けており、バハレーン(同38位)、イスラエル(同39位)との格差は大きい。他のGCC諸国はサウジアラビアが54位、オマーン61位、クウェイト62位である。またトルコは71位、イラン80位、エジプトは100位である。 なおこの分野では中国がわずかながら米国を上回っている。

(参考:日本3位、米国27位、中国26位)

(4)   マクロ経済の安定性(Macroeconomic stability)
この分野ではUAE、サウジアラビアおよびクウェイトが世界1位に並んでいる。世界有数の産油国であるこれら3カ国は堅調な石油価格のおかげで財政が安定していることが高く評価されたものと思われる。同じGCCの天然ガス生産国カタールは世界40位と前記3か国に後れを取っているが、これは同国がUAE、サウジアラビアなどの経済封鎖を受けていることが影響しているものと見られる。

MENA諸国の中でも非産油国は世界ランクが非常に低く、トルコは116位、イラン117位であり、エジプトは135位と世界140カ国の最低ランク圏に位置づけられている。またGCC加盟国ではあるが、非産油国のバハレーンは財務状態が極めて悪くこの分野の世界ランクは119位とされている。

日本、米国、中国はいずれもこの分野では世界ランクが低く、また日本は中国を下回っている。

 (参考:日本41位、米国34位、中国39位)

(5)   健康(Health)
健康分野のMENAトップはイスラエル(世界11位)で、これに続くのがレバノン(世界37位)である。この分野ではGCC各国の世界ランクは高くなく、クウェイトの世界38位がトップであり、カタール(同40位)、サウジアラビア(同64位)、オマーン(65位)、バハレーン(74位)である。他の項目で他のGCC諸国を大きく引き離しているUAEのランクは世界79位と、GCCの中では最も低い。 (参考:日本1位、米国47位、中国44位)

(6)   技能(Skill)
この分野ではイスラエルが世界14位と高い評価を受けており、これに続くバハレーン(世界28位)との格差は大きい。MENA3位以下にはサウジアラビア、オマーン、カタールが世界30位台に並び、UAEは世界53位である。地域の大国トルコ、イラン、エジプトの順位はそれぞれ77位、91位、99位である。
(
参考:日本26位、米国3位、中国63位)

(続く)

 

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2018年11月14日

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3-2 MENA3カ国と米国・日本・中国の比較(2014年~2018年の推移)

 MENAのサウジアラビア、トルコ、UAE3カ国と米国、日本、中国の過去5回の競争力順位を比べてみる。

(http://menarank.maeda1.jp/15-G01.pdf 参照)

 

米国の2014年の順位は世界3位であったが、5年間の順位は3位→3位3位→2位→1位であり、毎回高い競争力を維持するとともに年々その地位がアップ、今回は世界1位に選ばれている。これに対して日本は6位→6位8位→9位→5位と10位以内を維持しており今回は過去5年間で最高のランクである。

 

UAEは2014年は世界12位であり、その後の3年間は若干ランクが落ちたものの20位以内をキープしていた。しかし今年はランクが大幅に下落し27位に下がっている。その結果中国との格差がなくなった。因みに中国は5年間を通じて27、28位である。UAEと同じGCCの産油国であるサウジアラビアは2014年は24位であり、中国を上回っていたが、その後は毎年ランクを下げ、2016年には中国に追い抜かれて29位にとどまり、さらに今回は世界39位に陥落している。

 

トルコの場合2014年の順位は45位であったが、その後51位→55位→53位と3年連続で50位台にと染まっていた。しかし今回(2018年)は61位に下落している。国内経済は安定しているが、隣国シリアの内戦が影を落としており、また米国による経済制裁など対外的な問題を抱えていることがトルコの競争力低下の要因の一つであると思われる。

 

(続く)

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2018年11月13日

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3.過去5回の順位の推移

3-1 MENA各国の順位の変遷(第14回~第18回)

(表http://menarank.maeda1.jp/15-T02.pdf 参照)

第14回(2014年)から第18回(2018年)までの競争力ランクの推移を見ると、第14回から第16回まではUAEとカタールが連続して世界20位以内に入り、両国で毎年MENAのトップを競っていた。昨年の第17回ではUAEは引き続き20位以内にとどまったが、カタールは25位に落ち、替わってイスラエルがUAEを抜いて16位となりMENAトップの座についた。今年の第18回では前項で述べた通り3か国は一斉に順位を下げ、イスラエルはかろうじて20位になったものの、UAEは27位、カタールも30位に転落している。

 

これら3カ国に続くのがサウジアラビアであるが、同国は第14回の世界24位以降、毎年連続して順位を下げ今回は世界39位にとどまっている。GCC6カ国の中で過去3年間で唯一順位を上げているのがオマーンである。同国の2014年の世界順位は46位であったが、その後2年連続で順位が落ち2016年には66位までさがった。しかし2017年には62位に回復、今回(2018年)は一挙にランクを15位上げ世界47位と5年前の状態に戻している。バハレーンは40位台を維持し続けてきたが今回は50位にランクを下げ、またクウェイトは2015年の世界34位をピークに4年連続で順位を下げ、今回は5年間で最も低い世界54位となっている。このようにGCC6カ国はいずれも今年の順位が5年前を下回っているもののMENAの上位を独占している。

 

GCCとイスラエルに次ぐ競争力を維持しているのはトルコであり、2014年以降今回までの世界順位の推移は、45位→51位→55位→53位→61位である。またヨルダンは64位→64位→63位→65位→73位、モロッコは72位→72位→70位→71位→75位とそれぞれ世界60位~70位台を維持している。

 

5年間を通じて競争力の調査対象国数は137~144カ国でありイスラエルからトルコまでの8カ国は5年間を通じて世界の上位クラスに入っている。上記以外の主な国の順位の変遷を見ると、イランは83位→74位→76位→69位→89位であり昨年69位まで上げた順位が今年は一挙に89位に下落している。またエジプトは119位→116位→115位→100位→94位と、昨年まで万年100位以下であったが、今回は94位にアップし、5年前に比べるとランクが大幅に上昇している。

 

(続く)

 

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