2008年05月25日

MENAなんでもランキング・シリーズ その12

(注)MENAランキング・シリーズはホームページ「中東経済を解剖する(MENA Informant)」 の「中東基本統計編」(http://www2.pf-x.net/~informant/toukei/indextoukei.htm)にまとめて掲載中です。

MENA(中東・北アフリカ)22カ国の平和指数(2008年版)

 東はアフガニスタンから西はモーリタニアまでのMENA(中東・北アフリカ)22カ国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。

 第12回のランキングは、NGOグループVision of HumanityがThe Economist Intelligence Unit (EIU、英国の経済誌エコノミストの一部門)のデータをもとに取りまとめた「The Global Peace Index」からMENA諸国をとりあげて比較しました。


1.「The Global Peace Index」について
今回公表されたGlobal Peace Index 2008は、世界140カ国を対象に、各国の平和の程度およびそれを維持するための機能を指数化し、ランク付けしたものである。昨年の第1回調査の対象国数は121カ国であったが、今回は新たに19カ国が加わえられている。

指数はEIU社の国別調査員と外部ネットワーク650人の協力を得て作成されている。指数は小型破壊兵器(銃、小型爆発物など)の入手の容易さ、国防費、汚職、人権に対する尊重の度合いなど24項目をベースにして作成されたものである。

「世界平和指数」の査定結果には以下のような特徴が見られる。
・ 平和の度合いは収入、教育制度、地域一体化のレベル等の指標に関連している。
・ 平和な国の多くは政府の透明性が高く、汚職が少ない。
・ 小さいが安定した国は平和のランクが高い。
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2. MENA諸国の2008年「世界平和指数」
 MENA諸国の中で最も平和度が高いのはオマーンであり、同国は世界140カ国のなかで25位である。因みに世界で最も平和度が高い国はアイスランドであり、日本はデンマーク、ノルウェー、ニュージーランドに続いて第5位にランクされている。

 MENA諸国でオマーンに続くのがカタル(世界ランク33位)、UAE(同42位)であり、4位以下70位までの世界上位グループに入っているのはクウェイト(同45位)、チュニジア(47位)、リビア(61位)、モロッコ(63位)、ヨルダン(65位)、エジプト(69位)の合計9カ国である。

 これに対し残る12カ国のMENA諸国は世界ランク70位以下の下位グループに属しており、MENA全体の平和の度合いは低いと言える。特にレバノン(世界ランク132位)、イスラエル(同136位)、スーダン(同138位)は最下位グループにランク付けされ、中でもイラクは世界最下位の140位とされている。

 なお中国(世界67位)はヨルダン或いはエジプトと同程度の評価で、かろうじて上位70カ国の中にとどまっているが、米国(世界97位)はイラン(105位)をわずかに上回る評価しか与えられていないのは意外と言えそうである。

3. 前回(2007年)との比較
 昨年と今回では調査対象国の数が異なるため両年のランクを単純に比較することは出来ないが、新規調査国を除く昨年と同じ121カ国の中で順位の変動を比較すると、MENA上位3カ国のオマーン、カタル及びUAEはいずれもわずかながら順位を落としている。

 順位を大きく落としたのはトルコ、モロッコ、バハレーン、サウジアラビア、チュニジアなどであり、一方、昨年に比べ顕著にランクをあげたのはエジプト、アルジェリア、シリアなどである。MENA諸国の中で昨年よりも順位を上げた国は6カ国、一方順位を下げた国は10カ国にのぼっている(順位変動のなかった国は4カ国)。このことからMENA全体としては世界における相対的な地位が低くなっていることがわかる。

以上

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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