2013年05月27日
MENAで最も清潔な国はカタール:腐敗認識指数(2012年版)(2)
(注)本稿は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してごらんいただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0265MenaRank14.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その14)
2.MENA諸国のCPI指数と順位
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/14-T01.pdf 参照)
2012年度のMENA腐敗認識指数はパレスチナ自治政府を除く19カ国が評価対象となっている。この中で最も腐敗度が低いと評価されたのはカタールとUAE(CPI指数68)である。両国の世界順位は27位で日本(17位)、米国(19位)よりも低く、オーストリア、スペインとほぼ同等である。カタール、UAEに次ぐ第3位はイスラエル(CPI指数60)で世界順位39位である。以上3カ国が世界50位以内である。このほか世界100位以内にはバハレーン(CPI指数51、世界順位53位)、トルコ(同49、54位)、ヨルダン(同48、58位)、オマーン(同47、61位)、クウェイト・サウジアラビア(同44、66位)、チュニジア(同41、75位)、モロッコ(同37、88位)が入っている。
一方、MENA諸国の中で腐敗度が高いのはイラク(CPI指数18、世界順位167位)であり、世界174カ国中で下から8番目である。因みに世界最下位はアフガニスタン、北朝鮮及びソマリアでCPI指数は一桁の8である。この他リビア(同21、160位)、イエメン(同23、156位)などが世界の最下位グループと評価されている。MENA地域の大国であるエジプト及びイランは世界118位と133位にとどまっている。
MENA19カ国の平均CPIは40、平均順位は91位であり、MENAは世界174カ国の中では平均を下回っている。100位以下の国が19カ国中8カ国あるため平均的な順位が低く抑えられる結果となっている。MENAは各国の腐敗度の格差が大きい地域と言える。
CPIレポートは「貧困と腐敗の間には強い相関関係がある」と指摘しており、上位にカタール、UAEの湾岸産油国或いは経済力の強いイスラエル、トルコなどが並んでいることはレポートの指摘を裏付けている。しかしながらMENA最下位のリビア、イラク、シリア及びイエメンを比較すると貧困と腐敗が必ずしも相関関係にあるとも言えない。なぜならリビア及びイラクは産油国として豊かな石油収入があり国家としてのGDPはシリア、イエメンより大きく豊かである 。それにも関らずシリア、イエメンの方が腐敗度が低い。リビア及びイラクでは国家の富の分配が不平等であり、そこに腐敗が介在していることをうかがわせる。
ちなみに世界でCPI指数が最も高い国(即ち腐敗度が最も低いとされた国)はデンマーク、フィンランド及びニュージーランドでそのCPI指数は90である。日本はCPI指数74、世界17位とされており、これはMENAトップのカタール(世界27位)よりも上である。また米国は日本をわずかに下回りCPI指数73、世界順位19位である。中国はCPI指数39、世界順位80位で世界平均をやや下回り、MENAではチュニジア或いはモロッコと同レベルである。
(続く)
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