2017年02月
2017年02月23日
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0398MenaRank10.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その10)
3.2012年~2016年の日本とMENA諸国の貿易
(2年連続で大幅に減少したMENAの貿易額!)
(1)日本とMENA諸国の貿易額及び対中国、対米貿易との比較
(表http://menarank.maeda1.jp/10-T04.pdf 参照)
(図http://menarank.maeda1.jp/10-G03.pdf 参照)
2012年から2016年までの5年間の日本とMENA19カ国1機関(パレスチナ自治政府)との貿易総額(輸出と輸入の合計額)は、2012年16兆円、2013年19兆円、2014年20兆円と毎年増加し続けた後、2015年は一転して13兆円に減少、さらに2016年には10兆円を割り9.7兆円に落ち込んだ。わずか2年間で半減したのである。また日本の貿易総額に占める割合は2012年から2014年までは12%前後であったが、2015年は8.8%、2016年は7.2%と一けた台に落ち込んでいる。米国及び中国と比較すると、MENAの貿易額は2014年まではほぼ米国に肩を並べていたが、2015年はMENAが減少した反面米国は伸び、中国も微増であった。2016年は日本と米国、中国との貿易額は落ち込んだが、日本とMENAとの貿易はそれ以上に急減し、MENAと両国の貿易格差は拡大、2016年はMENAは米国の2分の1、中国の3分の1にとどまっている。
(日本の対MENA貿易は5年連続で赤字!)
(2)日本/MENA間の輸出と輸入
(図http://menarank.maeda1.jp/10-G04.pdf 参照)
MENAの貿易額を輸入と輸出に分けて見ると、日本のMENAからの輸入額は2012年の14兆円から2014年には16兆円まで膨れたが、2015年には一転して9.8兆円、2016年のそれは6.7兆円にとどまっている。一方日本からの輸出額は2.7兆円(2012年)→2.9兆円(2013年)→3.5兆円(2014年)→3.7兆円(2015年)と4年間を通じて増加し、2016年に至り5年間で初めて減少に転じている。
2011年の福島原発事故以後LNGの輸入が急増し、油価の高騰と相まってサウジアラビア、カタールなどからの輸入額が急増した。しかし2014年年央以降は油価が急落、さらに円安の影響もあって円建て輸入額は急減した。これに対してMENA産油国は2015年までオイル・ガスブームが続いており自動車・プラントなど日本からの輸出が増加した。しかし油価の下落は産油国自身の経済も委縮させ、また円高の影響もあり、日本からの輸出は停滞気味である。
これらの要因により日本のMENA諸国に対する貿易収支は2014年まで年間10兆円以上の赤字であったが、2015年は赤字幅が6兆円に縮小、更に2016年の貿易赤字は3.6兆円に減少している。但し5年間を通じて日本の対MENA貿易が大幅な赤字であることに変わりはない。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
2017年02月22日
(サウジ)第二株式市場Nomu、7社上場で26日スタート。
(サウジ)日本の水処理関連企業8社とサウジ民間企業70人がジェッダ商工会議所で会議。
(クウェイト)2020年までに電気料金などすべての助成金を廃止。
(アブダビ国際兵器見本市関連)
・国際兵器見本市(IDEX2017)に世界57カ国からボーイング等1,200社が参加。UAEは総額40億Dhを発注。
・露兵器メーカーカラシニコフ社、昨年の売上倍増。ドローン、ミサイル、ライフルなど中東向けが絶好調。
・SIPRI(ストックホルム国際平和研究所)レポート:兵器の輸入トップはサウジ、輸出トップは米国。 **
* アブダビ陸上油田操業会社(ADCO)の60%はADNOCが保有。
40%を外国企業に放出することとし、すでにBP10%、Total10%、INPEX(日)5%、GS Energy(韓)3%獲得済み。残るは4%。
** SIPRI2015年レポートについてはMENAランク18「MENA軍事費ランク」参照。
http://mylibrary.maeda1.jp/0374MenaRank18.pdf
2017年02月21日
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0398MenaRank10.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その10)
2.MENAと日本の2015年の輸出入(続き)
(石油・LNGの輸入で日本の輸入超過6兆円!)
(3)輸出入バランス
(表http://menarank.maeda1.jp/10-T01.pdf 参照)
(図http://menarank.maeda1.jp/10-G02.pdf 参照)
MENA全体の貿易バランスは3.6兆円の輸入超過である。これは言うまでもなく石油或いは天然ガスの輸入によるものであり、特にサウジアラビア(-1.6兆円)、UAEおよびカタール(各-1兆円)、クウェイト(-2,800億円)並びにイラン(-3,000億円)の産油(ガス)5カ国に対する輸入超過額が大きい。5カ国の輸入超過合計額(4.2兆円)だけでMENA全体の輸入超過額を超えている。但し日本のMENAとの輸入超過額は昨年の6.2兆円から大幅に改善している。これは原油・天然ガスの価格がこの間に大きく下がり金額ベースの輸入額が大幅に減ったためである。
一方日本の輸出超過となっている国はトルコ、エジプトなど11カ国1機関である。いずれも超過額は輸入に比べて少ないが、比較的金額が大きいのはトルコ(2,500億円)、エジプト(1,100億円)である。
因みに中国は4.7兆円の輸入超過でMENAの1.3倍であるが、米国は逆に6.8兆円の大幅な輸出超過となっている。
輸出入バランスを2015年と比較すると、日本全体では2015年の2.7兆円の輸入超過から2016年には4.1兆円の黒字に転換している。日本とMENA諸国の貿易バランスも2015年の-6.2兆円が2016年には-3.6兆円と4割強減少している。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0398MenaRank10.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その10)
2.MENAと日本の2016年の輸出入(続き)
(小国UAEが最大の輸出相手国。理由はドバイから周辺諸国への再輸出!)
(2)日本からの輸出
(表http://menarank.maeda1.jp/10-T03.pdf参照)
2016年の日本の輸出総額は70兆円であったが、そのうちMENA諸国への輸出は3.1兆円であり全体に占める割合は4.4%である。輸入に占める割合が10%であることに比べかなり低い。日本とMENAの貿易は日本の大幅な輸入超過という片貿易である。
国別にみるとMENAで日本の輸出が最も多いのはUAEの8,684億円であり、これに次ぐのがサウジアラビアの5,463億円である。UAEの人口は外国人を含め920万人であり、サウジアラビア(3,150万人)の3分の1以下であるにもかかわらず[1]、輸出額では両国が逆転している。UAEはドバイの自由貿易港を通じたGCC、東アフリカ、中央アジア等の国々への再輸出が多いためである。
UAE、サウジアラビアに次ぐ日本からの輸出第3位はトルコであるが、その輸出額は3,100億円であり両国と大きな開きがある。4位以下はオマーン(2,770億円)、イスラエル(2,140億円)、クウェイト(1,840億円)、カタール(1,670億円)、エジプト(1,240億円)と続き9位のバハレーン以下は輸出額1,000億円未満である。ちなみに中国向け輸出は12兆円、米国向け輸出は14兆円で全世界向け輸出に占める割合はそれぞれ18%および20%であり、MENA諸国向け総輸出額の4~5倍である。
昨年の輸出額と比較すると日本全体では7.4%減であり、MENA地域向けはこれを上回る16%減であった。輸出額1,2位のUAE及びサウジアラビアはそれぞれ18%減および34%減でありMENA平均を上回る減少幅であった。このような中で輸出額が前年を上回ったのはトルコ(2,616億円→3,107億円、19%増)、イスラエル(1,415億円→2,142億円、51%増)、イラン(348億円→632億円、82%増)の国々である。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp