2013年05月28日
MENAで最も清潔な国はカタール:腐敗認識指数(2012年版)(3)
(注)本稿は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してごらんいただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0265MenaRank14.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その14)
3.2008-2012年の世界順位の変化
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/14-T02.pdf 参照)
MENA各国の2008-2012年の域内での順位及び世界順位の変動を見ると、カタールは過去5年間を通じて常にMENAトップであった。そして同国の世界順位は2008年の28位から2010年には19位まで上昇している。しかしその後2年間は22位(2011年)→27位(2012年)に後退、5年前に逆戻りしている。今回カタールと並びMENAトップであったUAEは、MENA域内の順位は2008年はカタール、イスラエルに次ぐ3位であり、その後イスラエルを抜き去り今回はカタールと共にMENAトップとなった。同国の世界順位は2008年の35位から毎年着実にアップしており、2012年の腐敗認識指数は68で世界27位である。
イスラエルの世界順位は33位(2008年)→32位(2009年)→30位(2010年)→36位(2011年)→39位(2012年)と推移しておりここ3年間は凋落傾向にある。サウジアラビアの過去5年間の世界順位は80位→63位→50位→57位→66位であり2010年には50位まで上昇したがその後順位が落ち60位台後半にとどまっている。
2011年の「アラブの春」と呼ばれる変革に見舞われた国について2011年をはさむ前後3年間の世界ランクの変動を見ると、バハレーンは48位(2010年)→46位(2011年)→53位(2012年)であり、チュニジアは59位(2010年)→73位(2011年)→75位(2012年)、イエメン146位(2010年)→164位(2011年)→156位(2012年)、リビアは146位(2010年)→168位(2011年)→160位(2012年)であった。チュニジアは「アラブの春」の前後を通じて世界ランクは毎年下がっており腐敗度が高まっていることを示している。イエメン及びリビアは腐敗度がもともと高く世界ランクは低かったが、2011年は順位を下げ2012年には多少回復している。但し世界の評価対象国の数が2011年は183カ国であったのに対し、2012年は9カ国減り174カ国であることを考慮すると実質的な世界ランクは変化がなかったと見るべきであろう。
MENA全体の平均世界順位は85位/180カ国(2008年)→88位/180カ国(2009年)→84位/178カ国(2010年)→88位/183カ国(2011年) →91位/174カ国(2012年)であった。2008年から2011年までは80位台後半を前後していたが、2012年には90位台に落ちている。さらに全調査対象国の数を考慮すると、2011年までの4年間はわずかながらも世界の上位2分の1のグループに位置していたものが、2012年には下位グループに脱落していることがわかる。MENA地域の腐敗度は悪化していると言えよう。
(続く)
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