2013年07月
2013年07月28日
(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」(図表付き)で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0273MenaRank4rev.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その4)
6.1990-2012年末の流入残高の推移(続き)
(2000年以降大きく伸びるサウジ、トルコなど4カ国への投資!)
(2)主要4カ国の流入残高推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/4-G04.pdf 参照)
直接投資流入残高の変動はMENA各国で大きく異なるが、ここでは地域における主要な投資受入国4カ国(サウジアラビア、トルコ、UAE及びエジプト)について、1990年、2000年及び2007-12年の各年末の残高の推移を概観してみる。
1990年~2000年までの10年間はサウジアラビア、トルコ、エジプト3カ国の流入残高は100億ドル台で推移し3カ国の差は殆どなく、UAEの残高はこれら3カ国より一桁少ない金額であった。大きく動き出したのは2000年台前半であり、2007年末になるとトルコの流入残高は8倍の1,456億ドルに増加、またサウジアラビアとエジプトもそれぞれ761億ドル、505億ドルに達した。2000年末に11億ドルにすぎなかったUAEは50倍の548億ドルとなりエジプトを追い抜いた。
トルコはその後増減を繰り返しており、2008年には一挙に半減(699億ドル)した後、2010年の残高は1,819億ドルと再びMENAのトップとなり、2012年の残高は1,811億ドルである。これに対してサウジアラビアは2007年以降と一貫して増加しており現在はMENA諸国の中で流入残高が最も多い。
2007年末に548億ドルであったUAEの流入残高はその後も毎年着実に増加しており、2012年末は950億ドルである。UAEでは2008年のリーマン・ショックの後ドバイの投資が低迷したが、UAE全体としての投資残高が減ることはなかった。最近ではドバイの景気も回復してきたため投資が流入しつつある。
エジプトは1990年末の残高がトルコと肩を並べる110億ドルであり、2000年末の残高200億ドルはトルコ、サウジアラビアをしのぎMENAではイスラエルに次ぐ大きさであった。2000年以降の同国の流入残高はUAEと肩を並べるペースで成長しており、2007年以降も緩やかに増加しており、各年末の残高は600億ドル(08年)→667億ドル(09年)→731億ドル(10年)→726億ドル(11年)→754億ドル(12年)である。
(続く)
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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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2013年07月27日
(MENAなんでもランキング・シリーズ その4)
6.1990-2012年末の流入残高の推移
(直接投資の存在感が高まるMENA地域!)
(1)MENAの直接投資流入残高
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/4-T06.pdf 参照)
1990年末のMENAの流入残高合計は616億ドルであり全世界の投資残高2兆ドルの3%を占めていた。10年後の2000年末には残高は1,358億ドルに倍増している。その後も流入残高は急激に膨らみ、2007年末は5,464億ドルと7年間で4倍に増加している。更に2008年末は5,980億ドルに達し世界全体に占める割合も4%を超えた。残高はその後も増加し続け、2009年末は7千億ドル弱、2010年には前年比25%増の8,600億ドルに達した。2012年末の流入残高は9,700億ドルであり1兆ドル目前である。この間のMENAの伸び率は世界全体のそれを上回っており、MENA投資残高の世界全体に占める割合も1990年の2.97%から2012年には4.25%にアップしている。
MENAの流入残高を日本、米国及び中国と比較すると、1990年末の日本の残高は99億ドルでトルコ或いはエジプトよりも少なかった。中国の残高は207億ドルでMENAの3分の1にとどまる。これに対し米国の流入残高は5,396億ドルあり、MENAを10倍近く引き離していた。2000年末ではMENAの残高は日本(503億ドル)の3倍である。中国の残高は10年間で9倍に膨張、1,933億ドルとなりMENAを追い越した。一方、米国の残高は2.8兆ドルに達しMENA総額の20倍を超え両者の格差はひろがった。
2012年末の流入残高はMENA9,700億ドル、日本2,050億ドル、米国3.9兆ドル、中国8,300億ドルであり、日本はMENAの20%、米国がMENAの4倍、中国は85%である。2000年から2012年までの間にMENA諸国への投資が伸び、再び中国を超え、米国との格差も縮小している。世界の直接投資におけるMENAの存在感が高まったと言えよう。
(続く)
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*レポート「イスラム金融は今後も発展するか」参照。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0252IslamicFinance.pdf