2005年04月
2005年04月30日
4/30 Arab News (Saudi Arabia)
サウジアラビアの金融グループAl-RajhiがUAEの不動産開発企業Tameer社に50%資本参加した。出資額は明らかにされていないが数億ディルハム(1US$=3.67DH)と見られる。Tameer社はDubaiで地域最大の100階建てマンションPrincess Towerなど数多くのプロジェクトを手がけている。Tameer社の幹部は、これまで多くの金融機関からオファーがあったがAl-Rajhiと組む事にした、と述べている。
コメント:
Al-Rajhi Groupは「サウジ企業番付100社」では9位(資本金6億ドル、収入11億ドル、従業員数5,500人)のOlayan Groupに次ぐ第2位の金融グループである。
サウジアラビアの金融機関はいずれも業績は過去最高である。潤沢なオイル・マネーを抱えてその運用先に頭を悩まされているのが実情である。Al-Rajhiはサウジ国内の投資にとどまらず、今や狂乱的とも言える不動産投資ブームに沸くドバイに余剰資金の活路を求めたようである。
サウジアラビアの金融グループAl-RajhiがUAEの不動産開発企業Tameer社に50%資本参加した。出資額は明らかにされていないが数億ディルハム(1US$=3.67DH)と見られる。Tameer社はDubaiで地域最大の100階建てマンションPrincess Towerなど数多くのプロジェクトを手がけている。Tameer社の幹部は、これまで多くの金融機関からオファーがあったがAl-Rajhiと組む事にした、と述べている。
コメント:
Al-Rajhi Groupは「サウジ企業番付100社」では9位(資本金6億ドル、収入11億ドル、従業員数5,500人)のOlayan Groupに次ぐ第2位の金融グループである。
サウジアラビアの金融機関はいずれも業績は過去最高である。潤沢なオイル・マネーを抱えてその運用先に頭を悩まされているのが実情である。Al-Rajhiはサウジ国内の投資にとどまらず、今や狂乱的とも言える不動産投資ブームに沸くドバイに余剰資金の活路を求めたようである。
2005年04月28日
4/28発表 石油資源開発ニュースリリースの概要
石油資源開発はイラク石油省と共同運営委員会を設置、今回同省シャーマ次官の訪日を受け、第1回委員会を開催して共同スタディを含む技術協力覚書に調印した。
今後委員会においてバグダッド近郊の油田の開発検討等を行う。また石油資源開発はイラク石油省に対して、三次元地震探鉱に必要なハード・ソフトの提供、探鉱・開発技術の教育訓練等を実施する。
同社ではこれらの支援・協力によりイラク石油省との関係強化を図り、将来的には長期的石油契約の締結を目指すとしている。
*詳細は同社記者発表「イラク石油省との技術協力について」参照。
コメント:
日本の対イラク協力は自衛隊によるサマワ周辺の戦後復興支援及びJICAによるヨルダンとの協力によるイラクの文化遺産保護事業(2/15 Jordan Timesほか)など政府ベースに限定されていた。今回の石油資源開発の技術協力は民間企業ベースでは始めてのことであり特筆すべきものである。同社自身が述べているようにこの技術協力が将来イラクでの石油開発につながることを期待したい。
追記
国内外の石油各社のプレスリリースについては、「石油文化」ホームページが1週間分をまとめて紹介している。
石油資源開発はイラク石油省と共同運営委員会を設置、今回同省シャーマ次官の訪日を受け、第1回委員会を開催して共同スタディを含む技術協力覚書に調印した。
今後委員会においてバグダッド近郊の油田の開発検討等を行う。また石油資源開発はイラク石油省に対して、三次元地震探鉱に必要なハード・ソフトの提供、探鉱・開発技術の教育訓練等を実施する。
同社ではこれらの支援・協力によりイラク石油省との関係強化を図り、将来的には長期的石油契約の締結を目指すとしている。
*詳細は同社記者発表「イラク石油省との技術協力について」参照。
コメント:
日本の対イラク協力は自衛隊によるサマワ周辺の戦後復興支援及びJICAによるヨルダンとの協力によるイラクの文化遺産保護事業(2/15 Jordan Timesほか)など政府ベースに限定されていた。今回の石油資源開発の技術協力は民間企業ベースでは始めてのことであり特筆すべきものである。同社自身が述べているようにこの技術協力が将来イラクでの石油開発につながることを期待したい。
追記
国内外の石油各社のプレスリリースについては、「石油文化」ホームページが1週間分をまとめて紹介している。
at 19:57
4/28 Khaleej Times (UAE)
アブダビの政府部門の職場では、女性職員のヒジャブ(注、宗教上の理由で顔をおおうベール)着用を禁止する規則が波紋を呼んでいる。
頻繁に席を空ける一部の女性職員がヒジャブ着用のため本人確認ができないことに業を煮やしたためであるが、聖職者などからは強い反発が生じている。
反対者は、規則は女性のヒジャブ着用を定めたイスラムの教義に反するものである。対策としては職場離脱をチェックする職員の採用或いは電子的な確認などの他の対策を講ずるべきであると主張している。
また女性職員からも、職場離脱は男性職員にも多い。アブダビのようなイスラム国家では今回の措置は「パンドラの箱を開ける」ようなものであると批判がでている。
コメント:
仏では学校でのスカーフ着用禁止が波紋を投げたが、イスラム国家でも女性の服装について、職場規律と宗教の調和が微妙な問題を引き起こしているようだ。今回の場合、ヒジャブで顔を隠した女性は本人確認が困難であり、これを悪用した一部女性職員の規律違反が問題視されている。
ただ筆者のサウジアラビア赴任経験で言えば(事務所に女性職員は全くいなかったが)、現地人職員が職場を離脱する現象は頻繁に見られた。特に宗教的制約が厳しい同国では、1日5回のお祈り、師弟の学校の送り迎え、運転できない妻のための私用等、さまざまでありいずれも本人の良識に任せざるを得ないことが多い。
イスラム国家でもこのような問題が発生するのは主として湾岸諸国のしかも政府部門である。今後女性の社会進出はますます盛んになると思われるが、職場での社会規範と宗教規範をどのように調和するのか、大きな課題である。
アブダビの政府部門の職場では、女性職員のヒジャブ(注、宗教上の理由で顔をおおうベール)着用を禁止する規則が波紋を呼んでいる。
頻繁に席を空ける一部の女性職員がヒジャブ着用のため本人確認ができないことに業を煮やしたためであるが、聖職者などからは強い反発が生じている。
反対者は、規則は女性のヒジャブ着用を定めたイスラムの教義に反するものである。対策としては職場離脱をチェックする職員の採用或いは電子的な確認などの他の対策を講ずるべきであると主張している。
また女性職員からも、職場離脱は男性職員にも多い。アブダビのようなイスラム国家では今回の措置は「パンドラの箱を開ける」ようなものであると批判がでている。
コメント:
仏では学校でのスカーフ着用禁止が波紋を投げたが、イスラム国家でも女性の服装について、職場規律と宗教の調和が微妙な問題を引き起こしているようだ。今回の場合、ヒジャブで顔を隠した女性は本人確認が困難であり、これを悪用した一部女性職員の規律違反が問題視されている。
ただ筆者のサウジアラビア赴任経験で言えば(事務所に女性職員は全くいなかったが)、現地人職員が職場を離脱する現象は頻繁に見られた。特に宗教的制約が厳しい同国では、1日5回のお祈り、師弟の学校の送り迎え、運転できない妻のための私用等、さまざまでありいずれも本人の良識に任せざるを得ないことが多い。
イスラム国家でもこのような問題が発生するのは主として湾岸諸国のしかも政府部門である。今後女性の社会進出はますます盛んになると思われるが、職場での社会規範と宗教規範をどのように調和するのか、大きな課題である。
2005年04月26日
4/26 Arab News (Saudi Arabia)
米国訪問中のサウジアラビアのアブダッラー皇太子とブッシュ大統領の会談がテキサスの大統領私邸で25日行われ、会談後に共同コミュニケが発表された。
コミュニケでは、両国の関係が60年前のルーズベルト大統領(当時)とアブドルアジズ初代国王に始まったことに触れ、9.11テロ事件以後冷え切っていた関係が改善に向かっていることを強調した。
米国は、サウジの今年中のWTO加盟を支持し、また米国へのサウジ人留学生受入増加、軍事関係者の訓練等を約束した。またエネルギー問題については、投資を加速し生産能力を上げるとのサウジアラビアのコミットメントを米国は高く評価した。
ブッシュ私邸では父ブッシュ元大統領が皇太子を歓待し旧交を温め合うなど終始友好的な雰囲気であった。
コメント:
9.11テロ事件以後ギクシャクしていたサウジー米国関係は、今回の首脳会談で改善に向かって大きく前進した。
関係改善は両国それぞれの願望であり思惑でもあった。コミュニケでは中東和平、両国関係改善、国際テロ対策など幅広く取り上げられているが、中でも主眼となるのは米国にとってエネルギー安定供給の問題であり、一方サウジアラビアにとっては米国との友好関係の回復と米国の反対で延び延びになっているWTO加盟問題であろう。
米国は既に皇太子訪米前、サウジアラビアに対して原油を増産し世界のエネルギーの安定に寄与することを求めたメッセージを発信しており、これに対してナイミ石油相が直ちに応じている(4/19付 Arab News)。これに満足したブッシュ大統領は(議会承認と言う難問はあるものの)サウジのWTO加盟を認め、また9.11テロ事件以後制限していた留学生などの人的交流の促進を約束した。このように今回の首脳会談は双方に大きな成果をもたらしたと考えられる。
ただコミュニケの中でわずかしか触れられていないが、両国の軍事協力は隠された重要な問題であろう。9.11テロ事件後、米国はリヤド郊外の戦略基地のカタール移転、軍事顧問の引き上げなど一切の軍事協力を停止したが、米国にとってアラビア半島のほぼ全体を占め、イラクに隣接するサウジアラビアは軍事的な要衝である。同時に米国軍需産業にとっても最重要な顧客なのである。アブダッラー皇太子は米国訪問前に仏を訪問しているが、同行したサウド外相が、仏とは兵器の商談は行わなかった、とわざわざ記者会見で釈明したのは米国に対する配慮と見て間違いない。
米国訪問中のサウジアラビアのアブダッラー皇太子とブッシュ大統領の会談がテキサスの大統領私邸で25日行われ、会談後に共同コミュニケが発表された。
コミュニケでは、両国の関係が60年前のルーズベルト大統領(当時)とアブドルアジズ初代国王に始まったことに触れ、9.11テロ事件以後冷え切っていた関係が改善に向かっていることを強調した。
米国は、サウジの今年中のWTO加盟を支持し、また米国へのサウジ人留学生受入増加、軍事関係者の訓練等を約束した。またエネルギー問題については、投資を加速し生産能力を上げるとのサウジアラビアのコミットメントを米国は高く評価した。
ブッシュ私邸では父ブッシュ元大統領が皇太子を歓待し旧交を温め合うなど終始友好的な雰囲気であった。
コメント:
9.11テロ事件以後ギクシャクしていたサウジー米国関係は、今回の首脳会談で改善に向かって大きく前進した。
関係改善は両国それぞれの願望であり思惑でもあった。コミュニケでは中東和平、両国関係改善、国際テロ対策など幅広く取り上げられているが、中でも主眼となるのは米国にとってエネルギー安定供給の問題であり、一方サウジアラビアにとっては米国との友好関係の回復と米国の反対で延び延びになっているWTO加盟問題であろう。
米国は既に皇太子訪米前、サウジアラビアに対して原油を増産し世界のエネルギーの安定に寄与することを求めたメッセージを発信しており、これに対してナイミ石油相が直ちに応じている(4/19付 Arab News)。これに満足したブッシュ大統領は(議会承認と言う難問はあるものの)サウジのWTO加盟を認め、また9.11テロ事件以後制限していた留学生などの人的交流の促進を約束した。このように今回の首脳会談は双方に大きな成果をもたらしたと考えられる。
ただコミュニケの中でわずかしか触れられていないが、両国の軍事協力は隠された重要な問題であろう。9.11テロ事件後、米国はリヤド郊外の戦略基地のカタール移転、軍事顧問の引き上げなど一切の軍事協力を停止したが、米国にとってアラビア半島のほぼ全体を占め、イラクに隣接するサウジアラビアは軍事的な要衝である。同時に米国軍需産業にとっても最重要な顧客なのである。アブダッラー皇太子は米国訪問前に仏を訪問しているが、同行したサウド外相が、仏とは兵器の商談は行わなかった、とわざわざ記者会見で釈明したのは米国に対する配慮と見て間違いない。