2010年03月
2010年03月31日
(アブダビ)Ahmed殿下の遺体発見。UAEは3日間の服喪。 *
(GCC)GCC通貨評議会初代議長にサウジSAMA総裁Al-Jasser就任
(バハレーン)大和工業の合弁鉄鋼工場、12億ドルで神戸製鋼などが受注。
(カタール)新年度予算を発表、インフラ整備を中心に対前年比25%増
(カタール)物流サービス、ITなど5分野で外資100%容認
(ヨルダン)韓国が実験用原子炉を1.3憶ドルで受注 **
(UAE)アブダビとドバイの証券取引所が合併
(ドバイ)Nakheel社、取締役会議長にAli Rashid
(サウジ)マッカに女性職業訓練校開設
*関連情報
「GCCの王家シリーズ:アブダビ・ナヒヤーン家」
「ナヒヤーン家々系図」
**参考レポート「UAEにアラブ初の原発建設。韓国受注。」
2010年03月30日
(注)本シリーズはブログ「マイ・ライブラリー(前田高行論稿集)」で全文一括してご覧いただけます。
1.はじめに
ドバイで発行されている月刊経済誌「GULF BUSINESS.COM」は毎年1月号に「The Business Salary Survey」を公表している。これはGCC6カ国(サウジアラビア、UAE、カタール、クウェイト、オマーン及びバハレーン)の各国ごとに外国人の職種別、出身地域別月額給与を調査した一覧表であり、各国の給与水準或いは前年との変化を見る上で極めて興味深くまた有用なデータである。
一覧表は大企業のCEOから役員秘書まで代表的な22の職種についてGCC各国ごとの平均給与を示しているが、さらにこれら各職種に就く外国人の出身地によってアラブ圏出身者、アジア圏出身者及び西欧諸国出身者毎の3つの一覧表から成り立っている。即ち全データの数は22職種x6カ国x3表=396である。
(表の全容はhttp://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/1-I-1-50SalarySurveyInGcc2010.xps参照)
GCCには極めて多数の外国人が働いており6カ国合計では約1,300万人と推定され、全人口3,500万人の4割弱に達する(GOIC:2006年データ)。この比率は各国によって異なるが、特にUAEなどでは人口の85%が外国人と言われている。また年齢的にみると外国人の場合はほとんどが成人の就労層であり、一方自国民は未成年の若年層が半数を占めているため、実際の労働人口に占める外国人の比率は人口の比率以上に大きい。さらにUAE、カタール、クウェイトなど人口の絶対数が少ない国では、大半の自国民は公務員であり、民間部門で働く自国民は極めて少ない。たとえばクウェイトではクウェイト人のうち民間部門で働く自国民はわずか4%に過ぎないという調査結果もある。
このようにGCCの民間部門はほぼ全員外国人によって支えられているのである。これら外国人は大きく三つに分類される。即ち、企業のトップ、中間管理職、専門職などのSenior Staff(上級職)、事務所、商店などで事務員、店員などとして働くJunior Staff(下級職)及び建設現場の労働者、道路清掃人などの肉体労働者(Worker)に区分される。
本稿で取り上げるのはSenior Staffの外国人であるが、この階級は西欧流の職種別給与体系が採用されており職種間の給与格差は大きい。さらにGCC諸国では外国人の出身地域による給与格差があり、一般的に言えば西欧出身者の給与水準が最も高く、アラブ圏出身者がこれに次いでいる。これに対しアジア圏出身者は同じ職種でも給与水準が最も低いことが特徴である。これはGCCの民間部門が西欧のシステムによって発展した歴史的経緯があること、またアラブ圏出身者は言語(アラビア語)及び宗教(イスラーム)が同じであり、生活文化に共通点が多く企業経営者にとって必要性の高い人材だからである。
なおGCCの外国人のもう一つの大きな特徴は、彼らが全て労働ビザで就労しており、しかもビザの有効期間が1乃至数年と非常に短いことである。これは西欧各国の外国人労働者が移民として半永久的に働くことを目的としていることと大きく異なっている。そのためGCCの外国人労働市場は流動性が高く、また石油価格の変動による各国の好不況の影響を受けやすいと言える。
このようにGCCの外国人の給与体系は就労する国により、また職種、出身地域によって大きな格差がある。本稿では2010年の給与水準を国別に比較し、また前年との給与の下落(或いは上昇)を職種別に比較、さらに中長期的傾向として2006年から2010年までの5年間の給与水準についてそれぞれ検討を試みる。
(続く)
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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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2010年03月29日
2010年03月28日
米フォーブス誌の世界富豪番付
米国の経済誌Forbesが恒例の世界富豪番付 ‘The World’s Billionaire’(2010年版)を発表した。資産が10億ドル(約900億円)以上の大富豪「ビリオネア」をリストアップしたものである。
2008年秋のリーマンショックによる世界的な株価下落で昨年の全世界のビリオネアは793人にとどまったが、今年度は株価回復によりその数は1,011人と2008年(1,125人)の水準に戻った。世界一の富豪は資産総額535億ドルのメキシコのカルロス・スリムであった。2位には僅差でマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツがつけ(資産総額:530億ドル)、3位は米国の投資家ウォーレン・バフェットの470億ドル。ビル・ゲイツとウォーレン・バフェットは昨年1位と2位を占め、富豪番付の常連である。
上位100人の国籍は米国が最も多く全体の3分の1の33人を占めている。近年経済発展が著しいBRICs4カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国)からは27人が100位以内に入っており、中でもロシアは13人の大富豪を輩出している。因みに日本のトップはユニクロの商標で知られるファースト・リテイリングの柳井会長兼社長であり、資産は76億ドル、世界89位の富豪とされているが、100位以内の日本人は彼とサントリーの佐治信忠氏の二人だけである。
アラブ最大の富豪はサウジアラビアのアルワリード王子
フォーブス誌の番付でアラブ最大の富豪はサウジアラビアのアルワリード王子である。彼は世界19位にランクされ、資産総額は194億ドル。彼は長きにわたりアラブ第一の富豪の地位を維持しており、しかも常に世界の上位に位置している。
アルワリード王子はアブダッラー現国王の甥であり、欧米や国内の株に投資し、「アラビアのバフェット」と呼ばれている投資家である。彼は1990 年代初めシティグループが苦境に立ったとき、その大株主となり大富豪への足がかりを築いた。サブプライムショックでシティグループの業績が再び悪化した時、アルワリード王子はクウェイト政府系ファンド(SWF)のクウェイト投資庁と共にシティに追加出資した。当時のシティ株は往年の半値30 ドル程度であり、アルワリード王子としては絶好の投資タイミングだと判断したに違いない。
ところがその半年後にリーマンショックが発生、金融株は軒並み暴落し、彼が買ったシティの株価も1ドルすれすれまで下がり、彼の昨年初めの資産額は前年の210億ドルから133億ドルに急落した。その後シティの株価は回復し、今回フォーブス誌が彼の資産額を194億ドルと査定した結果、富豪順位を22位から一昨年と同じ19位に戻している。
その他のアラブの富豪
アルワリード王子を含め100位以内のアラブの大富豪はムハンマド・アル・アモーディ(世界64位、国籍:サウジアラビア、資産総額:100億ドル、以下同じ)、ナセル・アル・カラフィ一族(77位、クウェイト、87億ドル)及びムハンマド・アル・ジャベル(93位、サウジアラビア、75億ドル)の4人である。昨年は100位以内が7人であったことに比べ人数はほぼ半減している。特に昨年62位にランクされたマーン・アル・サネア(サウジアラビア)は、事業に失敗して破産し富豪番付から消えている。
富豪の人数を国別にみると、最も多いのはサウジアラビアの10人であり、次いでUAE、エジプト、レバノンがそれぞれ4人、クウェイト1人となっている。アラブ以外の中東諸国ではトルコが28人、イスラエルの富豪は10人である。
(完)
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