MENA

2017年11月01日

前田 高行

 

MENAなんでもランキング・シリーズ その11)

 

 中東北アフリカ諸国は英語のMiddle East & North Africaの頭文字をとってMENAと呼ばれています。MENA各国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。なおMENAの対象国は文献によって多少異なりますが、本シリーズでは下記の19の国と1機関(パレスチナ)を取り扱います。(アルファベット順)

 

 アルジェリア、バハレーン、エジプト、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェイト、レバノン、リビア、モロッコ、オマーン、パレスチナ自治政府、カタール、サウジアラビア、シリア、チュニジア、 トルコ、UAE(アラブ首長国連邦)、イエメン、

 

 これら19カ国・1機関をおおまかに分類すると、宗教的にはイスラエル(ユダヤ教)を除き、他は全てイスラム教国家でありOIC(イスラム諸国会議機構)加盟国です。なおその中でイラン、イラクはシーア派が政権政党ですが、その他の多くはスンニ派の政権国家です。また民族的にはイスラエル(ユダヤ人)、イラン(ペルシャ人)、トルコ(トルコ人)以外の国々はアラブ人の国家であり、それらの国々はアラブ連盟(Arab League)に加盟しています。つまりMENAはイスラム教スンニ派でアラブ民族の国家が多数を占める国家群と言えます。

 

 第11回のランキングは、UNDP(国連開発計画)が毎年発表する世界各国の人間開発に関する報告書の最新版「Human Development Report 2016」からMENA諸国をとりあげて比較しました。

 

1.「Human Development Report 2016」について

UNDPの「Human Development Report 2016(以下「HDR2016)では、(1)188の国及び地域の人間開発指数(Human Development Index, HDI)の値と順位、(2)159の国と地域の男女不平等指数(Gender Inequality Index, GII)が発表されている。

 

レポート全文(英文):http://hdr.undp.org/sites/default/files/2016_human_development_report.pdf 

UNDP東京事務所プレスリリース:

http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/library/human_development/human_development1/hdr_2016.html 

 

人間開発指数(HDI

HDIとは、人間開発の3つの基本的な側面──健康で長生きできるかどうか、知識を得る機会があるかどうか、人間らしい生活を送れるかどうか――について、進歩の度合いを長期にわたって測定するための総合的な指標である。健康と長寿に関しては出生時平均余命を、知識を得る機会に関しては成人の平均就学年数(25歳以上の人が生涯を通じて受けた教育年数の平均)と、就学年齢児童の生涯予測就学年数(現在の年齢別就学率が変わらないと仮定した場合に、いま就学開始年齢の子供が生涯を通じて通算何年間の学校教育を受けるかを予測した数字)を基準にしている。人間らしい生活(生活水準)に関しては、2005年の米ドル建て購買力平価(PPP)に換算した1人当たり国民総所得(GNI)を基準に用いている。

 

男女不平等指数(GII

 「男女不平等指数(GII)」は、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)、エンパワーメント、そして経済活動への参加の3つの側面で、ジェンダーに基づく不平等がどの程度存在するかを表す指数である。リプロダクティブ・ヘルスの状況は、妊産婦死亡率と15-19歳の女性1000人当たりの出生数で測定する。エンパワーメントの状況は、立法府の議席に占める割合と中・高等教育への進学状況を基準とする。経済活動への参加状況は、労働市場への参加率で判断する。GIIは、従来の「ジェンダー開発指数」と「ジェンダー・エンパワーメント指数」に代わる指数として導入された。GIIは、3つの側面における男女の不平等により、人間開発のレベルがどの程度損なわれているかを明らかにするものである。

 

(続く)

 

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2017年10月27日

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
 http://mylibrary.maeda1.jp/0424ImfWeoOct2017.pdf

2017.10.27

前田 高行

 

5.世界および主要地域・国のGDP成長率の推移(2014~2018年)

(http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-11.pdf 参照)

(http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-04.pdf 参照)

 

(世界の平均成長率は3%台半ばで推移、成長率が低下し続ける中国!)

(1)世界および主要な地域・国

 2014年(実績)から2018年(予測)までの5年間の経済成長率の推移を見ると世界全体では3%台半ばで推移しており今年は3.6%、来年は3.7%とみられている。

 

地域別で見ると2014年に4.6%の成長率を達成したASEAN-5か国はその後も他の地域を大幅に上回り、また年々成長率が高まり、今年及び来年は5.2%と予測されている。産油国を多く抱えたMENA地域は石油価格によって影響を受けやすく2014年の2.6%から2016年は5.1%まで上昇したものの今年は一転して2.2%に減速する見通しである。そしてIMFでは来年(2018年)は3.2%に回復すると予測している。

 

 主要国では日本の成長率は2014年の0.3%を底に2015年から2017年までは1.0~1.5%の成長を続けるが、来年は0.7%に減速、いずれにしても以下に述べるとおりインド、中国にははるかに及ばず、米国、ドイツなどと比べても見劣りする低い成長率にとどまっている。

 

米国の経済は先進国の中でも特に好調であり5年間を通じてほぼ2%台の成長を維持している。 中国は2014年の成長率が7%台であったが、2015年以降は6%台に低下しており、5年間で見ると2014年の7.3%が2018年には6.5%と成長率が鈍化している。これに対してインドは5年間で7.5%(2014年)→8.0%(2015年) →7.1%(2016年) →6.7%(2017年) →7.4%(2018年)と今年以外は中国の成長率を上回るり、5年間を通じて7%前後の高い成長を維持している。ロシアは2015年( -2.8%)、2016年( -0.2%)2年連続のマイナス成長に陥り、今年、来年は漸くプラス成長(+1.8%及び+1.6%)に転ずる見通しである。

 

(成長率が急激に低下しているサウジアラビア)

(2)MENA諸国

 MENAでGDPが最大のトルコは2014年(5.2%)、2015年(6.1%)と高い成長率であったが、2016年には3.2%に減速、今年は5.1%と勢いを取り戻している。但し来年は再び3.5%に落ちる見通しである。トルコに次ぐGDP大国で世界最大の産油国であるサウジアラビアの5年間の成長率(実績・予想)は3.7%(14年)→4.1%(15年)→1.7%(16年)→0.1%(17年予想)→1.1%(18年見込み)であり、2014年から今年までは急激に成長率が低下している。

 

 サウジアラビアを含むGCC6か国の平均成長率も3.1%(14年)→3.4%(15年)→2.6%(16年)→0.7%(17年見込み)→2.9%(18年予想)と今年の成長率は5年間の中で最も低い。同じ産油国でもイランは2014年の4.0%から2015年にはー1.6%のマイナス成長に陥ったあと、昨年(2016年)は12.5%と高い成長を達成、今年、来年と3%台後半の成長が見込まれている。

 

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2017年10月26日

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
 http://mylibrary.maeda1.jp/0424ImfWeoOct2017.pdf

 

2017.10.26

前田 高行

 

(MENAで断トツのカタール!)

4.2017年の一人当たりGDP

(http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-10.pdf 参照)

(http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-03.pdf 参照)

 日本の一人当たりGDPは38,550ドル、米国は59,495ドル、ドイツは44,184ドルである。米国は日本の1.5倍、ドイツは1.1倍である。また韓国は29,730ドルであり、米国の2分の1以下、日本の8割弱である。BRICsと呼ばれる有力新興国のロシア、中国、インドはそれぞれ10,248ドル、8,583ドル、1,852ドルである。インドは今年6.7%、来年7.4%と中国を上回る高い成長率が見込まれているが(上記1. 2017/2018年の経済成長率参照)、一人当たりGDPはまだまだ低く、中国の5分の1、日本の20分の1、米国の30分の1に過ぎない。

 

 MENA諸国の一人当たりGDPは各国間の格差が極めて大きい。LNGの輸出で潤うカタールの一人当たりGDP60,812ドルは米国をしのぎ日本の1.6倍で世界のトップクラスである。MENAで一人当たりGDPが1万ドルを超える国はカタールのほかイスラエル(39,974ドル)、UAE(37,346ドル)、クウェイト(27,237ドル)、バハレーン(25,170ドル)、サウジアラビア(20,957ドル)、オマーン(17,406ドル)、レバノン(11,684ドル)及びトルコ(10,434ドル)の9か国である。

 

上位7カ国のうちイスラエルを除く6か国はGCC諸国であり、石油あるいは天然ガスの恩恵を受けていることがわかる。特に6か国の中で人口がバハレーンに次いで少ないカタールは他を大きく引き離している。GCC6か国の平均一人当たりGDPは31,488ドルに達する。

 

しかし同じ産油国でありながらイラン、イラク、アルジェリアなどは一人当たりGDPが5千ドル前後であり、GCCと大きな格差がある。MENAで最も貧しいのはイエメンであり同国の一人当たりGDP(856ドル)は実にカタールの70分の1にとどまっている。

 

なお一人当たりGDPは各国のGDP総額を人口数で割ったものであるが、IMF統計における計算の母数となる人口についてGCC諸国の場合特に注意すべき点がある。例えばカタールの人口は約270万人(WEO10月版による)で同国の一人当たりGDP64,447ドルは同国のGDP(1,660億ドル。前項参照)をその人数で割ったものである。しかし同国人口のうち80%以上は出稼ぎ労働者が占めており、カタール国籍を有する自国民は40万人足らずと言われる。通常、統計上の人口は国籍を有する者のみが対象で一時的な出稼ぎ労働者は含まないが、カタールの一人当たりGDPには出稼ぎ労働者も含まれており実態を正確には表していないと言える。このことは同じように外国人比率が高いUAE或いはクウェイトについても言えることであり、3分の1が外国人であるサウジアラビアの場合も程度の差はあれ同様である。

 

このような要素を加味してGDPを算出した統計は見当たらないが、カタール、UAE、クウェイトの実際の一人当たりGDPはIMF公表数値の数倍に達すると考えられ、これら湾岸産油国の一人当たりGDPが世界のトップクラスであることは間違いない。

 

(続く)

 

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2017年10月25日

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
 http://mylibrary.maeda1.jp/0424ImfWeoOct2017.pdf

 

2017.10.25

前田 高行

 

(米国のGDPは全世界の4分の1!)

3.2017年の各国の名目GDP

(http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-09.pdf 参照)

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-02.pdf 参照)

IMFによれば今年の世界の名目GDP(at Current Price)総額は79兆ドルである。地域別ではEUが17兆ドル、全体の22%を占めている。またASEAN5か国は2.3兆ドル(全体の3%)MENA地域は2.9兆ドル(同3.7%)である。

 

国別では米国が世界トップの19兆ドルで全世界に占める割合は24%、同国一国だけで世界のGDPの4分の1を生み出している。米国に次ぐGDP大国は中国の12兆ドルであり世界全体の15%を占めている。この2か国が世界でも突出している。第3位は日本(4.9兆ドル)であるが、米国の4分の1あるいは中国の4割にとどまっている。EUの経済大国ドイツのGDPは3.7兆ドルであり、EU全体の5分の1を占めている。その他の主な国を見るとインドは2.4兆ドル、韓国及びロシア1.5兆ドルなどである。

 

MENA17カ国(エジプト、シリアを除く)の中で2017年の名目GDPが最も大きい国はトルコの8,410億ドルであり、サウジアラビアが6,790億ドルで続いている。この2カ国がMENAの合計GDPに占める比率はそれぞれ23%と18%であり、両国はMENA諸国の中では突出している。第3位はイランの4,280億ドル、第4位UAE(3,790億ドル)はいずれもトルコ或いはサウジアラビアの半分程度にとどまっている。

 

5位以下11位まではイスラエル(3,480億ドル)、イラク(1,930億ドル)、アルジェリア(1,750億ドル)、カタール(1,660億ドル)、クウェイト(1,180億ドル)、モロッコ(1,110億ドル)であり、以上10カ国が年間GDP1千億ドルを超える国々である。UAE、カタール、クウェイトなど人口の少ない産油国がイラン、イラクなど地域の大国とそん色のないGDPを誇っている。

 

GDPが1千億ドル未満の国は、オマーン(720億ドル)、レバノン(530億ドル)、ヨルダン及びチュニジア(共に400億ドル)、バハレーン(340億ドル)、リビア(330億ドル)、イエメン(260億ドル)である。MENAGDPが最も小さいイエメンはサウジアラビア或いはトルコの30分の1程度である。

 

(続く)

 

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2017年10月24日

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
 http://mylibrary.maeda1.jp/0424ImfWeoOct2017.pdf

 

2017.10.24

前田 高行

 

(下方修正されたGCC諸国の成長率!)

2.前回(20174)と今回(201710月)の比較

(http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)

(1) 世界および主要地域・国

 上述のとおり今回(WEO2017Oct)の全世界の成長率見通しは今年(2017年)が3.6%であり、来年(2018年)は3.7%である。これに対して前回(WEO2017Apr)の見通しでは2017年が3.5%、2018年は3.6%であり、両年とも前回より0.1%上方修正されている。

 

 2017年の見通しについて国・地域毎に前回と比較すると、国別では日本が0.3%上方修正され1.5%の成長率が達成されると見ている。中国、ドイツ、ロシア、韓国なども0.20.4%とわずかではあるが上方修正されている。これに対して米国の今年の成長率は前回(20174月)の予測よりは0.1%下がって2.2%と見込まれ、インドも0.5%低下の6.7%とされている。また地域別ではEU2.0%から2.3%にアップすると予測され、ASEAN-55.0%から5.2%と上方修正されている。一方MENA地域については2.6%→2.2%に下方修正されている。

 

来年2018年の予測については全世界の成長率は今年4月の予測3.6%に対して今回は3.7%とわずかながら成長率がアップする見込みである。地域別ではEU0.3%アップの2.1%に対しASEAN-5は横ばい、MENA0.2%ダウンして3.2%と見込まれている。国ごとに見ると米国が2.52.3%に見直され、ドイツ、ロシア、日本はそれぞれ+0.3%、+0.2%。+0.1%と上方修正されている。中国の2018年成長率は6.5%で前回の6.2%よりも改善されている。一方インドは7.7(前回4月見通し)7.4(今回10月見通し)と下方修正されている。世界最大のGDPを誇る米国は今年、来年と先進国の中では比較的高い成長率を維持する見通しである。

 

(2)MENA諸国

MENA各国の今年の成長率を前回4月と今回10月で比較すると上方修正した国と下方修正した国が混在している。上方修正した主な国はトルコ2.5%→5.1%、イラク -3.1%→-0.4%、リビア53.7%→55.1%、エジプト3.5%→4.1%などであり、一方下方修正されたのはイエメン5.0%→ -2.0%、クウェイト -0.2%→ -2.1%、カタール3.4%→2.5%の他、サウジアラビア、UAEなどの各国も下方修正されている。トルコ、エジプトなどの非産油大国が好調であるのに対して、GCC産油国の経済が停滞している。

 

さらに来年(2018)の成長率予測を今回と前回で比較すると、こちらも上方修正と下方修正が相半ばしている。しかしリビア(3.0%31.2%)あるいはイエメン(13.7%8.5)の特殊な例を除くと殆どの国は前回の見通しを踏襲している。なおサウジアラビア及びUAEは今年及び来年ともに今回10月の見通しは前回より下方修正されており、IMFは厳しい評価を下している。

 

(続く)

 

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