2013年04月
(注)本レポートは「マイ・ライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0262MenaRank17.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その17)
(MENAトップのイスラエルに続くGCC諸国!)
2. 2013年の順位
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/17-T02.pdf参照)
今年度のレポートでランク付けの対象となった国の数は144カ国であるが、そのうちMENAは16カ国である。昨年は17カ国であったがチュニジアとシリアが抜け、リビアが2年ぶりでランクに復帰した。これら3カ国はいずれも2011年にMENAに吹き荒れた「アラブの春」で大きな影響を受けた国であるが、リビアが一応平穏を取り戻したことで再びランク付けされているのに対し、チュニジアとシリアはランク対象外とされている。前者は政治情勢が不安定であり、後者は内戦状態にある。NRIの調査主体が民間団体のWEFであると共に、ITネットワークの主たる利用者が民間ビジネスであるため評価不能とみなされたようである。
MENA19カ国のうちランク付けされた国とされていない国は下記の通りである。
ランク付けされた国(16カ国):
イスラエル、UAE、カタール、バハレーン、サウジアラビア、ヨルダン、オマーン、クウェイト、トルコ、エジプト、モロッコ、リビア、アルジェリア、イラン、レバノン、リビア
ランク付けされていない国(3カ国):
チュニジア、シリア、イラク、
MENA諸国の中でNRIが最も高いのはイスラエルである。同国は世界ランク15位である。これに続くMENA第2位はカタール(世界23位)、第3位UAE(同25位)であり、これら3カ国は世界のトップレベルである。
第4位から8位までにはバハレーン(世界29位)、サウジアラビア(同31位)、オマーン(同40位)トルコ(45位)及びヨルダン(同47位)が並んでおり、これらMENA上位8カ国が世界の上位50位以内である。
MENA9位以下はクウェイト(世界62位)、エジプト(同80位)、モロッコ(同89位)、レバノン(同94位)までが世界100位以内である。世界100位以下はイラン(101位)、アルジェリア(131位)、リビア(132位)、イエメン(13 9位)と続いており、アルジェリア、リビア及びイエメンは世界144カ国の最下位グループである。
MENA上位5カ国のうちイスラエルを除く4カ国(カタール、UAE、バハレーン及びサウジアラビアはいずれもGCC諸国である。GCCにはこのほかオマーン及びクウェイトがあるが、このうちオマーンは世界40位で上位グループに入っているが、クウェイトは世界62位であり、GCCの中では評価が低い。クウェイトは国土も人口もさほど大きくなく、それでいて産油国として財政が豊かであるにも関わらず同じようなUAEやカタールに比べてITネットワークの整備が遅れていると判定されたのは大きな問題をはらんでいると言えそうである。
なおMENA16カ国の世界平均順位は68位であり全体としては世界平均よりやや上位にある。因みに日本は世界21位でありイスラエルより低く、カタールより高い。また米国は世界9位、中国は世界58位である。中国の順位はMENA諸国の中ではヨルダン(世界47位)、クウェイト(世界62位)と同等程度である。
(続く)
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2013年04月28日
(UAE)安倍首相来訪を控え経済相と日本大使が貿易問題について会談。 *
(アブダビ)金融特区創設を検討。ドバイとの「共食い」を心配する声も。
(オマーン)7月1日から民間の最低賃金325リアルに改訂。
(カタール)月給$200-250のの家政婦、ベトナムなど5カ国を新規開拓。高騰する給料、斡旋料への対策。
*日-UAE貿易については「MENAの対日貿易2012年版(MENAランクシリーズ10)」参照。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0261MenaRank10.pdf
(注)本レポートは「マイ・ライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0262MenaRank17.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その17)
中東北アフリカ諸国は英語のMiddle East & North Africaの頭文字をとってMENAと呼ばれています。MENA各国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。なおMENAの対象国は文献によって多少異なりますが、本シリーズでは下記の19の国と1機関(パレスチナ)を取り扱います。(アルファベット順)
アルジェリア、バハレーン、エジプト、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェイト、レバノン、リビア、モロッコ、オマーン、パレスチナ自治政府、カタール、サウジアラビア、シリア、チュニジア、 トルコ、UAE(アラブ首長国連邦)、イエメン、
これら19カ国・1機関をおおまかに分類すると、宗教的にはイスラエル(ユダヤ教)を除き、他は全てイスラム
教国家でありOIC(イスラム諸国会議機構)加盟国です。なおその中でイラン、イラクはシーア派が政権政党ですが、その他の多くはスンニ派の政権国家です。また民族的にはイスラエル(ユダヤ人)、イラン(ペルシャ人)、トルコ(トルコ人)以外の国々はアラブ人の国家であり、それらの国々はアラブ連盟(Arab League)に加盟しています。つまりMENAはイスラム教スンニ派でアラブ民族の国家が多数を占める国家群と言えます。
第17回のランキングは、「世界経済フォーラム(World Economic Forum, 略称WEF)」が毎年発表する「The Global Information Technology Report」(*)の中から「The Networked Readiness Index 2013」についてMENA諸国をとりあげて比較しました。
* ホームページ:http://www.weforum.org/reports/global-information-technology-report-2013/
1.「The Networked Readiness Index」について
「The Networked Readiness Index」(ITネットワーク整備指数、以下NRI)は、毎冬スイスで開催される「ダボス会議」の主催者として世界に名を知られている「世界経済フォーラム(World Economic Forum, 略称WEF)」が作成したものである。WEFでは毎年「The Global Information Technology Report」を発表しており、その中でITの整備状況に関する各国の競争力をIndex(指数)としてランク付けしている。今回の2013年レポートでは世界144カ国がランク付けの対象となっている。
Indexは(1)Environment (ITネットワーク環境)、(2)Readiness (ITネットワーク達成度)、(3)Usage (ITネットワーク利用状況)及び(4)Impact (ITネットワークのインパクト)の四つのサブ分野で構成され、またそれぞれのサブ分野ごとにPillar(柱)と呼ばれる合計10個の評価項目がある。10項目について各国毎に評価し、それらを総合した指数(NRI)により144カ国がランク付けされている。
サブ分野(Sub Index)とそれぞれの評価項目(Pillar)
Environment (ITネットワーク環境)
(1)Political and regulatory environment(政治・制度環境)
(2)Business & innovation environment (ビジネス及びイノベーション環境)
Readiness (ITネットワーク達成度)
(3)Infrastructure & digital content (ITインフラ及びデジタル・コンテンツ)
(4)Affordability (IT機器・ソフトの購入しやすさ)
(5)Skills (IT技術の習熟度)
Usage (ITネットワーク利用状況)
(6)Individual usage (個人の利用状況)
(7)Business usage (ビジネス部門の利用状況)
(8)Government usage (政府部門の利用状況)
Impact (ITネットワークのインパクト)
(9)Economic impact (経済的インパクト)
(10)Social impact (社会的インパクト)
(続く)
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