MENA

2017年04月24日

MENAなんでもランキング・シリーズ その12)

 

2017.4.24

前田 高行

 

(94位から117位まで6年連続で下がるMENAの世界平均順位!)

4.2011年~2016年の世界順位の推移

(図http://menarank.maeda1.jp/12-G01.pdf 参照)

(http://menarank.maeda1.jp/12-T03.pdf 参照)

 ここではMENA7か国(カタール、UAE、サウジアラビア、イラン、エジプト、トルコ、シリア)とMENA平均並びに日本について2011年から2016年までの順位の変動を見てみよう。

 

 2011年は「アラブの春」の騒乱が発生した年であるが、この年の7カ国の世界順位はそれぞれ、カタール12位、UAE33位、エジプト73位、サウジアラビア101位、シリア116位、イラン119位、トルコ127位であり、カタール及びUAEは世界50位以内、トルコが7カ国の中では最もランクが低かった。しかしエジプト及びシリアは2011年以降急速に世界ランクが下落し続け、エジプトの場合は73位(2011年)→111位(2012年)→113位(2013年)→143位(2014年)→137位(2015年)→142位と2012年には世界100位以下になり、その後もランクの下落傾向が止まらず140位前後にとどまっている。またシリアの世界ランクも急激に落ち、2013年以降は4年連続で世界最下位となっている。

 

 地域の大国トルコ及びイランはエジプトほどではないが、トルコは過去6年間では2011年の127位が最も高く今回は140台半ばとなり長期低落傾向が見られる。イランの場合は2013年以降130位台にありほとんど変化がない。但し2015年から2016年にかけては改善の傾向が見られ今後の推移が注目される。

 

 カタールおよびUAEMENAの優等生であり、特にカタールは2012年まで世界15位以内の高いランクであった。しかし2013年以降両国は徐々に世界順位を下げ、2016年はカタールが世界34位、UAEは世界61位であり、特にUAEの下落が大きい。一方、同じ湾岸の王政国家であるサウジアラビアは2013年から2015年までは世界100位以内に定着していた。しかし2014年の世界80位をピークに2年連続してランクは下落、2016年は再び世界100位以下の129位に落ちている。MENAの世界平均順位は94位(2011年)→102位(2012年)→101位(2013年)→103位(2014年)→108位(2015年)→117位(2016年)と年々低下しており、MENA地域の平和が脅かされていることを示している。

 

 なお日本の順位の変遷は3位(2011年)→5位(2012年)→6位(2013年)→8位(2014年)→8位(2015年)→9位(2016年)と6年連続でベストテンに入っている。但しわずかながらも長期低落傾向が見ら、今回はベストテンぎりぎりであったことを考慮すると今後が懸念される。

以上

 

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        前田 高行         183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

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2017年04月20日

MENAなんでもランキング・シリーズ その12)

 

2017.4.21

前田 高行

 

(平和が脅かされるMENA地域、王制国家が軒並み悪化!)

3.2015年と2016年の比較

(http://menarank.maeda1.jp/12-T02.pdf 参照)

 今回と昨年の平和指数、世界ランク及びMENA各国間のランクの変動を比較してみると、まずMENAの平均指数スコアは昨年の2.336に対して今年は2.528であり0.193ポイント改善している。しかしMENA平均の世界ランクは昨年の108位から今回は117位へ9ランクも落ちている。指数がアップしたにもかかわらず順位が下がったのは、世界全体の今年の指数の上昇がMENAのペースを上回っており、MENAの平和度が低下したことを示している。

 

 これを国別に見るとMENAのうち世界順位を上げた国はチュニジア、イラン及びイスラエルの3か国にとどまり、その他16か国の世界順位は前年度と同じか又はダウンしている。中でもサウジアラビアは前回の95位から今回は129位と34位も大幅に落ちている。またヨルダン、バハレーンもそれぞれ大きくダウンしている。その他クウェイト(前回33位→今回51位)、UAE(同49位→61位)などMENA諸国の中では比較的順位が高かった両国も50位以下に落ちている。これらの国々はヨルダン以外はいずれもGCCの君主制国家である。これまで比較的安全で平和と言われたこれらGCC諸国が大きく揺れ動いていることを暗示しており、今後を注視する必要がある。

 

 トルコはスコアはアップし(2.363→2.752)安全度が増したと評価されたが、世界順位は135位から145位に下がっている。エジプトもトルコと同様の傾向を示しスコアはアップ、世界ランクはダウンしている。これに対してトルコ、エジプトと並ぶ中東の大国イランはスコア及び世界ランクともにアップしている。3か国の評価が分かれる理由は、トルコ、エジプトでイスラム過激派によるテロ事件が止まらないことに比べ、イランはテロ事件がなく、また経済制裁緩和で国内に平和の機運が高まっていることの表れと考えられる。

 

 「アラブの春」の優等生と言われるチュニジアはMENAの中で世界順位がアップした数少ない国である(76位→64位)。但しスコアはごくわずかながらもダウンしている(-0.003)。このことから今回の平和指数ランキングでは世界の上位国と下位国のスコアがかなり上昇し、チュニジアのような中位国はスコアの下落が大きかったものと見受けられる。

 

 MENAの中で世界ランクが最低クラスの国を見ると、シリアは2年連続で最下位である。イラクも連続して世界161位にとどまっている。また内戦が止まないリビアとイエメンも前回の140台から今回は150位台とさらに順位を下げ、世界で最も安全度が低い国のグループに落ちている。

 

 (続く)

 

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2017年04月18日

MENAなんでもランキング・シリーズ その12)

 

2017.4.18

前田 高行

 

(君主制国家が上位を占めるMENA!)

. MENA諸国の2016年「世界平和指数」

(http://menarank.maeda1.jp/12-T01.pdf参照)
most-dangerous-countries-in-the-world-2016 

(平和の世界地図:青色Very high、黄緑 High、黄色 Medium、オレンジ Low、赤 Very low)

 

 MENA19カ国1機関の中で最も平和度が高いのはカタールであり、世界ランクでも163カ国中の34位であり、MENA諸国の中では唯一世界50位以内である。因みに世界で最も平和度が高いとされる国はアイスランドであり、日本はデンマーク、オーストリア、ニュージーランド、ポルトガル、チェコ、スイス、カナダに次ぎ世界第9位である。

 

 カタールに次いでMENA第2位はクウェイトで同国の世界ランクは51位、MENA第3位はUAE(世界61位)である。4位以下はチュニジア(世界64位)、オマーン(同74位)でこれら5か国が世界163か国中の上位グループに入っている。このほか世界100位以内にあるのはモロッコ(91位)およびヨルダン(96位)である。

 

これらの国の顔ぶれを見るとチュニジア以外は全て君主制国家であることがわかる。これらの君主制国家はいずれも君主(国王または首長)が絶対的な権力を保持している。MENAは絶対君主制国家が命脈を保っている世界的にも珍しい地域であるが、そのような絶対君主制国家の平和度がトルコ、エジプト、イラクなどの共和制国家よりも高いことがMENA地域の大きな特徴である。因みに同じ君主制国家でもサウジアラビアおよびバハレーンの世界ランクはそれぞれ129位、132位とかなり低い。

 

MENA8位のアルジェリア以下の国々はいずれも世界100位以下であり、このためMENAの平和度の世界平均ランクは117位と極めて低い水準にある。MENAの大国であるイラン、エジプトおよびトルコはそれぞれ133位、142位、145位である。

 

世界140位台にはエジプト、トルコの他イスラエル、レバノン、パレスチナ自治政府がひしめいている。イスラエルは経済、社会に関する世界ランクでは常に上位を占め、MENA諸国の中でも1,2位を争っている[]が、平和度は世界144位と極めて厳しい評価である。さらにイラクは161位、シリアは世界最下位の163位であり「イスラム国」あるいはシーア派過激組織と内戦状態にある両国は世界で最も平和度が低いとされている。

 

因みに日本は上記の通り世界9位であるが、米国は世界103位とアルジェリアとほぼ同じランクであり、また中国はサウジアラビア(129位)より少し良い世界120位であり、いずれもランクが低い。

 

なお平和指数ランクでは安全度に応じてVery high(非常に高い), High(高い), Medium(中程度), Low(低い)及びVery low(非常に低い)の5段階に分類されている。日本はVery highであるが、MENA地域ではカタール及びクウェイトの2カ国がHighにランク付けされている他は、UAE、サウジアラビアなど7カ国はMediumとされている(米国及び中国も同じ範疇である)。そしてイラン、エジプト、イスラエル、トルコ等はLowレベルとされ、リビア、イエメン、イラク、シリアの4カ国は最も低いVery lowのレベルとされている。

 

 (続く)

 

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[] 例えばUNCTAD「人間開発指数」、WEF「男女格差」はMENA1位、世銀「ビジネス環境」はMENA2位等。

http://menarank.maeda1.jp/11-T01.pdf

http://menarank.maeda1.jp/8-T01.pdf

http://menarank.maeda1.jp/13-T01.pdf  



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2017年04月17日

MENAなんでもランキング・シリーズ その12)

 

2017.4.17

前田 高行

 

 中東北アフリカ諸国は英語のMiddle East & North Africaの頭文字をとってMENAと呼ばれています。MENA各国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。なおMENAの対象国は文献によって多少異なりますが、本シリーズでは下記の19の国と1機関(パレスチナ)を取り扱います。(アルファベット順)

 

 アルジェリア、バハレーン、エジプト、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェイト、レバノン、リビア、モロッコ、オマーン、パレスチナ自治政府、カタール、サウジアラビア、シリア、チュニジア、 トルコ、UAE(アラブ首長国連邦)、イエメン、

 

 これら19カ国・1機関をおおまかに分類すると、宗教的にはイスラエル(ユダヤ教)を除き、他は全てイスラム教国家でありOIC(イスラム諸国会議機構)加盟国です。なおその中でイラン、イラクはシーア派が政権政党ですが、その他の多くはスンニ派の政権国家です。また民族的にはイスラエル(ユダヤ人)、イラン(ペルシャ人)、トルコ(トルコ人)以外の国々はアラブ人の国家であり、それらの国々はアラブ連盟(Arab League)に加盟しています。つまりMENAはイスラム教スンニ派でアラブ民族の国家が多数を占める国家群と言えます。

 

 第12回のランキングは、NGOグループVision of HumanityThe Economist Intelligence Unit (EIU、英国の経済誌エコノミストの一部門)のデータをもとに取りまとめた「The Global Peace Index」からMENA諸国をとりあげて比較しました。

 

Vision of Humanityのホームページ:http://visionofhumanity.org/indexes/global-peace-index/

 

1.「The Global Peace Index」について

Global Peace Indexは、各国の平和の程度およびそれを維持するための機能を指数化し、ランク付けしたものである。2007年に実施された第1回調査ではその対象は121カ国であったが、その後毎年着実に増え、今回の2016年版では163カ国を対象に調査が行われている。因みにMENA諸国については19カ国1機関全てが評価付けされている。

 

平和指数はEIU社の国別調査員と外部ネットワークの協力を得て作成されている。指数は小型破壊兵器(銃、小型爆発物など)の入手の容易さ、国防費、汚職、人権に対する尊重の度合いなど24項目をベースにして作成されたものである。

 

「世界平和指数」の査定結果には以下のような特徴が見られる。

      平和の度合いは収入、教育制度、地域一体化のレベル等の指標に関連している。

      平和な国の多くは政府の透明性が高く、汚職が少ない。

      小さいが安定した国は平和のランクが高い。

 

(続く)

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2017年04月06日

(注)本シリーズは下記URLで一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0405MenaRank7.pdf

MENAなんでもランキング・シリーズ その7)

 

5.サウジアラビア、UAE、トルコ、エジプト、イラン5カ国と日米中の比較(レーダーチャート)

(図http://menarank.maeda1.jp/7-G01.pdf 参照)

 今回評価対象となっているMENA諸国のうち、UAE(世界8位)、トルコ(同60位)、サウジアラビア(同64位) 、エジプト(同144位)及びイラン(同155位)の5カ国に米国(同17位)、日本(同40位)、中国(同111位)を加えた8か国の分野別ポイントをレーダーチャートで表してみる。ここでは8カ国を以下の3つのグループに分けて比較検証を行った。なおレーダーチャートは最も外側がポイント100(満点)であり内側中心のポイントは0.0である。そして最上段のOverallが総合ポイントであり、Pillar 1からPillar 12までは第1項に述べた分野を示している。グラフの実線は外側に広がるほどポイントが高いことを、また真円に近いほど分野のバランスが取れていることを示している。

 

(1)  チャート1(世界上位グループ):UAE、米国、日本

 UAE、米国及び日本は総合ランクがそれぞれ世界8位、17位、40位であり日本とUAEはかなり差がある。分野別に見ると米国と日本はFiscal Health(Pillar 6)以外では同じような傾向を示しており、Property Right (Pillar 1)Monetary Freedom (Pillar 9), Trade Freedom(Pillar 10)では両国ともにポイントが高く、一方Government Spending(Pillar 5)ではポイントが低い。Fiscal Health (Pillar 6)では日本のスコアは9.5に過ぎず米国(53.3)よりもかなり低く、UAE(99.2)とは雲泥の差がある。日本のスコアは世界的にも極めて低く、本項で比較した8カ国の中でもエジプト(4.6)に次ぐ最低ランクである。

 

UAETax Burden (Pillar 4)及びFiscal Health (Pillar 6)2つの項目で日米を大きく上回っているが、一方Investment Freedom (Pillar 11)では日米よりもかなり悪い。3カ国の中では米国は各項目のポイントが安定しておりムラがない。

 

(2)  チャート2(中位グループ):サウジアラビア、トルコ

 世界順位60位のトルコと同64位のサウジアラビアは世界180か国の中で中の上に位置している。トルコの各分野別ポイントは60前後のものが多く、Government Integrity (Pillar 3)及びLabor Freedom (Pillar 8)が低い。そしてFiscal Health (Pillar 6) のポイントが高く全体的に均整が取れている。これに対してサウジアラビアは分野別のポイントの差が大きく、Tax Burden (Pillar 4)のようにほぼ満点の分野がある一方、Government Integrity (Pillar 3)Investment Freedom (Pillar 11)はポイント数が40台にとどまっている。レーダーチャート全体としては上記のUAEを小型化した形であり、同じ湾岸の産油国として長所、短所とも共通するところが多いようである。

 

(3)  チャート3(下位グループ):中国、エジプト、イラン

 中国(世界111位)とエジプト(同144位)及びイラン(同155位)は共に経済自由度の世界ランクが低く、特にイランは最下位グループである。分野別では3か国ともProperty Rights (Pillar 1)Government Integrity (Pillar 3)Financial Freedom (Pillar 12)のポイントが低い。これに対しFiscal Health (Pillar 6)は中国(92.5)及びイラン(94.9)が極めて高いのに対してエジプトは4.6にとどまっており格差が大きい。またInvestment Freedom (Pillar 11)についても(エジプト(55.0)に対し中国(20.0)、イラン(0.0)であり、逆にエジプトが3か国中で最も高い。

 

3か国とも項目毎のポイントに大きな差がありレーダーチャート全体の形状はUAE、米国、トルコと比べかなり歪んでいる。

 

以上

 

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