2009年03月28日
MENAなんでもランキング・シリーズ その6(ソブリン格付け)(その4)
*全文は「中東と石油」の「MENA(中東・北アフリカ)22カ国のソブリン格付け(2009年3月版)」でご覧になれます。
5.MENA諸国の格付け変更の可能性
ソブリン格付けは経済及び財政的な要因だけではなく、政治・社会的要因を含めたものである。格付けは各社アナリストの固有の裁量によるところが大きく、したがって各社の格付けを比較してその当否を論ずることは必ずしも妥当ではない。各国の将来の政治・経済・社会的な発展可能性(ポテンシャル)或いは逆にリスクを考えた場合、格付けはその時々の状況に応じて上方修正或いは下方修正され、その結果各国間の格付け順位にも変更が生じるであろう。
ソブリン格付けは定性的評価の占める割合が大きく客観性に乏しい、と言う批判が多いが、これはソブリン格付けの宿命とも言えるものである。格付けには誰が分析しても同じ結果が出る「サイエンス」の部分と、分析する人によって結果が異なる「アート」の部分があると言われ、この「アート」の部分が格付けに付随する不透明感の一因となっており、特にソブリン格付けにその傾向が強い。「ソブリン格付けはアートだ」と語る格付け会社アナリストの言葉がその特質をよく表している。
(付) Moody's の格付け符号の定義
長期債務格付けに関するMoody's の定義を同社ホームページから引用すると以下の通りである。
Aaa:信用力が最も高く、信用リスクが限定的であると判断される債務に対する格付け。
Aa: 信用力が高く、信用リスクが極めて低いと判断される債務に対する格付け。
A: 中級の上位で、信用リスクが低いと判断される債務に対する格付け。
Baa: 信用リスクが中程度と判断される債務に対する格付け。中位にあり、一定の投機的な
要素を含む。
Ba: 投機的要素をもち、相当の信用リスクがあると判断される債務に対する格付け。
B: 投機的であり、信用リスクが高いと判断される債務に対する格付け。
Caa:安全性が低く、信用リスクが極めて高いと判断される債務に対する格付け。
Ca: 非常に投機的であり、デフォルトに陥っているか、あるいはそれに近い状態にあるが、
一定の元利の回収が見込めると判断される債務に対する格付け。
C: 最も格付けが低く、通常、デフォルトに陥っており、元利の回収見込みも極めて薄い債
務に対する格付け。
S&P及びFitchの定義はそれぞれのホームページを参照されたい。
(完)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp
5.MENA諸国の格付け変更の可能性
ソブリン格付けは経済及び財政的な要因だけではなく、政治・社会的要因を含めたものである。格付けは各社アナリストの固有の裁量によるところが大きく、したがって各社の格付けを比較してその当否を論ずることは必ずしも妥当ではない。各国の将来の政治・経済・社会的な発展可能性(ポテンシャル)或いは逆にリスクを考えた場合、格付けはその時々の状況に応じて上方修正或いは下方修正され、その結果各国間の格付け順位にも変更が生じるであろう。
ソブリン格付けは定性的評価の占める割合が大きく客観性に乏しい、と言う批判が多いが、これはソブリン格付けの宿命とも言えるものである。格付けには誰が分析しても同じ結果が出る「サイエンス」の部分と、分析する人によって結果が異なる「アート」の部分があると言われ、この「アート」の部分が格付けに付随する不透明感の一因となっており、特にソブリン格付けにその傾向が強い。「ソブリン格付けはアートだ」と語る格付け会社アナリストの言葉がその特質をよく表している。
(付) Moody's の格付け符号の定義
長期債務格付けに関するMoody's の定義を同社ホームページから引用すると以下の通りである。
Aaa:信用力が最も高く、信用リスクが限定的であると判断される債務に対する格付け。
Aa: 信用力が高く、信用リスクが極めて低いと判断される債務に対する格付け。
A: 中級の上位で、信用リスクが低いと判断される債務に対する格付け。
Baa: 信用リスクが中程度と判断される債務に対する格付け。中位にあり、一定の投機的な
要素を含む。
Ba: 投機的要素をもち、相当の信用リスクがあると判断される債務に対する格付け。
B: 投機的であり、信用リスクが高いと判断される債務に対する格付け。
Caa:安全性が低く、信用リスクが極めて高いと判断される債務に対する格付け。
Ca: 非常に投機的であり、デフォルトに陥っているか、あるいはそれに近い状態にあるが、
一定の元利の回収が見込めると判断される債務に対する格付け。
C: 最も格付けが低く、通常、デフォルトに陥っており、元利の回収見込みも極めて薄い債
務に対する格付け。
S&P及びFitchの定義はそれぞれのホームページを参照されたい。
(完)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
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