2015年11月

2015年11月17日

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0361MenaRank15.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その15)


4.MENAの分野別競争力
 冒頭に触れた通り世界競争力指数は「制度機構」から「イノベーション」まで12の分野について世界140カ国を順位付けている。各分野毎のMENA各国の世界順位は概略以下のとおりである。
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/15-T03.pdf 参照)

(1) 制度機構(Institutions)
 MENAトップはカタールで世界順位は4位、同国に次ぐのはUAE(世界9位)であり、この両国は世界トップレベルである。MENA3位以下は、サウジアラビア(同24位)、バハレーン(同26位)、オマーン(同31位)であり、これらGCC諸国は世界的に見ても高い水準である。但し同じGCC構成国でもクウェイトは世界56位であり6カ国の中では見劣りがする。
(参考:日本13位、米国28位、中国51位)
 
(2) インフラ(Infrastructure)
 UAEは世界4位であり非常に評価が高い。これに次ぐのがカタール18位、バハレーン29位、サウジアラビア30位、イスラエル32位であり、MENA諸国の中ではUAEが飛び抜けている。
(参考:日本5位、米国11位、中国39位)

(3) マクロ経済環境(Macroeconomic environment)
 カタールが世界2位。以下クウェイト(3位)、サウジアラビア(4位)、UAE(7位)である。GCCの4カ国が世界のトップテンに入っている。これら各国に続くのがオマーン(19位)、アルジェリア(38位)、イスラエル(50位)である。GCC6カ国のうちバハレーンを除く5カ国が世界20位以内に入っているが、これらの国家は収入の大半を石油に依存しており、昨年前半まで高い原油価格に恵まれ、また「アラブの春」以降MENAに広まるイスラム過激派テロ活動を抑え込んで政治の安定を保っていることが評価されている。これに対してヨルダン(130位)、エジプト(137位)、レバノン(139位)などは世界140カ国中の最低ランクにとどまっている。
(参考:中国8位、米国96位、日本121位)


(4) 保健および初等教育(Health and primary education)
 この分野では世界28位のカタールがMENAトップである。これに次ぐのはレバノン(30位)、バハレーン(35位)、UAE(38位)である。一方、エジプトは96位であり、今回評価対象とならなかったイエメン及びリビアの昨年度順位は各々116位及びリビア119位であり、MENA諸国の間にはかなりの格差がある。
(参考:日本4位、米国46位、中国44位)


(5) 高等教育及び訓練(Higher education and training)
 MENAトップはカタール(世界27位)でこれに次ぐのがイスラエル(同28位)、UAE(37位)、バハレーン(44位)、サウジアラビア(49位)である。100位以下にはモロッコ(108位)及びエジプト(111位)の2カ国が名を連ねている。
(参考:米国6位、日本21位、中国68位)


(6) 商品市場効率(Goods market efficiency)
  この分野ではUAE(世界3位)及びカタール(同5位)の2カ国が世界のトップレベルに評価されている。これら2カ国に続くのがバハレーン(18位)、サウジアラビア(29位)でGCCの4カ国が上位を占めている。同じGCC加盟国であるがクウェイトは世界98位と低い。地域の大国トルコ、イラン、エジプトの順位はそれぞれ45位、109位、115位である。
(参考:日本11位、米国16位、中国58位)


(続く)


本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp




drecom_ocin_japan at 09:09コメント(0)トラックバック(0) 

2015年11月16日

drecom_ocin_japan at 10:24コメント(0)トラックバック(0) 









本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp


(続く)


 エジプトは「中東の春」によるムバラク軍事独裁政権からムルシ・イスラム主義政権へ、さらにシーシ軍事政権に逆戻りし、その間経済が大きく停滞したが昨年から漸く安定に向かっている。これに対してトルコは中東の優等生として高い経済成長を誇ってきたが、最近では与党の強権体制で経済が停滞気味である他、隣国シリアの混乱あるいは国内ではクルド問題等を抱えていることで欧米諸国に警戒感が生まれている。


 トルコとエジプトはここ5年間明暗を分けている。第11回(2010-2011年)の順位はトルコ59位、エジプト94位であったが、トルコはその後59位→43位→44位→45位と安定している。一方のエジプトは第11回の94位以降、107位→118位→119位と順位を下げ100位以下が定着した感があり、トルコとの差は年々大きくなっている。但し今回はトルコが順位を51位に下げたのに対し、エジプトは116位と上げており、両国の格差はわずかながら縮まっている。


 サウジアラビアは5年間を通じて第11回(2011-2012年)の17位をピークとしてその後は連続して順位を下げており今回は25位にとどまり、競争力に陰りが見えている。これに対して中国は26位→29位→29位→28位→28位とコンスタントに20位台の後半であり、サウジアラビアと中国のランク差は縮小している。


3-2 主要3カ国と米国・日本・中国の比較
 MENAの経済大国であるサウジアラビア、トルコ、エジプト3カ国と米国、日本、中国の過去5回の競争力順位を比べてみる。
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/15-G01.pdf 参照)
 
 米国の第11回(2011-12年)の順位は世界5位であったが、5年間の順位は5位→7位→5位→3位→3位と第12回(2012-13年)に一旦7位まで下がった後は連続して順位を上げ前回と今回はベスト・スリーになっている。日本は9位→10位→9位→6位→6位と5年連続してベスト10に入っており、コンスタントに高いランクにいる。日米がともに最近順位を上げているのは、EU諸国の競争力が相対的に低下しているためと考えられる。

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0361MenaRank15.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その15)



drecom_ocin_japan at 08:44コメント(0)トラックバック(0) 

2015年11月13日

drecom_ocin_japan at 11:36コメント(0)トラックバック(0) 

2015年11月12日

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0361MenaRank15.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その15)


3.過去5回の順位の推移
3-1 MENA各国の順位の変遷(第11回~第15回)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/15-T02.pdf 参照)
 第11回(2011-2012年)から第15回(2015-2016年)までの競争力ランクの推移を見ると、カタールは前回を除き5回中4回はMENAトップを占めており、また世界順位も10位台の前半を維持している。UAEの世界順位は第11回の27位以降24位→19位→12位へと毎回大きく躍進、前回はカタールを抜いてMENAトップとなった。今回は17位に落ちたものの世界20位以内が定着したと考えられる。


 サウジアラビアは第13回まではUAEを上回る順位であったが、過去5年間は17位→18位→20位→24位→25位と最近は20位台に定着した感がある。カタール、UAE及びサウジアラビアはいずれも湾岸の有力産油(ガス)国であり、近年石油・天然ガス価格が高水準で推移しているため豊かな財政力にものを言わせて産業基盤の整備、外資誘致などに積極的であり競争力の評価が高まっていると言えよう。その他のGCC3カ国のうちクウェイト及びバハレーンは5年間を通じて常に世界50位以内に入っており、オマーンも今回こそ62位に落ちたがそれまでは30位~40位であった。


 MENAの大国であるトルコ、イランおよびエジプトの3カ国を比較すると、第11回(2011-2012年)はトルコ59位、イラン62位、エジプト94位であった。トルコはその後43位→44位→45位→51位とほぼ世界の50位以内を維持している。これに対してイランは第12回までは60位台を維持していたが、その後の2回は80位台に落ち今回は72位に戻るなどかなり振幅が激しい。エジプトの場合は第11回の94位から第12回以降は世界100位以下に転落しここ3年間は110位台後半にとどまっている。「アラブの春」以降政局が安定せず、最近ようやく落ち着きを取り戻しつつあるように見えるが、軍事政権に対する評価を含め外国が見るエジプトの対外競争力の評価は極めて厳しいと言うべきであろう。


 「アラブの春」のきっかけとなったチュニジアは政変直後の第11回(2011-2012年)は40位であったものの、第12回は評価対象外とされ、評価が再開された前々回以降は83位→87位→92位世界の下位グループに落ち、しかも年々競争力順位が下がっている。


 MENA諸国はここ数年競争力順位を下げた国が多く、世界におけるMENAの平均順位も第11回の58位から62位→66位→67位と昨年までは毎年下がっている。今回は58位にアップしているが、これは世界ランクが低いリビア、イエメン、シリアが評価対象外となっていることが影響したものであり、実質的には60位台後半程度と見られる。


(続く)


本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp




drecom_ocin_japan at 16:31コメント(0)トラックバック(0) 
記事検索
月別アーカイブ
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ