2017年08月
2017年08月18日
2017年08月17日
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/MenaRank2.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その2)
2017.8.17
前田 高行
(MENAでは3人乃至4人に1人が若年層、日本ではわずか7人に1人!)
2.若年層の比率
(表http://menarank.maeda1.jp/2-T01.pdf参照)
MENA諸国は一般に若者が多い。年齢10-24歳の若年層が全人口に占める割合はMENA平均で25%であり、4人に一人が若年層である。国別にみるとイラク、ヨルダン、シリア、イエメン及びパレスチナ自治政府では3割以上を占めている。これに対して米国および中国の若年層の比率は18-20%であり、MENA諸国に比べて低い。さらに日本の場合はその比率は14%にとどまっており、若年層は全人口の7人に1人と非常に少ない。
なお同じGCC産油国の中でも若年層の比率はサウジアラビアの24%に対して、UAEは17%である。一見するとサウジアラビアの方がUAEよりも若年層の比率が高いが、これはUAE(特にドバイ)の人口の8割以上を占める外国人労働者の年齢が25歳以上の成人層であるため、見かけ上の若年層の比率が低くなっていると考えられる。カタールの若年層比率が20%と相対的に低いのも同様の理由である。
MENAに若年層が多いことは豊富な労働力の予備軍があるというプラスの側面がある一方、若者の失業問題を抱えることになり、また無職の若者あるいは社会の不平等を実感する若者たちがイスラム原理主義などの過激な思想に影響されやすいというマイナスの側面もある。数年前の「アラブの春」でそれが現実のものとなったことは記憶に新しい。
若者達の健全な育成をめざし彼らに適正な仕事を与えることがMENA地域の安定につながる重要な鍵であると言えよう。
(難民の国外脱出の結果、MENAで唯一人口が減少したシリア!)
3.MENA各国の人口増加率
(表http://menarank.maeda1.jp/2-T01.pdf参照)
(図http://menarank.maeda1.jp/2-G02.pdf 参照)
MENA諸国の中で人口増加率が最も高いのはオマーンの7.6%であり飛び抜けて高い。これに次ぐのがレバノン5.4%、クウェイト4.5%、カタール4.3%である。以下イラク(3.3%)、ヨルダン(2.9%)と続いている。その他人口増加率が2%を超えているのはサウジアラビアとエジプトである。
全世界平均の人口増加率は1.2%であるが、MENAの平均増加率は2.5%であり、世界平均を2倍以上上回っている。このような中でシリアはMENAの中で唯一マイナス1.8%であり人口が減少している。これは同国で政府と反政府、更にはイスラム国(IS)が三つ巴で内戦を繰り広げている結果、多数の難民が発生、国外に逃れたためとみられる。因みに2015年の統計では同国の人口増加率はマイナス2.3%であった。今回は減少率が少し改善しているが他のMENA諸国には見られない2年連続の人口減少という異常な状況にある。なお日本の増加率はー0.1%で世界平均を上回る人口の増加が続いているMENAとは対照的である。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
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2017年08月16日
(サウジ)イラクとの間で通商協議会を設立。
(サウジ/イラク)Arar国境検問所、近く27年ぶりに再開。
(アブダビ)独Air Berlin、Etihad航空の支援を絶たれ倒産。
(UAE)早稲田大学のデジタル政府世界ランクでアラブ諸国トップ、世界34位に。
(クウェイト)Dibdibah太陽光発電プロジェクト、入札希望表明は9月7日締め切り。来年入札。
(GCC)VAT(付加価値税)導入はサウジ、UAEが先行して来年初から。その他は遅れる:UAE国税長官。
*参考:「カタール、GCC離脱(Qatarexit)の可能性も:カタールとサウジ他が断交」
2017年08月14日
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/MenaRank2.pdf
2017.8.14
前田 高行
(MENAなんでもランキング・シリーズ その2)
中東北アフリカ諸国は英語のMiddle East & North Africaの頭文字をとってMENAと呼ばれています。MENA各国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。なおMENAの対象国は文献によって多少異なりますが、本シリーズでは下記の19の国と1機関(パレスチナ)を取り扱います。(アルファベット順)
アルジェリア、バハレーン、エジプト、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェイト、レバノン、リビア、モロッコ、オマーン、パレスチナ自治政府、カタール、サウジアラビア、シリア、チュニジア、 トルコ、UAE(アラブ首長国連邦)、イエメン、
これら19カ国・1機関をおおまかに分類すると、宗教的にはイスラエル(ユダヤ教)を除き、他は全てイスラム国家でありOIC(イスラム諸国会議機構)加盟国です。なおその中でイラン、イラクはシーア派が政権政党ですが、その他の多くはスンニ派の政権国家です。また民族的にはイスラエル(ユダヤ人)、イラン(ペルシャ人)、トルコ(トルコ人)以外の国々はアラブ人の国家であり、それらの国々はアラブ連盟(Arab League)に加盟しています。つまりMENAはイスラム教スンニ派でアラブ民族の国家が多数を占める国家群と言えます。
第2回のランキングは国連人口基金(UNFPA)発行の「世界人口白書2016」のデータによりMENA各国の人口・平均余命等について比較しました。
(参考)国連人口基金東京事務所ホームページ「世界人口白書」:
http://www.unfpa.or.jp/cmsdesigner/data/entry/publications/publications.00044.00000006.pdf
(突出した人口大国:エジプト、イラン、トルコ!)
1. MENA各国の人口
(表http://menarank.maeda1.jp/2-T01.pdf 参照)
(図http://menarank.maeda1.jp/2-G01.pdf 参照)
MENA諸国の中で最も人口が多いのはエジプトの9,340万人である。これに次ぐのがイランの8,000万人、トルコの7,960万人であり、MENAではこれら3カ国の人口が突出し、MENAの総人口5.1億人の半数を占めている。第4位はアルジェリアであり同国の人口は4,040万人である。この他人口が3千万人台の国はイラク(3,750万人)、モロッコ(3,480万人)及びサウジアラビア(3,220万人)である。これら7カ国に続くのがイエメン(2,750万人)、シリア(1,860万人)、チュニジア(1,140万人)であり、以上10カ国が人口1千万人以上の国である。
MENA第11位の国はUAEであり、同国の人口は930万人とされている。但しこれは外国人労働者を含んだ数値である。なおUAEの最新の公式発表によれば同国の人口は912万人余であり、男女の内訳は男性が69%、女性31%である[1]。外国人の人数を公表していないが、男女の比率から推計すると同国の人口の8割近くは外国人で占められ、その多くはインド、パキスタン、東南アジア諸国からの出稼ぎ労働者である。このことはクウェイト、カタールなど同じ湾岸産油国についても言えることである。
12位以下の国とその人口は次のとおりである。
イスラエル(820万人)、ヨルダン(770万人)、リビア(630万人)、レバノン(600万人)、パレスチナ自治政府(480万人)、オマーン(470万人)、クウェイト(400万人)、カタール(230万人)、バハレーン(140万人)。
カタールはUAEと同様外国人が人口の8割以上を占めており本来の自国民は40万人程度と言われ実質的にはMENAで最も人口が少ない国である。
(続く)
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