2014年01月
2014年01月17日
(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で上下一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0295MenaRank5.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その5)
(世界平均を大きく下回るMENA諸国)
2.MENA各国の指数と世界順位
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/5-T01.pdf参照)
エネルギー構造効率指数(EAPI)は世界124カ国が評価対象となっておりそのうちMENAはパレスチナ自治政府を除く19カ国がランク付けされている。MENAで最もランクが高いのはイスラエルの世界38位であり、同国のEAPIは0.58である。次いでトルコ(世界47位、EAPI 0.57)、チュニジア(同55位、0.53)と続いている。世界124カ国の上位グループにいるのはこの3カ国だけであり、その他16カ国は下位グループにとどまっている。
MENA4位のアルジェリアは世界66位であり、エジプト及びモロッコが共に世界76位である。80位台にリビア(83位)、カタール、サウジアラビア及びUAEの湾岸3カ国が共に88位、そしてイラン、イラク及びクウェイトが98位である。その他の5カ国(シリア、オマーン、ヨルダン、バハレーン及びイエメン)は100位以下であり、中でもイエメンは世界最下位の124位である。
因みに世界1位はノルウェーで同国のEAPIは0.75である。また米国と日本はそれぞれ世界37位、38位で並んでおり、日本はMENAトップのイスラエルと同スコアである。中国は世界順位83位、EAPI 0.45でリビアと同じランクである。
(環境面の評価が低いGCC産油国)
3.分野別に見る各国の指数
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/5-T01.pdf参照)
経済性、環境負荷及び調達・供給体制の3分野についてMENA各国の指数を見ると、まず経済性ではイスラエルのEAPIが0.61と最も高い。これに次ぐのがトルコ(0.53)、イラク(0.37)、モロッコ、チュニジア(共に0.36)などである。MENAの平均指数は0.34であり、世界トップのノルウェーの指数0.69或いは米国の0.57、日本の0.58と比べかなり低い。
環境負荷の分野で見ると、トルコ、チュニジア(共に指数0.45)がMENAで最も高く、日本(0.43)とほぼ同程度である。一方GCC産油国はUAE(指数0.21)、サウジアラビア(0.19)、カタール(0.17)、クウェイト(0.12)と極めて低く、これらの国はエネルギーを浪費し環境に対する配慮が不足していることをうかがわせる。
ところがエネルギーの調達・供給分野はGCC産油国のEAPIが高い傾向にあり、サウジアラビア(0.81)、カタール及びクウェイト(共に0.80)、UAE(0.77)である。サウジアラビアは米国(0.84)とほぼ同等、またUAEは日本(0.74)を上回っている。
以上
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
(バハレーン)「経済競争力ランキング2014」で世界13位、MENAトップを維持。 **
*関連解説記事:
・2012.10月「銀行団に追いつめられるドバイ首長」
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0240DubaiRuler2012.pdf
・2012.12月「蘇るドバイのバブル3人男」
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0251DubaiThree.pdf
**「世界競争力rキング2014」は追って本ブログで解説します。
2013年版は下記参照。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0281MenaRank7.pdf
2014年01月16日
(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で上下一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0295MenaRank5.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その5)
中東北アフリカ諸国は英語のMiddle East & North Africaの頭文字をとってMENAと呼ばれています。MENA各国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。なおMENAの対象国は文献によって多少異なりますが、本シリーズでは下記の19の国と1機関(パレスチナ)を取り扱います。(アルファベット順)
アルジェリア、バハレーン、エジプト、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェイト、レバノン、リビア、モロッコ、オマーン、パレスチナ自治政府、カタール、サウジアラビア、シリア、チュニジア、 トルコ、UAE(アラブ首長国連邦)、イエメン、
これら19カ国・1機関をおおまかに分類すると、宗教的にはイスラエル(ユダヤ教)を除き、他は全てイスラム教国家でありOIC(イスラム諸国会議機構)加盟国です。なおその中でイラン、イラクはシーア派が政権政党ですが、その他の多くはスンニ派の政権国家です。また民族的にはイスラエル(ユダヤ人)、イラン(ペルシャ人)、トルコ(トルコ人)以外の国々はアラブ人の国家であり、それらの国々はアラブ連盟(Arab League)に加盟しています。つまりMENAはイスラム教スンニ派でアラブ民族の国家が多数を占める国家群と言えます。
第5回のランキングは毎冬のスイス・ダボス会議の主催者として知られる「世界経済フォーラム(World Economic Forum, WEF)が最近発表したエネルギー構造効率指数(2014年版)についてMENA諸国をとりあげて比較しました。
* ホームページ:
http://www.weforum.org/reports/global-energy-architecture-performance-index-report-2014
1.エネルギー構造効率指数について
エネルギー構造効率指数(Energy Architecture Performance Index, EAPI)は、 各国のエネルギー事情について調達・供給体制や経済性、環境負荷を総合的に評価したものである。指数は下記の3分野、18項目から算出されている。
1. Economic growth and development
a. Efficiency
(1) Energy intensity (GDP per unit of energy use (ppp US$ per kg of oil equivalent))
b. Lack of distortion / affordability
(2) Degree of artificial distortion to gasoline pricing (index)
(3) Degree of artificial distortion to diesel pricing (index)
(4) Electricity prices for industry (US$ per kilowatt-hour)
c. Supportive / detracts from growth
(5) Cost of energy imports (% GDP)
(6) Value of energy exports (% GDP)
2. Environmental sustainability
d. Share of low-carbon fuel sources in the energy mix
(7) Alternative and nuclear energy (% of total energy use, incl. biomass)
e. Emission impact
(8) CO2 emissions from electricity production, total/kwh
(9) Methane emissions in energy sector (thousand metric tones of CO2 equivalent)/total population
(10) Nitrous oxide emissions in energy sector (thousand metric tones of CO2 equivalent) /total population
(11) PM10, country level (micrograms per cubic metre)
(12) Average fuel economy for passenger cars (1-100 km)
3. Energy access and security
f. Level and quality of access
(13) Electrification rate (% of population)
(14) Quality of electricity supply (1-7)
(15) Percentage of population using solid fuels for cooking (%)
g. Self-sufficiency / multi-lateral markets
(16) Import dependence (energy imports, net % energy use)
(17) Diversification of import counterparts (Herfindahl index)
h. Diversity of Supply
(18) Diversity of total primary energy supply (Herfindahl index)
(続く)
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