2014年02月
2014年02月20日
(ドバイ)ドバイの人口220万人、男性が76%。周辺首長国からは昼間100万人が流入。
(MENA)昨年のMENAのM&A、前年比13%増の507億ドル、最大案件はUAEの国営アルミ2社合併。
(UAE)火星移住はイスラムの教えに反する:宗教省がファトワ。
*サルマン皇太子、サウジ王室関連記事下記参照。
「タナボタで皇太子になったサルマン」
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0232SaudiCrownPrinceSalman.pdf
「サウジ王族に勢力図に地殻変動の兆し」
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0267SaudiRoyalFamily.pdf
2014年02月19日
2014年02月16日
主役交代の石油開発業界
2000年のアラビア石油の利権契約終結と前後して日本の石油開発業界も主役交代の大きな節目を迎えていた。「70年代の石油開発業界」(第5回)で触れたように当時の業界は帝国石油、石油資源開発及びアラビア石油の御三家にインドネシア石油資源開発を加えた4社が中核であった。その他開発案件ごとに設立されたプロジェクト・カンパニーと呼ばれる群小企業が百社以上あったが、プロジェクト・カンパニーの殆どは探鉱に失敗したまま塩漬けにされた会社であり、日本の石油開発企業と言えば上記の4社だけと言っても良いほどであった。
4社が設立されたのはそれぞれ帝国石油が第二次大戦中の1940年、石油資源開発は1955年、アラビア石油が1958年であり、インドネシア石油(Indonesia Petroleum Exploration Co., 略称INPEX)が最も遅い1966年である。業界での序列もほぼ年代順であり、業界団体の石油鉱業連盟の会長は上位3社の持ち回り、会費は4社による均等負担の状態が1990年代末まで続いた。企業としての業績面で見れば1980年代前半まではアラビア石油が高収益の上場企業として世評が高く、インドネシア石油は収益構造と生産原油の質の高さに支えられアラビア石油以上の高い収益を誇り、非上場企業であるが知る人ぞ知る超優良企業に成長していた。
1990年代以降は停滞する先行3社を尻目にインドネシア石油が豊かな資金力を武器にインドネシア以外への進出を図った。このため同社は社名を国際石油開発と変えたのであるがこの際、同社は英文名を従来通りINPEXとした。何故ならインドネシア(Indonesia)も国際(International)も頭文字はともに「IN」であったため英語の社名を変更する必要がなかったからである。これは同社が日本の一石油開発企業から世界の石油業界に飛躍する上で一つの大きなメリットだったと思われる。
国際石油開発は新たに進出したカザフスタンでもエクソンモービルと共に世界最大級のカシャガン油田を発見するなど波に乗り日本を代表する石油開発会社に成長していった。さらに累積赤字で瀕死の状態にあったアブ・ダビの「ジャパン石油開発」を吸収合併して中東にも足掛かりを築いたのである。そして2006年には東証一部に上場、帝国石油と合併して「国際石油開発帝石ホールディングス」が設立された。これは国際石油開発と帝国石油の対等合併の形を取っているが、実質的には前者による吸収合併と言って良いであろう。こうして日本の石油開発業界は国際石油開発帝石の一強状態となり、その陰でアラビア石油は消えていったと言う次第である。
石油開発4社の栄枯盛衰と共にもう一つ忘れてはならないのが日本のエネルギー開発事業の潮流の変化であろう。その最初の潮目は堀内光男元通産相による石油公団乱脈融資告発事件である。1997年に通産相(現経産相)に就任した堀内氏は石油公団について事務方が用意した国会答弁書の内容に疑問をもち、石油公団の関連企業(上記プロジェクト・カンパニーのこと)112社を独自に精査し、その結果公団の不良債権が1兆3千億円に達することに気がついた。富士急行の経営者として帳簿の裏を読む力の賜物であろう。彼は通産相退任後の1998年、文芸春秋に「通産省の恥部 石油公団を告発する」と題する論文でこの事実を告発した。それが契機となり石油公団は解散された。石油公団はその後金属鉱業事業団と合併再編され、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構となって現在に至っている。
もう一つの潮目の変化は天然ガスの利用拡大である。1997年の地球温暖化防止京都会議(COP3)で炭酸ガス排出抑制が決議され、石油よりも炭酸ガス排出量の少ない天然ガスが脚光を浴びるようになった。さらに東京電力福島原発事故により天然ガスは時代の寵児となり、豪州、アフリカ、中央アジアなど世界各地で天然ガス開発競争が始まった。それに輪をかけたのが米国のシェールガス革命である。こうして現代のエネルギーの潮流は石油から天然ガスへと傾きつつある。
この天然ガスの流れに商機を見出したのが総合商社であった。これまでパイプラインが主流を占めていた天然ガス市場でLNG(液化天然ガス)が次第に大きな存在感を示すようになった。総合商社は天然ガスの開発そのものに投資するだけでなく、長期安定需要家の確保、さらにはLNG出荷搬出設備、LNG運搬船、消費地でのLNG受入再ガス化設備とあらゆる面で関与しようとしている。液体のLNGにより天然ガスは石油と同じ世界中に流通するコモディティ(商品)化しつつあるが、それは総合商社が最も得意とする分野なのである。
石油の時代が終わった訳ではない。しかし「中東」で「石油」だけを生産してきたアラビア石油の使命が終わったことは間違いない。アラビア石油は消えるべくして消えていったのである。同社の華々しい歴史を知る人も年々少なくなっていく------------。
(続く)
(追記)本シリーズ(1)~(30)は下記で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0278BankaAoc.pdf
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