2009年09月27日
MENAなんでもランキング・シリーズ その13
MENA(中東・北アフリカ)22カ国のビジネス環境(2010年版) (下)
4.調査項目毎のランク
(表「ビジネス環境ランキング2010」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/5-13BDoingBusiness2008-2010.htm 参照)
調査対象となっている10項目についてMENA各国のランクを概観すると以下の通りである。
(1)Starting a Business (起業)
トップはサウジアラビア(世界順位13位、以下同じ)、ついでアフガニスタン(23位)、エジプト(24位)、イスラエル(34位)、UAE(44位)、チュニジア(47位)、イラン(48位)の順である。総合順位では最下位から二番目のアフガニスタンが本項目でMENA2位とされているのは奇異な感が否めない。
一方低いランクにとどまっているのはパレスチナ自治政府(176位)、イラク(175位)、モーリタニア(149位)、アルジェリア(148位)、クウェイト(137位)などがある。GCC6カ国の中ではクウェイトが際立ってランクが低いことに注目される。
(2)Dealing with Licenses(許認可取得)
MENAトップはバハレーン(世界順位14位、以下同じ)、ついでUAE(27位)、カタール(28位)、サウジアラビア(33位)、イエメン(50位)となっており、これら5カ国が世界50位以内である。以下クウェイト(81位)、ヨルダン(92位)、イラク(94位)といずれも中東諸国であり、99位に漸く北アフリカのモロッコが顔を出している。
一方ランクが低いのはパレスチナ自治政府(157位)、エジプト(156位)、モーリタニア(154位)などである。先進国或いは中進国とされているイスラエル及びトルコはこの項目の評価が低く、それぞれ世界120位、133位である。
(3)Employing Workers(雇用)
世界順位13位のバハレーンがMENAでは最も高いランクである。これに続くのがオマーン(世界順位21位、以下同じ)、クウェイト(24位)、UAE(50位)とGCC各国が続いている。逆に順位が低いのはモロッコ(176位)、スーダン(153位)、トルコ(145位)、イラン(137位)などである。
(4) Registering Property(登記)
サウジアラビアがこの分野の世界1位であることは特筆に価する。これに次ぐのはUAE(世界7位、以下同じ)、オマーン(20位)、バハレーン(22位)であり、GCC諸国が世界的にもトップグループであることがわかる(但しカタール55位、クウェイト89位)。
これに対して登記の難易度が高いとされているのは、アフガニスタン(164位)、アルジェリア(160位)、イラン(153位)、イスラエル(147位)などである。
(5) Getting Credit(信用取得)
イスラエルは世界順位が第4位であり、信用取得に関してはMENAトップである。イスラエルに続くのがサウジアラビア(61位)であり、この項目に関してはイスラエルがずば抜けている。UAE、エジプト、トルコは世界71位の同順位である。一方信用取得が困難とされているのはシリア(181位)、パレスチナ自治政府、イラク(共に167位)、イエメン、モーリタニア(共に150位)である。
(6) Protecting Investors(投資家保護)
投資家保護が最も進んでいるのはイスラエルで世界でも第5位にランクされている。MENA2位はサウジアラビアであるが世界ランクは16位でイスラエルよりかなり低い。これら2カ国に続くのはクウェイト(27位)、パレスチナ自治政府(41位)、トルコとバハレーン(57位)である。
これに対して低ランクにあるのがアフガニスタン(183位)でこれは世界最下位でもある。またイラン及びモロッコ(165位)、スーダン(154位)などもランクが低い。中東のビジネスハブとして近年脚光を浴びているUAEはヨルダン、シリア、イラクと同じく世界119位であり国際評価はかなり厳しい。
(7) Paying Taxes(徴税)
この項目の世界順位はカタルが2位、UAE4位、サウジアラビア7位、オマーン8位、クウェイト11位、バハレーン13位とGCC6カ国がMENAの上位を独占しており、また世界的にも最高レベルに評価されている。因みに日本はこの項目の世界順位は123位とかなり低い。これら産油国は個人所得税が免除されているほか法人税も非常に低い。この点がビジネス環境として高く評価されているようである。一方イスラエルは世界83位であり税負担のレベルがGCC産油国よりかなり高い。
(8) Trading Across Borders(輸出)
UAEが世界第5位でありこの分野ではMENAで最も評価が高い。ドバイのジュベール・アリ自由貿易港はソフト、ハードの両面で周辺国の追随を許さない3国間貿易の拠点港であり、このことが高い評価につながっている。これに次ぐのがイスラエル(世界11位、以下同じ)で輸出立国を運命付けられた同国の政策に負うところが大きいのであろう。以下サウジアラビア(23位)、エジプト(29位)、バハレーン(32位)と続いている。
一方評価が低いのはアフガニスタン(183位、世界最下位)、イラク(180位)、モーリタニア(163位)などである。
(9) Enforcing Contracts(契約強制力)
この項目のトップはトルコ(世界27位、以下同じ)であり、これに次ぐのがイエメン(35位)、イラン(53位)、チュニジア(77位)モーリタニア(83位)、カタール(95位)、イスラエル(99位)である。これら7カ国以外のMENA諸国はサウジアラビア(140位)、UAE(134位)を含め全て世界100位以下であり、契約強制力の分野ではMENAは世界レベルからかなり遅れているといわざるを得ない。
(10) Closing a Business(事業終結)
事業を終結する場合の難易度については、バハレーンが世界26位であり、MENA地域では最も高い評価を得ている。これに続くのがカタール(世界33位、以下同じ)、チュニジア(同34位)、イスラエル(同41位)、アルジェリア(51位)、サウジアラビア(60位)である。
これに対しランクが低い国はスーダン、アフガニスタン、イラク及びパレスチナ自治政府であり、これら4カ国は共に世界最下位である。
以上
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp
4.調査項目毎のランク
(表「ビジネス環境ランキング2010」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/5-13BDoingBusiness2008-2010.htm 参照)
調査対象となっている10項目についてMENA各国のランクを概観すると以下の通りである。
(1)Starting a Business (起業)
トップはサウジアラビア(世界順位13位、以下同じ)、ついでアフガニスタン(23位)、エジプト(24位)、イスラエル(34位)、UAE(44位)、チュニジア(47位)、イラン(48位)の順である。総合順位では最下位から二番目のアフガニスタンが本項目でMENA2位とされているのは奇異な感が否めない。
一方低いランクにとどまっているのはパレスチナ自治政府(176位)、イラク(175位)、モーリタニア(149位)、アルジェリア(148位)、クウェイト(137位)などがある。GCC6カ国の中ではクウェイトが際立ってランクが低いことに注目される。
(2)Dealing with Licenses(許認可取得)
MENAトップはバハレーン(世界順位14位、以下同じ)、ついでUAE(27位)、カタール(28位)、サウジアラビア(33位)、イエメン(50位)となっており、これら5カ国が世界50位以内である。以下クウェイト(81位)、ヨルダン(92位)、イラク(94位)といずれも中東諸国であり、99位に漸く北アフリカのモロッコが顔を出している。
一方ランクが低いのはパレスチナ自治政府(157位)、エジプト(156位)、モーリタニア(154位)などである。先進国或いは中進国とされているイスラエル及びトルコはこの項目の評価が低く、それぞれ世界120位、133位である。
(3)Employing Workers(雇用)
世界順位13位のバハレーンがMENAでは最も高いランクである。これに続くのがオマーン(世界順位21位、以下同じ)、クウェイト(24位)、UAE(50位)とGCC各国が続いている。逆に順位が低いのはモロッコ(176位)、スーダン(153位)、トルコ(145位)、イラン(137位)などである。
(4) Registering Property(登記)
サウジアラビアがこの分野の世界1位であることは特筆に価する。これに次ぐのはUAE(世界7位、以下同じ)、オマーン(20位)、バハレーン(22位)であり、GCC諸国が世界的にもトップグループであることがわかる(但しカタール55位、クウェイト89位)。
これに対して登記の難易度が高いとされているのは、アフガニスタン(164位)、アルジェリア(160位)、イラン(153位)、イスラエル(147位)などである。
(5) Getting Credit(信用取得)
イスラエルは世界順位が第4位であり、信用取得に関してはMENAトップである。イスラエルに続くのがサウジアラビア(61位)であり、この項目に関してはイスラエルがずば抜けている。UAE、エジプト、トルコは世界71位の同順位である。一方信用取得が困難とされているのはシリア(181位)、パレスチナ自治政府、イラク(共に167位)、イエメン、モーリタニア(共に150位)である。
(6) Protecting Investors(投資家保護)
投資家保護が最も進んでいるのはイスラエルで世界でも第5位にランクされている。MENA2位はサウジアラビアであるが世界ランクは16位でイスラエルよりかなり低い。これら2カ国に続くのはクウェイト(27位)、パレスチナ自治政府(41位)、トルコとバハレーン(57位)である。
これに対して低ランクにあるのがアフガニスタン(183位)でこれは世界最下位でもある。またイラン及びモロッコ(165位)、スーダン(154位)などもランクが低い。中東のビジネスハブとして近年脚光を浴びているUAEはヨルダン、シリア、イラクと同じく世界119位であり国際評価はかなり厳しい。
(7) Paying Taxes(徴税)
この項目の世界順位はカタルが2位、UAE4位、サウジアラビア7位、オマーン8位、クウェイト11位、バハレーン13位とGCC6カ国がMENAの上位を独占しており、また世界的にも最高レベルに評価されている。因みに日本はこの項目の世界順位は123位とかなり低い。これら産油国は個人所得税が免除されているほか法人税も非常に低い。この点がビジネス環境として高く評価されているようである。一方イスラエルは世界83位であり税負担のレベルがGCC産油国よりかなり高い。
(8) Trading Across Borders(輸出)
UAEが世界第5位でありこの分野ではMENAで最も評価が高い。ドバイのジュベール・アリ自由貿易港はソフト、ハードの両面で周辺国の追随を許さない3国間貿易の拠点港であり、このことが高い評価につながっている。これに次ぐのがイスラエル(世界11位、以下同じ)で輸出立国を運命付けられた同国の政策に負うところが大きいのであろう。以下サウジアラビア(23位)、エジプト(29位)、バハレーン(32位)と続いている。
一方評価が低いのはアフガニスタン(183位、世界最下位)、イラク(180位)、モーリタニア(163位)などである。
(9) Enforcing Contracts(契約強制力)
この項目のトップはトルコ(世界27位、以下同じ)であり、これに次ぐのがイエメン(35位)、イラン(53位)、チュニジア(77位)モーリタニア(83位)、カタール(95位)、イスラエル(99位)である。これら7カ国以外のMENA諸国はサウジアラビア(140位)、UAE(134位)を含め全て世界100位以下であり、契約強制力の分野ではMENAは世界レベルからかなり遅れているといわざるを得ない。
(10) Closing a Business(事業終結)
事業を終結する場合の難易度については、バハレーンが世界26位であり、MENA地域では最も高い評価を得ている。これに続くのがカタール(世界33位、以下同じ)、チュニジア(同34位)、イスラエル(同41位)、アルジェリア(51位)、サウジアラビア(60位)である。
これに対しランクが低い国はスーダン、アフガニスタン、イラク及びパレスチナ自治政府であり、これら4カ国は共に世界最下位である。
以上
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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