MENA

2017年05月28日

(MENAなんでもランキング・シリーズ その16)

 

2017.5.28

前田 高行

 

2.分野別のランク(続き)

(表http://menarank.maeda1.jp/16-T03.pdf 参照)

(6)   Prioritization of Travel & Tourism(旅行・観光業の優先度)

 MENA諸国の中で国策として旅行・観光業に高い優先度を置いているのはトップがヨルダン(世界22位)であり、これに続いてUAE(同31位)、レバノン(同33位)、モロッコ(同35位)、エジプト(37位)が世界30位台である。このうちUAEを除く4か国とも豊かな自然・文化遺産を有している一方、天然資源が乏しく、有力な製造業がない。また生活が必ずしも豊かでなく失業率も高いため外国人観光客の誘致が重要な政策の柱となっている。これに対してイラン(世界117位)、クウェイト(同125位)、アルジェリア(同131位)などは観光振興に対する当局の取り組みが弱いようである。

(日本18位、米国20位、中国50位)

 

(7)   International Openness(国際市場への開放度)

 この項目でMENAの1位、2位はトルコとヨルダンでありそれぞれの世界順位はトルコが50位、ヨルダンは63位である。これは世界136か国の中でも中のやや上という水準である。これに続くUAE(世界75位)は世界の下位グループであり、MENAの半数以上の国は100位以下である。因みにエジプトは102位、イランは109位である。またアルジェリア、サウジアラビア、イエメンの各国は130位台で世界最下位グループに位置づけられており、MENAの平均順位は世界101位にとどまっている。MENAのほとんどはイスラム国家であり一部の国は宗教的な制約が厳しい。また工業が未発達で旅行・観光業のようなサービス産業には中小企業が多く、国内中小企業を保護する政策が根底にあることが国際市場に対する開放を阻害しているものと考えられる。

(日本10位、米国38位、中国72位)

 

(8)   Price competitiveness in T&T industry (価格競争力)

中東・北アフリカ諸国ではUAE、サウジアラビアなどの豊かな湾岸産油国に限らず、エジプト、イエメンなど貧しい国でも食料品、ガソリン代などの生活必需品あるいはバス、鉄道等の公共交通費には多額の政府助成金が注がれており物価が極めて安い。そのような一般的状況が本項目に反映しているものと思われ、この項目は総合順位とは対照的な様相を示している。即ち国別ではイランが世界1位であり、エジプト(同2位)、アルジェリア(同4位)、イエメン(同7位)、チュニジア(同9位)と世界のベストテンに5か国が入っている。各国の総合順位はイラン93位、エジプト74位、アルジェリア118位、イエメン136位、チュニジア87位である(上記1参照)。これらの国々は旅行・観光業の優越性が価格競争力の優位性で保たれているといっても過言ではないと言えよう。

 一方先進国は物価の高さが災いして価格競争力の点で世界に大きく後れを取っており、日本は世界94位、米国は106位である。総合競争力世界1位のスペインンもこの項目の世界順位は98位と極めて低い。

(日本94位、米国106位、中国38位)

 

(続く)

 

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2017年05月24日

(MENAなんでもランキング・シリーズ その16)

 

2017.5.24

前田 高行

 

3.分野別のランク

(表http://menarank.maeda1.jp/16-T03.pdf 参照)

 冒頭に述べたように総合ランクは14項目の評価ポイントにより決められている。ランク付けされているMENA16カ国について、これら14項目毎の順位を見ると以下の通りである。

 

(1)   Business Environment (ビジネス環境)

この項目ではUAE及びカタールがそれぞれ世界136か国中の5位と6位を占めている。さらにバハレーン(世界12位)、サウジアラビア(同26位)、オマーン(同28位)も世界の上位にあり、これらGCC5か国はビジネス環境に対する評価が高い。5か国に続くのがイスラエル、ヨルダン、モロッコが世界50位以内に入っている。MENA16カ国の中でアルジェリアおよびイエメンは100位以下であるが、MENAの平均世界順位は55位であり世界136か国の平均を上回っている。

(日本20位、米国16位、中国92位)

 

(2)   Safety & Security (安全・治安)

 トップのUAEは世界2位でオマーンは世界4位、カタール10位とGCC3か国が世界のトップテンにランクされている。MENAの旅行および観光はとかく安全・治安に問題があるとみられているが、これら湾岸の君主制国家は評価が非常に高い。本項目の日本のランクが世界26位であることと比べれば3か国のランクの高さは瞠目に価する。但し、総合順位ではこれら3か国は米国、日本あるいは中国よりも低い(前項参照)。3か国はビジネス環境あるいは安全・治安では世界のトップクラスであるが、後述するようにその他の項目で米国、日本等に大きく後れを取っているのである。

 オマーンに続くのはモロッコ(世界20位)、ヨルダン(同38位)、クウェイト(同43位)、バハレーン(同47位)の各国である。これに対してトルコ、レバノン、エジプト及びイエメンは110~130位台であり安全・治安面ではレベルが低い。MENAの平均順位は69位。

(日本26位、米国84位、中国95位)

 

(3)   Health & Hygiene (衛生)

 この項目のMENA各国の世界順位はおしなべて低くトップのイスラエルが世界39位であり、カタール(世界46位)、レバノン(世界47位)と続くが、世界50位以内はこの3か国だけである。主要な観光国であるトルコ、エジプト、オマーンは60位台であり、イランが93位などいずれも衛生面の評価が高くない。

(日本17位、米国56位、中国67位)

 

(4)   Human Resources & Labor Market (人材・労働市場)

 旅行・観光の人材・労働市場の面で最も高い評価を受けたのはイスラエル(世界21位)である。このほか世界50位以内はUAE(同23位)およびカタール(同26位)の3か国のみである。トルコは世界136か国中の94位にとどまり、エジプト、イラン両国はいずれも100位以下である。MENA諸国は観光産業の人材が十分ではないと言えよう。

(日本20位、米国13位、中国25位)

 

(5)   ICT Readiness (情報インフラ)

 MENA諸国の中で旅行・観光産業関連の情報インフラが進んでいるのはUAE(世界15位)、バハレーン(同16位)であり、20位台にカタールおよびサウジアラビア、30位台にクウェイト及びイスラエルが並んでいる。情報インフラのような大きな初期投資が必要なものは財政が豊かな湾岸産油国が有利であり、トルコ(世界72位)、エジプト(同89位)、イラン(同94位)各国よりもかなりランクが高い。

(日本10位、米国19位、中国64位)

 

(続く)

 

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2017年05月23日

(MENAなんでもランキング・シリーズ その16)

 

2017.5.23

前田 高行

UAEが世界総合29位でMENAトップ)

2.2017年度の国別指数とランク

(詳細はhttp://menarank.maeda1.jp/16-T01.pdf 参照)

 ランク付けされているMENA16カ国の中でTTCI(競争力指数)が最も高いのはUAEであり、世界ランクは29位である。この他世界ランク50位以内にはいっているのはトルコ(世界44位)及びカタール(同47位)である。MENA4位以下8位まではバハレーン(世界60位)、イスラエル(同61位)、サウジアラビア(同63位) 、モロッコ(同65位)、オマーン(同66位)の5か国が世界60位台にひしめいており、これらMENA上位8カ国が世界136カ国中の上位グループである。

 

この中でサウジアラビアは名の通った歴史遺産や自然遺産は少ないが、イスラム教の聖地メッカ(マッカ)とマディナがあり、世界中から毎年数百万人のイスラム教徒が巡礼に訪れる。「巡礼」を観光とみなすか否かには異論もあるが、日本でも「お伊勢参り」が信仰を兼ねた観光旅行として江戸時代から盛んに行なわれてきたことを考えると、立派な観光資源と考えることができる。さらにサウジアラビアは2030年までの長期国家目標ビジョン2030を掲げ、その中で観光産業を経済成長の重要な柱としており、マッカ、マディナへの巡礼だけでなく、リヤドにテーマパークを開設するなど新しいタイプの観光産業に力を入れている。

 

 オマーンに次ぐMENA9位はエジプト(世界74位)である。同国の観光産業はスエズ運河通航料、海外出稼ぎ者の送金と並ぶ国家歳入の三本柱の一つであり、世界中から観光客が訪れるが、アラブの春の後イスラム政権が誕生、そのわずか1年後にクーデタで軍事政権に復帰する過程でテロが頻発し経済が停滞、観光競争力が大きく落ち込んだ。最近国内はようやく落ち着きを取り戻したが、競争力指数、世界ランクともに低迷状況が続いている。

 

イランもエジプト同様多くの観光資産を保有している。世界順位は93位とMENA諸国の中でも低位に甘んじているが、欧米諸国の経済制裁解除により今後の観光産業の復活が期待されている。 クウェイト、アルジェリア、イエメンの3カ国はいずれも世界100位以下である。

 

 因みにTTCI世界ランク1位はスペインであり、日本は4位、米国は6位である。また中国の世界ランクは15位でありMENAのいずれの国よりも順位が高い。

 

(続く)

 

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2017年05月16日

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0409MenaRank6.pdf

MENAなんでもランキング・シリーズ その6)

 

掲載日:2017.5.16

前田 高行

 

4.2013年から2017年までの順位の推移

MENA諸国の殆どは世界順位130位以下で低迷!)

(1)MENA全般の動き

(http://menarank.maeda1.jp/6-T02.pdf 参照)

 2013年から2017年までのMENA各国の世界順位の変化を見ると、今回MENAトップとなったイスラエルは順位が上昇傾向にあるとは言え世界180か国の下位グループにとどまっていることからも分かる通り、MENA20か国の中で過去5年間に100位以内だった国の数は2013年は1カ国(クウェイト)、最も多かった今回ですら3か国(イスラエル、チュニジア及びレバノン)にすぎず、殆どの国が100位以下である。さらにMENAの平均順位は5年間を通じて138位または139位であり、半数以上が140位以下、特にイラン、シリア、イエメンなどは世界の最下位グループにとどまっている。

 

 2011年のいわゆる「アラブの春」によりMENA諸国の報道の自由が進展するかに見えたが、実際には強権独裁政権が倒れた後、自由が確保されたのはチュニジアのみでありその他の国々はいずれも政治的混乱、更には内戦の勃発あるいは新たな強権政権の発足等によりむしろ報道の自由が脅かされる事態となっている。例えばリビアはカダフィ政権が倒れた後、各地の部族勢力が群雄割拠する状況で治安が極度に悪化しておりジャーナリストの安全が確保できない状況である。アルジェリアも国内の治安は良くならず自由な報道が妨げられている。シリア、イエメンなどは2013年以前から報道の自由度が世界最低水準にあり改善の兆しが見えない。

 

 そのような中でエジプトはムバラク政権が倒れたのちに新政権に就いたムスリム同胞団がわずか1年でシーシ軍事独裁政権にとって代わり現在では政治体制が安定した状況にある。軍事政権下で報道の自由が阻害されていることもあり自由度の世界ランクは低いままであるが、むしろ政治の安定がジャーナリストの安全を保障する形となり自由度が改善されると言う皮肉な結果になっている。

 

 またクウェイト、サウジアラビアなどGCC王政国家は、「アラブの春」の波及を畏れ、あるいはその後活動を活発化させているアル・カイダやIS(イスラム国)などの過激派テロの侵入を防ぐための報道管制を強めており、ジャーナリストの活動の自由が大幅に制限されている状況である。

 

 5年間で最も順位を下げた国はリビアで2013年の131位から2017年には163位と大幅に後退している。その他クウェイト(77位→104位)、カタール(110位→123位)サウジアラビア(163位→168位)など多くの国で報道の自由度が下落している。

 

(2)主要国の2013~2017年の推移

(http://menarank.maeda1.jp/6-G01.pdf 参照)

 ここではエジプト、サウジアラビア、イスラエル、カタールの4か国とMENA平均順位並びに米国及び日本の2013年から2017年までの推移を比較してみる。まず日本の場合2013年は世界53位で、その後も59位→61位→72位→72位と年々順位が下落している。米国は2013年の32位から2015年には49位まで下落、その後少し持ち直して40位台前半を維持しており、日本との格差は広がったままである。

 

一方MENA諸国の中ではイスラエルが上昇傾向にあり、2013年はカタールより低い112位であったがその後2014年に96位に上昇、2015年、2016年は101位にとどまったが、今回(2017年)は91位と過去5年間でもっとも高い順位である。これに対してカタールの自由度ランクは5年間を通じて毎年下がり続け、2013年の110位から2015年には110位台後半に、そして今回は123位に下落している。

 

MENAの平均順位は5年間を通じて138位または139位である。エジプトとサウジアラビアは共にMENAの平均を下回っている。エジプトの場合は2013年に166位であったが、2014年以降は150位台後半である。サウジアラビアは5年間を通じて160位台に張り付いているが、過去2年は160位台後半に落ち込み、長期的にはランクは下落傾向にある。

 

以上

 

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2017年05月15日

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0409MenaRank6.pdf

MENAなんでもランキング・シリーズ その6)

 

掲載日:2017.5.15

前田 高行

 

(大きくランクアップしたイスラエル、ランクが落ちたカタール!)

3.2016年と2017年の自由度の比較

(http://menarank.maeda1.jp/6-T01.pdf参照)

 報道の自由度のMENAの世界平均順位は前回の138位に対して今回は139位であり殆ど変わっていない。MENAの中では前回世界101位であったイスラエルが今回91位にランクアップし、MENAトップである。イスラエルのように前回より順位を上げた国はイラン、イエメン及びリビアの3か国にとどまり、逆に順位が変わらなかった国と下がった国は17か国に達している。カタールは前回の117位から今回は123位に下がり、またアルジェリアも129位から134位に落ちている。サウジアラビア、バハレーンなどGCC各国も軒並み順位が1~3ランク下がっている。MENA19か国1機関の平均ポイントも昨年の48.03から今回は48.89に下がっており、MENA全域で報道の自由度が脅かされている状況である。

 

MENAの主要国の世界順位とポイントの変化を見ると、エジプトは世界順位159位→161位、ポイント54.45→55.78であり、またトルコは世界順位151位→155位、ポイント50.76→52.98、サウジアラビアは世界順位165位→168位、ポイント59.72→66.02といずれも報道の自由度が悪化する傾向を示している。これに対してイランは世界順位169位→165位、ポイント66.52→65.12と世界ランク、ポイント共に改善している。

 

 因みに日本は2016年のポイント28.67から2017年には29.44に悪化しているが、世界順位は昨年通りの72位である。なお米国は世界ランク41位から43位に下がり、中国は昨年と同様の176位であるがポイントは80.96から77.66にアップしており、報道の自由度がわずかながら改善したと評価されている。

 

(続く)

 

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