2008年12月13日
MENAなんでもランキング・シリーズ その2
MENA(中東・北アフリカ)22カ国の「人口とその増加率」(2008年版)
東はアフガニスタンから西はモーリタニアまでのMENA(中東・北アフリカ)22カ国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。
第2回のランキングは、国連人口基金(UNFPA)が発表した「世界人口白書2008」についてMENA諸国をとりあげて比較しました。
(注)UNFPAの統計では人口百万人未満のカタル及びバハレーンのデータが記載されていないため、この両国については湾岸6カ国の組織「湾岸工業化諮問機構(略称GOIC)」のGulf Statistical Profile 2007の数値を加えた。
1.2008年のMENA各国の人口
(詳細は表「MENA諸国の人口とその増加率」参照)
国連人口基金の「世界人口白書2008」によれば2008年の世界の人口は67.5億人である。この中でMENA22カ国及びパレスチナ自治政府の合計人口は5.1億人であり、世界全体の7.5%を占めている。
MENAで最も人口が多い国はエジプトの7,680万人であり、2位はトルコ7,580万人、3位イラン(7,220万人)と続いている。これら3カ国はいずれも7千万人を超える人口大国であり、この3カ国だけでMENA全体の人口の4割強を占めている。
4位以下の国の人口は4千万人以下であり、スーダン3,940万人、アルジェリア3,440万人、モロッコ3,160万人、と北アフリカ諸国が続いている。そして7位はイラクの2,950万人、8位アフガニスタン(2,820万人)、9位サウジアラビア(2,530万人)、イエメン(2,310万人)、11位シリア(2,040万人)と続いており、これらの国が人口2千万人を越える国である。上位11カ国の人口総数は4.6億人であり、MENA全体の90%を占めているのに対して、残り11カ国(及びパレスチナ自治政府)は、いずれも人口が少なく、12位のチュニジアが1千万人をわずかに上回るが(1,040万人)その他の国は人口1千万人以下である。
13位以下の国とその人口を順に列挙すると、イスラエル(700万人)、リビア(630万人)、ヨルダン(610万人)、UAE(450万人)、パレスチナ自治区(410万人)、レバノン(410万人)、モーリタニア(320万人)、クウェイト(290万人)、オマーン(270万人)であり、カタル及びバハレーンの人口は百万人以下である。なおカタル、バハレーンを含むGCC6カ国(2カ国のほかサウジアラビア、UAE、クウェイトおよびオマーン)の人口には多数の外国人出稼ぎ労働者が含まれているため、実際の自国民の人口はさらに少なく、例えばカタルの場合わずか30万人前後と見られる。
2. 2050年の推計人口
MENA諸国はいずれも人口増加が激しく、2005-2010年の年間平均増加率は2.1%に達する。このことから2050年のMENAの人口は8.5億人と推計されており、2008年の実に1.7倍である。人口増加率は世界平均を上回っており、92億人と推計されている2050年の全世界の人口に占める割合は1割弱の9.3%である。これは2008年の7.5%を上回っている。
人口の増加率は国によって大きく異なっており、最も高いのはアフガニスタンの4%であり、その他3%台の高い増加率の国にはイエメン、ヨルダン、パレスチナなどがある。2050年の国別推計人口はエジプトが1.2億人とされ、同国は2050年でもMENAのトップである。イランも1億人を突破すると見られ、トルコは9千9百万人とされている。イランがトルコより人口増加率が高い結果、2008年と2050年の人口を比べると2位と3位が逆転する見込みである。
2008年のランクで4位以下の国の中にも人口増加率が他の国に比べて大きいため2050年にはランクが上がる国が少なくない。例えばアフガニスタンの2008年人口は2,820万人であるが、2050年には2.8倍の7,940万人になると推定されており、ランクも8位から4位にあがる見込みである。その他イエメンも2050年には現在の2.5倍の5,800万人で10位から7位にあがると推定されている。このほかイラク、パレスチナ、モーリタニアなどでも2050年には人口が現在の2倍以上に増加する。
2008年には人口7千万人以上の国は3カ国(エジプト、トルコ、イラン)だけであったが、2050年にはアフガニスタン及びスーダンが7千万人を超え、三千万人以上の国は6カ国から11カ国になる見込みである。
3.都市人口の割合
MENA諸国においても人口の都市集中が顕著であり、2008年では都市人口の割合は平均して65%である。MENAは一般に農業耕地の少ない沙漠の国が多いため都市人口の割合が多いが、特にイスラエル、クウェイトでは90%を越えており、レバノン(87%)、サウジアラビア(82%)なども都市に集中している。
これに対して農村人口が多いのはイラク(都市人口比率24%)、イエメン(同31%)であり、都市人口の比率が50%を割っているのはこの両国のほかエジプト、スーダン、モーリタニアの3カ国のみであり、MENAは農村人口の比率がかなり低いと言える。
以上
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp
東はアフガニスタンから西はモーリタニアまでのMENA(中東・北アフリカ)22カ国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。
第2回のランキングは、国連人口基金(UNFPA)が発表した「世界人口白書2008」についてMENA諸国をとりあげて比較しました。
(注)UNFPAの統計では人口百万人未満のカタル及びバハレーンのデータが記載されていないため、この両国については湾岸6カ国の組織「湾岸工業化諮問機構(略称GOIC)」のGulf Statistical Profile 2007の数値を加えた。
1.2008年のMENA各国の人口
(詳細は表「MENA諸国の人口とその増加率」参照)
国連人口基金の「世界人口白書2008」によれば2008年の世界の人口は67.5億人である。この中でMENA22カ国及びパレスチナ自治政府の合計人口は5.1億人であり、世界全体の7.5%を占めている。
MENAで最も人口が多い国はエジプトの7,680万人であり、2位はトルコ7,580万人、3位イラン(7,220万人)と続いている。これら3カ国はいずれも7千万人を超える人口大国であり、この3カ国だけでMENA全体の人口の4割強を占めている。
4位以下の国の人口は4千万人以下であり、スーダン3,940万人、アルジェリア3,440万人、モロッコ3,160万人、と北アフリカ諸国が続いている。そして7位はイラクの2,950万人、8位アフガニスタン(2,820万人)、9位サウジアラビア(2,530万人)、イエメン(2,310万人)、11位シリア(2,040万人)と続いており、これらの国が人口2千万人を越える国である。上位11カ国の人口総数は4.6億人であり、MENA全体の90%を占めているのに対して、残り11カ国(及びパレスチナ自治政府)は、いずれも人口が少なく、12位のチュニジアが1千万人をわずかに上回るが(1,040万人)その他の国は人口1千万人以下である。
13位以下の国とその人口を順に列挙すると、イスラエル(700万人)、リビア(630万人)、ヨルダン(610万人)、UAE(450万人)、パレスチナ自治区(410万人)、レバノン(410万人)、モーリタニア(320万人)、クウェイト(290万人)、オマーン(270万人)であり、カタル及びバハレーンの人口は百万人以下である。なおカタル、バハレーンを含むGCC6カ国(2カ国のほかサウジアラビア、UAE、クウェイトおよびオマーン)の人口には多数の外国人出稼ぎ労働者が含まれているため、実際の自国民の人口はさらに少なく、例えばカタルの場合わずか30万人前後と見られる。
2. 2050年の推計人口
MENA諸国はいずれも人口増加が激しく、2005-2010年の年間平均増加率は2.1%に達する。このことから2050年のMENAの人口は8.5億人と推計されており、2008年の実に1.7倍である。人口増加率は世界平均を上回っており、92億人と推計されている2050年の全世界の人口に占める割合は1割弱の9.3%である。これは2008年の7.5%を上回っている。
人口の増加率は国によって大きく異なっており、最も高いのはアフガニスタンの4%であり、その他3%台の高い増加率の国にはイエメン、ヨルダン、パレスチナなどがある。2050年の国別推計人口はエジプトが1.2億人とされ、同国は2050年でもMENAのトップである。イランも1億人を突破すると見られ、トルコは9千9百万人とされている。イランがトルコより人口増加率が高い結果、2008年と2050年の人口を比べると2位と3位が逆転する見込みである。
2008年のランクで4位以下の国の中にも人口増加率が他の国に比べて大きいため2050年にはランクが上がる国が少なくない。例えばアフガニスタンの2008年人口は2,820万人であるが、2050年には2.8倍の7,940万人になると推定されており、ランクも8位から4位にあがる見込みである。その他イエメンも2050年には現在の2.5倍の5,800万人で10位から7位にあがると推定されている。このほかイラク、パレスチナ、モーリタニアなどでも2050年には人口が現在の2倍以上に増加する。
2008年には人口7千万人以上の国は3カ国(エジプト、トルコ、イラン)だけであったが、2050年にはアフガニスタン及びスーダンが7千万人を超え、三千万人以上の国は6カ国から11カ国になる見込みである。
3.都市人口の割合
MENA諸国においても人口の都市集中が顕著であり、2008年では都市人口の割合は平均して65%である。MENAは一般に農業耕地の少ない沙漠の国が多いため都市人口の割合が多いが、特にイスラエル、クウェイトでは90%を越えており、レバノン(87%)、サウジアラビア(82%)なども都市に集中している。
これに対して農村人口が多いのはイラク(都市人口比率24%)、イエメン(同31%)であり、都市人口の比率が50%を割っているのはこの両国のほかエジプト、スーダン、モーリタニアの3カ国のみであり、MENAは農村人口の比率がかなり低いと言える。
以上
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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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