2006年02月28日
GCCとのFTA交渉を加速、METI高官談
Arab News (Saudi Arabia) - 東京発AFP電
日本は今年中にGCC6カ国とFTA(自由貿易協定)交渉を開始する、とMETI幹部が語った。日本は輸入原油の75%をGCCに頼っている。
METI幹部(匿名)によれば、麻生外務大臣からエネルギー源確保のため協議を加速するよう指示があった。また石油輸入と共に自動車、建機などのGCC向け輸出にも魅力があり、日本の産業界からは政府に対してGCCとのFTA交渉を早期に開始するよう働きかけがある。中国は既に昨年4月にGCCとのFTA交渉をスタートしており、韓国、インドも同様である。日本も交渉を開始することが必須である、とMETI幹部は語っている。
コメント:
日本とGCC6カ国のFTA交渉については、昨年5/1UAE Khaleej TimesでUAE経済・企画大臣Lubna女史の対日交渉の提言が取り上げられ(本ブログ「UAE経済企画大臣がFTA交渉を提唱」参照)、また12/21 Gulf Daily News(Bahrain)は夏目駐バーレーン大使の同様の発言を報じている。
一方、中国は昨年4月末にリヤドで2日間の交渉を行っており本年締結を目指している(本ブログ「GCCと中国がFTAの事務レベル折衝」参照)。またインドも交渉中との報道(11/11 Khaleej Times)もなされている。
日本、インド、中国、韓国はいずれもエネルギーの安定供給源としてGCCを位置づけており、各国の外交交渉はこのようにますます活発化している。
但しFTA交渉に関するGCC各国の足並みは必ずしも揃っているとは言えず、例えばバーレーンは対米FTAを締結済みであるが、これに対してサウジアラビアが神経を尖らせている(MENA Informant 「米国との自由貿易協定で崩れるGCCの結束」参照)。
日本などアジア諸国の対GCCFTAの主眼目は石油・天然ガスの安定輸入であり、見返りの輸出品は工業製品である。輸出入とも品目が限られており果たしてFTAになじむのか若干疑問がある。特定の国や地域間で関税撤廃のほか投資、サービス、知的財産権などで政策協調することを目的としたFTAの本来の性格から考えるならば、国内産業にほとんど見るべきもののないGCC諸国とFTAを締結することに如何なる意義があるのか疑問無しとしない。また石油・天然ガスは今や完全な売り手市場となり、今後Commodity(一般財)と異なる政治的商品となる傾向がますます強くなるなかで、FTA締結が石油・天然ガスの安定的な確保につながるのかどうかについても理解し難い点が多い、というのが筆者の率直な意見である。
日本は今年中にGCC6カ国とFTA(自由貿易協定)交渉を開始する、とMETI幹部が語った。日本は輸入原油の75%をGCCに頼っている。
METI幹部(匿名)によれば、麻生外務大臣からエネルギー源確保のため協議を加速するよう指示があった。また石油輸入と共に自動車、建機などのGCC向け輸出にも魅力があり、日本の産業界からは政府に対してGCCとのFTA交渉を早期に開始するよう働きかけがある。中国は既に昨年4月にGCCとのFTA交渉をスタートしており、韓国、インドも同様である。日本も交渉を開始することが必須である、とMETI幹部は語っている。
コメント:
日本とGCC6カ国のFTA交渉については、昨年5/1UAE Khaleej TimesでUAE経済・企画大臣Lubna女史の対日交渉の提言が取り上げられ(本ブログ「UAE経済企画大臣がFTA交渉を提唱」参照)、また12/21 Gulf Daily News(Bahrain)は夏目駐バーレーン大使の同様の発言を報じている。
一方、中国は昨年4月末にリヤドで2日間の交渉を行っており本年締結を目指している(本ブログ「GCCと中国がFTAの事務レベル折衝」参照)。またインドも交渉中との報道(11/11 Khaleej Times)もなされている。
日本、インド、中国、韓国はいずれもエネルギーの安定供給源としてGCCを位置づけており、各国の外交交渉はこのようにますます活発化している。
但しFTA交渉に関するGCC各国の足並みは必ずしも揃っているとは言えず、例えばバーレーンは対米FTAを締結済みであるが、これに対してサウジアラビアが神経を尖らせている(MENA Informant 「米国との自由貿易協定で崩れるGCCの結束」参照)。
日本などアジア諸国の対GCCFTAの主眼目は石油・天然ガスの安定輸入であり、見返りの輸出品は工業製品である。輸出入とも品目が限られており果たしてFTAになじむのか若干疑問がある。特定の国や地域間で関税撤廃のほか投資、サービス、知的財産権などで政策協調することを目的としたFTAの本来の性格から考えるならば、国内産業にほとんど見るべきもののないGCC諸国とFTAを締結することに如何なる意義があるのか疑問無しとしない。また石油・天然ガスは今や完全な売り手市場となり、今後Commodity(一般財)と異なる政治的商品となる傾向がますます強くなるなかで、FTA締結が石油・天然ガスの安定的な確保につながるのかどうかについても理解し難い点が多い、というのが筆者の率直な意見である。