2015年09月
2015年09月30日
(UAE)労働法改正、Kafalaの禁止など外国人の立場を保護。
(サウジ)赤字補てんのため過去半年で外貨準備から700億ドル引き出し。
(カタール)カタール投資庁(QIA)、ニューヨークに事務所開設、350億ドルを投資。 *
(カタール)カタール投資庁(QIA)、独VW株で84億ドル他投資判断ミスで120億ドルの損失発生。
(ドバイ)外国人の起業評価でドバイがシンガポールに次ぎ世界2位。
(イスラム経済)世界平均の2倍のスピードで成長、2020年には消費額2.6兆ドルに。
*レポート「湾岸のSWF:動かぬサウジ、動くカタール」(2011年11月)参照。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0201GccSwfPart6.pdf
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0357MenaRank18.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その18)
中東北アフリカ諸国は英語のMiddle East & North Africaの頭文字をとってMENAと呼ばれています。MENA各国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。なおMENAの対象国は文献によって多少異なりますが、本シリーズでは下記の19の国と1機関(パレスチナ)を取り扱います。(アルファベット順)
アルジェリア、バハレーン、エジプト、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェイト、レバノン、リビア、モロッコ、オマーン、パレスチナ自治政府、カタール、サウジアラビア、シリア、チュニジア、 トルコ、UAE(アラブ首長国連邦)、イエメン、
これら19カ国・1機関をおおまかに分類すると、宗教的にはイスラエル(ユダヤ教)を除き、他は全てイスラム教国家でありOIC(イスラム諸国会議機構)加盟国です。なおその中でイラン、イラクはシーア派が政権政党ですが、その他の多くはスンニ派の政権国家です。また民族的にはイスラエル(ユダヤ人)、イラン(ペルシャ人)、トルコ(トルコ人)以外の国々はアラブ人の国家であり、それらの国々はアラブ連盟(Arab League)に加盟しています。つまりMENAはイスラム教スンニ派でアラブ民族の国家が多数を占める国家群と言えます。
第18回のMENAランキングは、スウェーデンの「ストックホルム国際平和研究所(Stockholm International Peace Research Institute, 略称SIPRI)」のホームページに発表されたデータベースの中からSIPRI Military Expenditure Database及びSIPRI Arms Transfers Databaseを取り上げ、2014年のMENA各国の軍事費、一人当たり国防費、GDPに占める比率及び政府歳出に占める割合を比較する。また2010年から2014年の5年間にわたる各国の武器輸入合計額を比較し、さらに参考までに主要な武器輸出国の輸出額を取り上げる。
*SIPRIホームページ:http://www.sipri.org/databases
なおMENAのうちイラン、クウェイト、カタール、シリア及びパレスチナ自治政府の4か国1機関はデータが無いため比較対象国の数は15カ国である。
1.軍事費総額の比較:圧倒的なサウジアラビア、一国で全体の4割強
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/18-G01.pdf 参照)
MENA15カ国の軍事費の総額は1,928億ドルである。最も多いのはサウジアラビアの808億ドルであり、同国だけで全体の4割弱を占めている。同国の軍事費は世界でもトップクラスにあり、米国、中国、ロシアに次ぐ世界4位であり日本(594億ドル、世界6位)よりも多い。サウジアラビアに次いで国防費が多いのはUAE(228億ドル)、トルコ(226億ドル)であるが、トップのサウジアラビアの4分の1強にすぎない。4位イスラエル(159億ドル)、5位アルジェリア(119億ドル)までの5か国が国防費100億ドル以上の国である。上位5カ国の軍事費は全体の8割に達する。MENAは一部の国の国防費が極めて多いことが特徴である。
第6位オマーン及び第7位イラクは90億ドル台であるが、第8位のエジプト以下は50億ドル以下にとどまっている。イエメン、バハレーン、ヨルダンは10億ドル台であり、サウジアラビアの70~80分の1、イスラエル、トルコの10分の1に満たない金額である。
世界各国の軍事費を比べると世界一は米国であり、同国の軍事費は6,099億ドルで実にサウジアラビアの8倍、UAE、トルコの30倍近くである。また中国は米国に次いで多い2,164億ドルであり、日本の約5倍、サウジアラビアの2.7倍となる。日本は世界6位の594億ドルであるが、サウジアラビアの軍事費は日本の1.8倍である。
(続く)
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