2015年11月

2015年11月22日

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0362MenaRank13.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その13)


 中東北アフリカ諸国は英語のMiddle East & North Africaの頭文字をとってMENAと呼ばれています。MENA各国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。なおMENAの対象国は文献によって多少異なりますが、本シリーズでは下記の19の国と1機関(パレスチナ)を取り扱います。(アルファベット順)


 アルジェリア、バハレーン、エジプト、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェイト、レバノン、リビア、モロッコ、オマーン、パレスチナ自治政府、カタール、サウジアラビア、シリア、チュニジア、 トルコ、UAE(アラブ首長国連邦)、イエメン、


 これら19カ国・1機関をおおまかに分類すると、宗教的にはイスラエル(ユダヤ教)を除き、他は全てイスラム教国家でありOIC(イスラム諸国会議機構)加盟国です。なおその中でイラン、イラクはシーア派が政権政党ですが、その他の多くはスンニ派の政権国家です。また民族的にはイスラエル(ユダヤ人)、イラン(ペルシャ人)、トルコ(トルコ人)以外の国々はアラブ人の国家であり、それらの国々はアラブ連盟(Arab League)に加盟しています。つまりMENAはイスラム教スンニ派でアラブ民族の国家が多数を占める国家群と言えます。


 第13回のランキングは、World Bank(世界銀行)の一グループDoing Businessがおこなったビジネス環境に関する世界各国のランキング(Economy Rankings)2016年版についてMENA諸国をとりあげて比較しました。

* Doing Businessのホームページ:http://www.doingbusiness.org/
 
1.「Economy Rankings – Doing Business」について
 「Economy Rankings – Doing Business 2016」は、世界189の国あるいは地域のビジネス環境をランク付けしたものであり、当該国・地域でビジネス活動を行う場合の難易度を知る目安になる。判定は以下の10項目について順位付けを行い、それら10項目の順位の加重平均によって総合順位(Ease of Doing Business)が決められている。


(1) Starting a Business (起業)
(2) Dealing with Construction Permits(建設許可)
(3) Getting Electricity (電力事情)
(4) Registering Property(登記)
(5) Getting Credit(信用取得)
(6) Protecting Investors(投資家保護)
(7) Paying Taxes(徴税)
(8) Enforcing Contracts(契約強制力)
(9) Trading Across Borders(通関)
(10) Resolving Insolvency(清算)


 ランク付けの対象となった国・地域の数は189であるが、そのうちMENAは19カ国及びパレスチナ自治政府の20であり全ての対象国がランク付けされている。


(続く)


本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp



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2015年11月20日

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2015年11月19日

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0361MenaRank15.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その15)


5.主要国の分野別競争力(レーダーチャート)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/15-G02.pdf 参照)  
 MENAの主要5カ国(エジプト、トルコ、サウジアラビア、イスラエル及びUAE)と日本、米国、中国の分野別競争力を比較してみる。ここではこれら7か国を総合世界ランクが近い国同士で3つのグループに分け、レーダーチャート図によって各国の競争力の特徴を比較検討する。


 レーダーチャート図は最も外側が世界順位1位であり内側の中心は世界151位である。また最上段の総合順位以下時計周りの1から12の数字は各分野を示している。各分野の世界順位を結ぶ輪が各国の状況である。レーダーチャートの輪が外側に広がっているほど世界での順位が高く、また輪の形が円に近いほど各分野で平均した競争力があることを示している。


(1)UAEと米国、日本の比較
 まず米国(総合世界3位)、日本(同6位)とUAE(同17位)を比較すると、米国は「3.マクロ経済環境」が大きく落ち込んでいるが(世界96位)、6項目は世界のベスト・テンに入っており、3項目がベスト20位である。これに対して日本は米国同様「3.マクロ経済環境」が大きく落ち込み世界121位にとどまっているが、「2.インフラ」など5項目が世界のベスト・テンに入り、その他の4項目も世界20位以内に入っており平均した競争力を持っていることを示している。


 MENAで2位、世界17位のUAEは「1.制度機構」、「2.インフラ」、「5.高等教育及び訓練」の3項目が世界10位以内であり米国とそん色がない。さらにすべての項目が世界40位以内であり全体としては均衡のとれた競争力を示している。


(2)サウジアラビア、イスラエルと中国の比較
 次にサウジアラビアイスラエル及び中国を比べると総合順位はそれぞれ25位、27位、28位であり非常に近接している。サウジアラビアは「3.マクロ経済環境」が世界4位と非常に評価が高い。その他の項目では世界30~40位台が多く、最も悪いのは「7.労働市場効率」の世界60位である。


 中国がサウジアラビアを上回っているのは「4.保健及び初等教育」、「7.労働市場効率」及び「10.市場規模」の3項目だけであり、その他の9項目はサウジアラビアが中国を上回っている。市場規模の格差については説明するまでもないが、労働市場効率に関しては、サウジアラビアでは宗教上の制約により女性の就労率が低いため市場効率が悪いとされているのである。一方、サウジアラビアは「1.制度機構」では世界24位で中国(51位)を上回り、また「5.高等教育及び訓練」では49位対68位、「9.技術的即応性」は42位対74位などサウジアラビアが中国より優れている項目がある。


 イスラエルは両国の中間にあり、世界3位の「12.イノベーション」以外の項目の多くは世界40~50位台である。


(3)トルコとエジプトの比較
 トルコとエジプトは共に人口7千~8千万人を有するMENAの大国である。両国の総合ランクはトルコ51位、エジプト116位と大きな格差がある。トルコは「7.労働市場効率」が世界127位と極めて低いが、その他のほとんどの項目は60位前後で世界の上位グループに入っている。これに対してエジプトは12項目中の6項目が世界100位以下、その他4項目も90位前後に低迷しており、「10.市場規模」だけが世界上位の24位である(同項目のトルコの順位は16位)。エジプトは人口規模のみが競争力として評価され、その他の項目は極めて低いのに対しトルコは新興工業国として種々の側面で競争力が評価されていると考えられる。


(完)


本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
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2015年11月18日

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(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0361MenaRank15.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その15)


4.MENAの分野別競争力(続き)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/15-T03.pdf 参照)
(7) 労働市場効率(Labor market efficiency)
 世界11位のUAEがMENAトップである。カタール(世界14位)、バハレーン(同24位)がこれに続いている。MENAのこの分野における世界順位は概して低く、イラン(138位)、エジプト(137位)、アルジェリア(135位)、チュニジア(133位)など世界140カ国の中でも最低クラスの国が多い。このためMENAの平均順位は90位であり12の指標の中では最も低い。
(参考:米国4位、日本21位、中国37位)
 
(8)金融市場の開発度(Financial market development)
 MENAではカタールが最も洗練された金融市場と評価されており世界13位である。そのほかではUAE(世界20位)、イスラエル(26位)などが世界競争力の高い国とされている。金融活動が活発なバハレーンは33位である。
(参考:米国5位、日本19位、中国54位)
 
(9)技術的即応性(Technological readiness)
 この分野では世界ランク20位のイスラエルがMENAトップである。続いてUAE(世界30位)、カタール(同31位)、バハレーン(34位)、サウジアラビア(42位)と続いている。一方、エジプト及びイランは各々98位、99位であり、アルジェリアはMENA15カ国中では最も低い126位である。
(参考:米国17位、日本19位、中国74位)
 
(10)市場規模(Market size)
 市場規模の競争力ランクではトルコが世界16位、サウジアラビア17位、イラン19位、エジプトが24位である。この指標は人口規模と密接に関係しており、MENAの人口大国が上位に並んでいる。これに対してカタール(56位)、クウェイト(58位)など人口が少ない湾岸産油国は一人当たりの購買力は高いが市場規模での競争力は高くない。
(参考:米国2位、中国1位、日本4位)
 
(11)ビジネスの洗練度(Business sophistication)
 カタールがMENA1位(世界10位)であり、これに続くのがUAE(15位)、イスラエル(23位)、サウジアラビア(29位)である。一方、イラン(110位)のように経済制裁を受けている国は、欧米の経営ノウハウの流入が遅れており、洗練度が低く競争力は見劣りすると評価されている。
(参考:日本2位、米国4位、中国38位)
 
(12)イノベーション(Innovation)
 イスラエルは世界3位であり、技術先進国としての評価が定着している。同国に次ぐMENA2位はカタール(世界14位)、以下UAE(26位)、サウジアラビア(34位)であり、MENA1位のイスラエルと3位以下の格差は大きい。またオマーン、クウェイト、チュニジア、アルジェリア、エジプトなど100位以下の国も少なくない。アラブ諸国はイノベーション分野では後進地域と見なされているようである。
(参考:日本5位、米国4位、中国31位)
 
(続く)


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