2006年06月02日

中国がアラブ22ヶ国と会議ー露骨な石油狙い

6/2 Gulf Daily News (Bahrain)
 中国がアラブ22ヶ国を招いて北京で行った会議において、2010年までにアラブ圏と中国の貿易を100億ドルに拡大するとの共同声明が発表された。
 また中国外相とアラブ連盟議長は2006-08年の2年間にわたり、石油協力を推進するための協議を含む行動計画について調印した。
 中国は2005年にアラブ各国から5,536万トンの石油を輸入したが、これは同国の輸入量の43.7%に相当する。中国とアラブ圏の2005年の貿易高は513億ドルであり、過去10年間に10倍に拡大しているが、貿易の40%は石油である。

コメント:
 パレスチナ自治政府外相の出席についてイスラエル政府は中国政府に対して抗議したが、中国側はこれを無視し同国のアラブ寄りの姿勢を内外に誇示した。しかし共同声明で石油協力を前面に押し出したことに見られるように、中国の真意は中東和平問題よりむしろ石油獲得のための外交ショーであることは間違いない。
 中国は国内の社会的・経済的矛盾を表面化させないためには、輸出拡大による経済成長の維持が至上命題である。そして経済成長のためには海外からの石油輸入が欠かせない。中国政府はなりふり構わず世界中で石油確保に狂奔している。4月には胡国家主席が産油国のサウジアラビア、ナイジェリアを歴訪している。またCNOOCなどの国営石油会社は昨年来、米国の石油企業買収(結局失敗したが)、イランの油田開発、キューバでの石油鉱区参入などを次々と手がけ米国との対立の色が濃い。(ブログ「エネルギー大国、米中の対立」参照)
 しかし湾岸産油各国はこのような中国の露骨な意図を察して外相クラスの参加を見合わせたようである。中東諸国で中国を評価しているのは、中国が国連の安保常任理事国として影響力を行使することを期待しているパレスチナとイラン位ではなかろうか。


at 15:55news comment  
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