2010年01月27日

MENAなんでもランキング・シリーズ その2

MENA(中東・北アフリカ)22カ国の「人口とその増加率」(2009年版)(下)

2. 2005~10年の人口増加率
(詳細は表「MENAランキング2:人口」参照)
 2005年から2010年までのMENAの平均人口増加率は2.5%であり、これは世界の平均増加率1.2%の倍以上である。増加率は国によって大きく異なっており、最も高いのはカタールの10.7%である。ただしこれは同国で天然ガスの輸出が急激に伸び、それに伴いプラントからインフラ整備、ビル・住宅に至る建設産業が活況を呈し、外国人労働力が多数流入したことによるものであり極めて特異なケースであると考えられる。

人口増加率が3%を超えるのはアフガニスタン(3.4%)、シリア(3.3%)、パレスチナ自治政府(3.2%)及びヨルダン(3.0%)の4カ国である。MENA諸国の中でも一人当たりGDPが低く経済的な発展が遅れている国は人口増加率が高い。このような現象は世界的なものであり、日本、米国の増加率が-0.1%、1.0%と低いことと好対照をなしている。

但しMENA諸国では豊かな産油国といえども、たとえばサウジアラビア、UAE、クウェイトなども人口増加率は高く、それぞれ2.1%、2.8%、2.4%といずれも2%を超えており、増加率が世界平均の1.2%を下回っているのはレバノン(0.8%)及びチュニジア(1.0%)の2カ国だけである。

3.2050年の推定人口
UNFPAはこのようなMENAの高い人口増加率が今後も続くものと見ている。その結果、2050年のMENA地域の人口は2009年に比べ3.3億人(62%)増加して8.5億人に達し、全世界人口に占める割合も7.7%から9.3%になると推定している。

2009年にMENA最大であったエジプトは今後もかなり高い増加率を示し、2050年の同国の人口は1億人を突破し1.3億人に達する見込みである。また現在7千万人台のトルコ及びイランの人口増加率はエジプトよりも低いが、それでも現在の1.3倍程度に増え、ともに9,700万人と推定されている。2050年にはMENAに人口1億人前後の国が3カ国出現することになる。

人口の増加が最も大きいのはアフガニスタンであり、同国の2050年の人口は現在の3倍近い7,400万人になるとUNFPAでは推定している。このほか人口が2倍以上になると見込まれる国はイラク(2009年:3,100万人→2050年:6,400万人)、イエメン(同2,400万人→5,400万人)である。パレスチナ自治政府も人口は少ないが現在の430万人から1千万人超になると推定している。因みにイスラエルは増加率が低く2050年には1,060万人と推定されており、人口数ではパレスチナ自治政府とほぼ同じ規模である。ユダヤ人国家を標榜するイスラエルにとって人口問題と領土問題をどのように調和させるのか、今後の大きな課題になることは間違いないであろう。

 現在人口が飛び抜けて多い3カ国(エジプト、トルコ及びイラン)及び第4位のスーダンは2050年においてもその順位は変わらないが、2009年のランクで4位以下の国の中には、人口増加率が他の国に比べて大きいためランクが上がる国がある。例えば現在8位のアフガニスタンは2050年には5位に上昇、また7位のイラクも6位に、イエメンは10位から7位にランクアップする。一方、現在5位のアルジェリア(3,500万人)は8位(4,960万人)、6位のモロッコ(3,200万人)は10位(4,260万人)に順位を下げる見通しである。なおカタールは過去数年10%を超える高い増加率を示したが、今後は平均的な増加率になると見込まれている。

以上

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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