2012年10月

2012年10月26日

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2012年10月25日

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0244KoreaInGcc.pdf

3.謙虚に且つ深刻に考えるべき時がきた日本
  スマートフォンの世界では米国のAppleと韓国のSamsungが世界の市場を二分している(左の写真)。両社は特許を巡って世界中で訴訟合戦の最中であり、Samsungは販売停止と巨額の賠償を命じられた。しかしIT技術の進歩で新しい機種が次々と生まれ、係争機種の販売停止そのものは大した影響がない、との見方もある。

 残念なことにここでは日本のエレクトロニクス企業の顔が全く見えない。両社の製品とも裏蓋を開ければ多くの日本製部品が使われているであろうが、それはあくまで「縁の下の力持ち」である。Samsungがここに到るまでどれほど苦労を重ねたであろうか。それを考えた時、既視感覚(デジャブ)にとらわれるのは一人筆者だけではなかろう。かつて欧米先進国で「安価が取り柄の粗悪品」とみなされていた「Made in Japan」は「安くてしかも高品質」という評価を得て欧米の市場に浸透していった。その日本の後ろ姿を追いかけていた「Made in Korea」が今や日本をしのいで世界市場を席巻している。つまり日本の成功体験が韓国の成功体験にとってかわったのである。 

 中東で日韓が激しく競うプラント商談において今や韓国と日本の技術と品質の格差は無い。但し価格は間違いなく日本が高い。筆者の駐在時代、日本企業の技術者を同行すると客先から必ずこの点を指摘された。「日本の技術は確かにすばらしい。でも価格が高いのは何とかならないだろうか?」。これに対して日本メーカーは「当社の製品は壊れにくく長持ちします。補修費やランニングコストを考えると絶対損はしません。更に環境に優しい製品です」と答える。しかし結局顧客は安い韓国に発注する。日本メーカーは<環境にも優しく、長い目で見れば絶対に得なのに>と納得しかねる様子であった。


 ここには日本と中東の埋めがたい溝がある。理由は中東では殆どがオーナー企業だということである。彼らは投下資本に対して早いリターンを求め、同時に投資に対して自らリスクを負う。だから初期投資は出来るだけ少なくしようし、問題が起こった時は装置を買い替えるか、極端な場合その事業を止めるかの決断が早い。このようなオーナー企業家のメンタリティーを理解し(或いは相手をその気にさせて)受注に結び付けるのが韓国流である。韓国企業そのものがオーナー企業であるから相手の気持ちが良く分かるのである。自社の技術を過信し、しかもトップから一介の技術者まで雇われ根性の日本企業では太刀打ちできない。


 ともかくサウジアラビアを含む中東湾岸諸国での韓国ビジネスの拡大が今回の大韓航空の再進出につながったことは間違いない。しかもビジネスの拡大が単なる量や金額だけではなく質の面でも向上し、韓国の評価が高まっていることが背景にある。かつて大韓航空の役割はサウジアラビア東部のローカル空港に建設労務者を送り込むことであったが、それが今や首都リヤドにエリート・ビジネスマンを送り込むことに変わった。日本人ビジネスマンが仁川-リヤド便を利用した場合、機内で肩身の狭い思いをするかもしれない。往時を知る筆者にとっては昔日の感がある。なにはともあれ我々は現実を謙虚にかつ深刻に直視すべき時が来たようである。


(完)


本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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2012年10月24日

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2012年10月23日

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2012年10月22日

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括ご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0243VipTheatreUkRoyalFamily.pdf

英国王室の隠し玉「サンドハースト士官学校」
 ロンドン郊外サンドハーストにThe Royal Military Academy Sandhurst (RMAS, 邦名「サンドハースト陸軍士官学校」)と呼ばれる英国陸軍の高級将校養成機関がある。チャールズ皇太子の二人の息子ウィリアム王子とハリー王子もRMASで軍隊教育を受けた由緒ある学校である。

Sunhurst

 実はこの学校にはUAE、カタール、バハレーン等湾岸諸国の王家・首長家から多数の王子が留学している。例えばハマド・カタール首長の長男ジャーシム王子(前皇太子)は1996年にRMASを卒業している。またムハンマド・ドバイ首長(UAE副大統領兼首相)の3男マエド王子とハマド・バハレーン国王の息子ナーセル王子(現南部州知事)は同じ2006年に卒業しており、卒業式には二人の父親が共に列席している 。


 湾岸各国の君主は幼い王子達のために英国から家庭教師を呼び寄せて王宮内で帝王学を学ばせ、成人するとRMASに留学させるのである。その目的は二つある。一つは英国流のマナーを身につけ帝王学の総仕上げを行うこと。そしてもう一つの目的は将来の他国の国王或いは元首との人間関係を築くためである。その意味でRMASはこれまでに取り上げたエリザベス女王やチャールズ皇太子による表の王室外交に対する裏の隠し玉である。中東各国の若い王子たちが士官学校で「仲間と同じ釜の飯を食う」ということは王室同士の絆を深めるまたとない機会である。と同時にこの経験によりGCCの王子達が英国に親近感を持つようになるのは当然の帰結とも言えよう。


王室外交は常に清く正しい?
 英国王室とGCCの王家・首長家の間には長い歴史的関係があり、今も盛んに王室外交を展開している。現代の王室外交は親善と友好が目的である。エリザベス女王がカタール首長夫妻とLNG基地の完成式に臨席したり、或いはエプソン競馬場でムハンマド・ドバイ首長夫妻と談笑する時に政治や経済の生臭い話をするとは考えにくい。またチャールズ皇太子もリヤドの砂漠でアブダッラー国王と鷹狩りに興じる時に中東情勢について突っ込んだ話をしている訳ではないだろう(簡単な意見交換くらいはやっているかもしれないが-----)。


 但し彼らの背後に政治家や実業家の影が見え隠れすることもある。例えば2006年にチャールズ皇太子夫妻がサウジアラビアを訪問した当時、英仏両国はサウジアラビアの次期戦闘機の商談を巡って激しい受注競争を繰り広げていた。フランス側は当時のシラク大統領が直々にリヤドに乗り込んだが、結局サウジアラビアは英国に発注したのである。同時期のチャールズ皇太子の訪問が偶然の一致だったとはとても考えられないのである。


 英国の立憲君主制と湾岸諸国の絶対君主制は似て非なるものとは言え、英国王室とGCCの王家・首長家は共に世襲制であり、そのことでお互いが親近感を持つであろうことは容易に想像がつく。これはフランスや米国のように数年間で国家元首が替わる大統領制ではとても太刀打ちできない。君主制は(日本の天皇制もそうであるが)何物にも代え難いブランドなのである。


(完)


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