2015年11月
2015年11月11日
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0361MenaRank15.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その15)
(MENAトップに返り咲いたカタール!)
2.MENA15カ国の世界競争力ランキング
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/15-T01.pdf 参照)
2014-2015年競争力ランキングではMENA19か国のうち15カ国がランク付けされている。昨年2位のカタールがトップに返り咲いた。同国は世界140カ国中の14位に評価され前回よりランクを2つ上げている。昨年世界12位でMENAトップであったUAEは、今回は世界17位に下がっている。この2か国に続くのはサウジアラビア(世界25位)、イスラエル(同27位)である。以下クウェイト(同34位)、バハレーン(同39位)であるがこれら2か国は前回よりそれぞれ6ランク及び5ランク上がっている。これらMENA上位6カ国は世界50位以内に入っているが、イスラエルを除く5カ国はGCC(湾岸協力機構)加盟国である。GCC諸国は石油・天然ガスの富によりMENA域内では突出した競争力を持っていることがわかる。
MENA7位以下はトルコ(世界51位)、オマーン(同62位)、ヨルダン(同64位)と続き、以上の8カ国が全世界140カ国中の上位グループに入っている。オマーンは昨年の46位から大幅に順位を落としている。MENA10位以下はモロッコ(世界72位)、イラン(同74位)、アルジェリア(同87位)、チュニジア(同92位)、レバノン(同101位)、エジプト(同116位)である。
昨年126位のリビア及び142位のイエメンは今回評価の対象から外れており、また最初にも書いたとおりイラク、シリア及びパレスチナ自治政府はランク付けされていない。なおMENA15カ国の平均順位は58位で昨年の67位より上回っており、また世界平均を少し上回っている。但し昨年より平均順位が上がったのは昨年世界順位の低かったリビア及びイエメンが今回査定対象外となった特殊事情によるものである。
因みに世界ランク1位はスイスであり、2位はシンガポール、3位米国である。これら3か国は昨年と同じ順位である。また日本も昨年同様世界6位にランクされている。中国は28位でありイスラエルに次ぐランクである。
今回の世界順位を前回のそれと比較すると、比較的順位を大きく上げたのはレバノン、イラン、クウェイト、バハレーンの各国であり、一方順位を下げた国はオマーン、アルジェリア、トルコ、UAE、チュニジアである。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
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2015年11月05日
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0361MenaRank15.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その15)
中東北アフリカ諸国は英語のMiddle East & North Africaの頭文字をとってMENAと呼ばれています。MENA各国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。なおMENAの対象国は文献によって多少異なりますが、本シリーズでは下記の19の国と1機関(パレスチナ)を取り扱います。(アルファベット順)
アルジェリア、バハレーン、エジプト、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェイト、レバノン、リビア、モロッコ、オマーン、パレスチナ自治政府、カタール、サウジアラビア、シリア、チュニジア、 トルコ、UAE(アラブ首長国連邦)、イエメン、
これら19カ国・1機関をおおまかに分類すると、宗教的にはイスラエル(ユダヤ教)を除き、他は全てイスラム教国家でありOIC(イスラム協力機構)加盟国です。なおその中でイラン、イラクはシーア派が政権政党ですが、その他の多くはスンニ派の政権国家です。また民族的にはイスラエル(ユダヤ人)、イラン(ペルシャ人)、トルコ(トルコ人)以外の国々はアラブ人の国家であり、それらの国々はアラブ連盟(Arab League)に加盟しています。つまりMENAはイスラム教スンニ派でアラブ民族の国家が多数を占める国家群と言えます。
第15回のランキングは、「世界経済フォーラム」(World Economic Forum, 略称WEF)が発表した「Global Competitiveness Report 2015-2016」(世界競争力レポート)についてMENA諸国をとりあげて比較しました。
* WEFホームページ:
http://www.weforum.org/reports/global-competitiveness-report-2015-2016
1.「世界競争力レポート」について
「世界競争力レポート(Global Competitiveness Report)」は、毎冬スイスで開催される「ダボス会議」の主催者として世界に名を知られている「世界経済フォーラム」が2001年から毎年発表しているレポートであり今回で第15回目となる。第1回レポートの対象国は75カ国であったが、その後対象国は増え今回は140カ国となっている。MENAの対象国は15カ国であり、評価対象外となっている国はリビア、シリア、イラク、イエメン及びパレスチナ自治政府である。
このランキングは、一般に入手可能な公表データと、WEFが報告対象各国の提携機関とのネットワークで行っている包括的年次調査「エグゼクティブ意見調査」の結果から算出されている。ちなみに日本の提携機関は慶応大学、経済同友会である。
「世界競争力レポート」の総合的な競争力ランキングはコロンビア大学のザビエル・サラ=イ=マーティン教授が開発し2004年に導入された世界競争力指数(Global Competitiveness Index, GCI)が用いられている。GCIは競争力に関する12の分野をもとに設計されており、世界の国々のすべての発展段階における競争力の全体像を示している。
12分野とは、①制度機構(Institutions)、②インフラ(Infrastructure)、③マクロ経済の安定(Macroeconomic stability)、④保健および初等教育(Health and primary education)、⑤高等教育及び訓練(Higher education and training)、⑥商品市場効率(Goods market efficiency)、⑦労働市場効率(Labor market efficiency)、⑧金融市場の洗練度(Financial market sophistication)、⑨技術的即応性(Technological readiness)、⑩市場規模(Market size)、⑪ビジネスの洗練度(Business sophistication)及び⑫イノベーション(Innovation)である。
(続く)
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