MENA

2018年01月15日

 

2018.1.15

前田 高行

 

1.ソブリン格付けについて

ソブリン格付とは国債を発行する発行体の信用リスク、つまり債務の返済が予定通りに行われないリスクを簡単な記号で投資家に情報提供するものである。「ソブリン格付け」は、英語のsovereign(主権)に由来する名称であり、国の信用力、すなわち中央政府(または中央銀行)が債務を履行する確実性を符号であらわしたものである。ソブリン格付けを付与するにあたっては、当該国の財政収支の状況、公的対外債務の状況、外貨準備水準といった経済・財政的要因だけでなく、政府の形態、国民の政治参加度、安全保障リスクなど政治・社会的要因を含めたきわめて幅広い要因が考慮される。

 

このようなリスク情報を提供しているのが格付け会社であり、全世界には多数の格付け会社があるが、その代表的なものはStandard & Poors(S&P)Moody’s 及びFitchRatingの3社である。3社で世界のシェアの9割を占めており、特にS&PMoody'sは各々40%前後のシェアを有している。

 

格付け3社はそれぞれ独自の格付け記号を用いており、S&Pでは最上位のAAAから最下位のCまで9つのカテゴリーに分けている。これら9段階のうち上位4段階(AAAからBBBまで)は「投資適格」と呼ばれ、下位5段階(BBからCまで)は「投資不適格」又は「投機的」と呼ばれている。なおAAからCCCまでの各カテゴリーには相対的な強さを示すものとしてプラス+またはマイナス-の記号が加えられている。カテゴリーごとに詳細な定義が定められているが、S&Pの定義では最上位のAAAは「債務を履行する能力が極めて高い」とされ、一方最も低いCは「債務者は現時点で脆弱であり、その債務の履行は良好な事業環境、財務状況、及び経済状況に依存している」である。

S&Pの格付け定義については下記参照:

http://menadabase.maeda1.jp/1-G-3-02.pdf

 

本レポートは3社の中で最もよく知られているS&Pのソブリン格付けに基づき、日米欧の先進国の他、中国、ブラジル、ロシアなどの新興国並びにMENA諸国および主要な発展途上国を取り上げた。レポートは毎年1月1日または71日時点の格付け状況について前回の格付けと比較しており、今回は2018年1月1日現在の格付けを取り上げて各国を横並びで比較し、同時に各国ごとに前回(2017年7月1日)の格付けと比較して半年の間のソブリン格付けの変化の状況を解説する。またGCC6か国及び日本、米国、英、独、ロシアなど世界9か国について2015年1月以降の3年間にわたる格付けの推移を比較している。

 

*これまでのレポートは下記ホームページ参照。

http://mylibrary.maeda1.jp/SovereignRating.html 

 

(続く)

 

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2017年12月22日

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MENAなんでもランキング・シリーズ その8)

 

5.中東5カ国と日米中の要素別比較(レーダーチャート)

(図http://menarank.maeda1.jp/8-G02.pdf 参照)

 MENAの三大国(トルコ、エジプト、イラン)GCC2カ国(サウジアラビア、UAE)及びMENA平均並びに日本、米国、中国3カ国を取り上げ、総合順位と4つの分野別順位(経済、教育、健康及び政治)をレーダーチャートで表してみる。レーダーチャートは最も外側が世界1位(つまり男女格差が世界で最も小さい)であり、以下中心に向かうほど順位が低くなる(即ち男女格差が大きい)。グラフの実線が外側に広がるほど男女格差が少ないことを示し、また真円に近いほど男女格差のバランスが取れていることを示している。

 

(1)  チャート1(トルコ、エジプト、イラン)

 トルコ、エジプト、イランは総合順位が世界131位、134位、140位といずれも低いランクにとどまっている。4つの分野の中では3カ国とも経済分野の男女格差がおしなべて悪く、また政治ランクもイランが136位、エジプト119位、トルコは116位にとどまっている。教育分野は3カ国とも100位台で(トルコ及びイランは100位、エジプト104位)である。健康は男女格差が比較的少ない分野であり、トルコは世界59位であるがエジプトは99位、イラン135位。

 

(2)  チャート2(サウジアラビア、UAE及びMENA平均)

 総合順位はUAE120位、MENA平均127位、サウジアラビア138位である。経済分野の男女格差はUAEが130位、MENA平均は129位であるがサウジアラビアは世界144カ国中では最低レベルの142位にとどまっている。政治分野はUAEが世界67位に対しサウジアラビアは124位で、MENA平均の113位を下回っている。教育分野ではUAEは世界62位で政治分野と並び世界の上位グループに入っている。健康分野はMENA平均が104位であるが、サウジアラビアおよびUAEは共に127位と低く、両国では男女間の格差が大きいことを示している。

 

(3)  チャート3(日本、米国、中国)

 総合順位では米国が49位であるのに対して、中国及び日本はそれぞれ100位、114位にとどまっており特に日本のランクの低さが目立つ。米国は教育の男女格差が世界1位であるが、その他の分野は経済の男女格差が世界19位、健康格差は世界82位、政治格差は世界96位である。中国は経済及び政治の分野では日本を上回っているが、教育及び健康の分野では日本を下回っており、特に健康の男女格差は世界最低の144位である。総合順位114位の日本は健康分野が世界1位でるが、経済及び政治の男女格差は米国及び中国よりも遅れており、特に政治分野の男女格差は世界123位であり、中国の77位、米国の96位を大きく下回っている。

 

(完)

 

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2017年12月20日

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MENAなんでもランキング・シリーズ その8)

 

4.2013~2017年の総合ランクの推移

 2013年から2017年までの5カ年間のMENA各国の順位の推移を追うと概略以下の通りである。

 

(1)   MENAでは5年連続でイスラエルがトップ、イエメンが最下位

(http://menarank.maeda1.jp/8-T03.pdf 参照)

 5カ年を通じてイスラエルは常にMENA1位であり、しかも世界50位前後とMENA2位以下が全て100位以下であるのに比べ大きな開きがある。MENA2位は2013年はUAEであったが、その後2年間はクウェイト、そして2016年はカタール、今回はチュニジアと目まぐるしく交代している。

 

これに対してイエメンは5年間を通じて常に世界最下位であり、シリアも世界順位が133位(13年)→139位(14年)→143位(15年)→142位(16年)→142位(17年)と低下、イエメン(144位)との差が殆ど無くなっている。またイランも過去4年間は140位前後にとどまっている。

 

(2)MENAの世界順位は毎年徐々に悪化

(図http://menarank.maeda1.jp/8-G01.pdf 参照)

 UAE、サウジアラビア、エジプトの3カ国とMENA平均に日本及び中国2カ国を加えて過去5年間の男女格差世界順位の推移を比べると中国の順位の下落が顕著である。中国は2013年には世界69位であったがその後87位(14年)→91位(15年)→99位(16年)→100位(17年)と毎年下がり続けている。

 

MENAの世界平均順位も118位(13年)→124位(14年)→128位(15年)127位(16年)→127位(17年)と最近3年間は120位台後半で低迷している。これを指数で見ると0.6953(13年)→0.6119(14年)→0.612(15年)→0.613(16年)→0.614(17年)と2014年以降は毎年ほんの僅かながら改善している。MENA諸国の平均順位が上がらないのは、改善のペースが世界の平均以下にとどまっていることを示している。

 

 サウジアラビア、エジプトおよびUAE3カ国の過去5年間の世界順位はUAEが109位(13年)→115位(14年) →119位(15年)→124位(16年)→120位(17年)であり、13年から16年までは下落する一方であったが今回は若干アップしている。またサウジアラビアも127位(13年)→130位(14年)→134位(15年)→141位(16年)→138位(17年)とUAEと同様の傾向楚示している。エジプトは125位(13年)→129位(14年) →136位(15年)→132位(16年)→134位(17年)であり2013年から2015年までは下落傾向を続けその後は少し改善し、過去2年間はサウジアラビアを上回っている。

 

日本は2013年が105位でありそれ以降も100位以下に低迷、前回111位、今回114位と2年連続で最低記録を更新している。中国は過去5年間で凋落が顕著であり2013年の69位から87位(14年)→91位(15年)→99位(16年) →100位(17年)と下がり続け、ついに100位以下に転落した。但しそれでも日本よりは常に上位である。

 

(続く)

 

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2017年12月18日

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3.分野別順位 (続き)

(http://menarank.maeda1.jp/8-T02.pdf参照)

(3)健康・寿命分野の男女格差

 この分野の特徴は世界的に見て男女格差が比較的少ないことである。指数の最高は0.980であり世界34カ国が同じ指数である。そして最も低い中国の指数は0.918であり、トップと最下位のポイント格差は0.062にとどまっている。この分野は前述の教育分野以上に男女格差が小さく、経済格差の場合トップのブルンジの0.911に対し、最下位のシリアの指数が0.274であることと比べ各国間の格差が非常に小さい。このためわずかな差で順位が大きく変わることとなる。

 

MENA諸国の中ではシリア(指数0.980)が世界のトップグループに入っている。これに次ぐのがトルコ(同0.977)、チュニジア(同0.975)、イスラエル及びエジプト(同0.971)、レバノン及びアルジェリア(同0.970)、クウェイト及びヨルダン(同0.969)等の国々である。これに対してカタール、サウジアラビアおよびUAE(同0.965)、バハレーン(同0.961)等の湾岸産油国は医療福祉制度が充実しているにもかかわらずエジプトよりも男女格差が大きいという意外な結果を示している。これは湾岸産油国では制度が男性優位のまま発達しているのに対し、エジプトでは制度が未発達のため男女の格差がかえって小さいという逆説的な状況を示しているためと言えよう。

 

 日本の指数は0.980であり他の国々と並んで世界1位である。詳細を見るとこの分野は二つの項目(新生児の男女比率及び男女の平均寿命)によって指数が算出されており、日本の場合平均寿命は女性が男性を上回るため指数は1.060であるが、新生児の男女比率は男性が女性を上回っているため指数は0.944となっている。

 

(4)政治分野の男女格差

 この分野は世界各国の政治体制の違いに左右される面が大きい。またこの分野はトップのアイスランドの指標が0.750、米国が0.124であるなど上記の健康・寿命指標に比べて世界的に指標値が低く、また各国間の格差が大きい。MENA各国の指標もトップのイスラエルですら0.232にとどまり、指標0.1以下の国が世界全体の4分のⅠ弱の34カ国に達する。因みに日本は0.078(世界123位)であり中国は0.160(同77位)である。

 

 MENA諸国間の比較で男女格差が少ないと評価されているのは、イスラエル(世界47位)のほかチュニジア(同55位)、UAE(同67位)、アルジェリア(同86位)などであり、反対に格差が最も大きいのはイエメンの144位、すなわち世界最下位である。UAEを除くGCC各国はカタールが最下位から2番目の世界143位にとどまっているほか、サウジアラビア(同124位)、バハレーン(同137位)、クウェイト(同141位)など軒並み世界順位が低く男女格差が大きい。

 

 政治の男女格差は女性の国会議員、閣僚及び過去50年間の女性元首(首相等)の在任期間でランク付けされているため全体的に各国ともスコアが低く、また同じ先進国でもヨーロッパに比べ日米のランクが低い結果となっている。

 

(続く)

 

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2017年12月17日

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MENAなんでもランキング・シリーズ その8)

 

3.分野別順位

(http://menarank.maeda1.jp/8-T02.pdf 参照)

 経済、教育、健康・寿命及び政治の四分野ごとに見たMENA16カ国の順位は以下のとおりである。

 

(1)   経済分野の男女格差

 経済分野の男女格差がMENAで最も小さいのはイスラエルで、同国の世界順位は65位である。同国以外のMENA15か国は全て世界100位以下である。120位のバハレーンに始まり、カタール(同122位)、クウェイト(同125位)GCC諸国が続いている。総合順位138位のサウジアラビアはこの分野では142位である。経済分野のMENAの平均世界順位は129位となっており、総合の平均順位とほぼ同じである。MENAでは経済分野における男女格差が大きいと言えよう。

 

因みにこの分野における日本の世界順位は114位であるが、詳しい内容を見ると女性管理職のランクは世界79位、専門技術職の世界ランクは101位であり女性の専門分野進出の道が狭い。また賃金の男女格差は世界平均を上回る52位である。

 

(2)   教育分野の男女格差

 教育分野ではイスラエル及びカタールの指数が1、すなわち男女が完全に平等であるとされている。MENAでイスラエル、カタールに次ぐのはクウェイト及びヨルダン(共に世界51位)であり、さらにUAE(同62位)が世界144か国の上位グループに入っている。これに続くのはバハレーン(同75位)、サウジアラビア(同96位)、チュニジア(同99位)までが世界100位以内である。世界順位100位以下ではイラン、トルコ(共に100位)、エジプト(104位)、アルジェリア(107位)、レバノン、シリア(共に109位)が100位台にひしめき合っている。

 

この分野のMENAの平均世界順位は83位である。実は世界的に見てこの教育分野の男女格差は小さく、スコアが1.000の国(即ち男女格差が全くないか、または女性の方が教育度の高い国)が34カ国もあり、イスラエルのスコアは1.000に対して世界104位のエジプトでもスコアは0.960である。

 

 日本は文盲率、初等・中等教育は男女に差が無いが、高等教育に男女格差がありポイントが0.991である。この結果日本の世界順位は74位とされ、この分野ではごくわずかなスコアの差で順位が大きく上下することがわかる。

 

(続く)

 

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