2013年06月30日
湾岸諸国で働く外国人の給与は?(5)
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0269GccSalarySurvey2013.pdf
(Gulf Business誌「Gulf Business Salary Survey 2013」より)
(3)西欧人・アラブ人・アジア人の給与格差
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-I-1-50bSaralyByNationality.pdf参照)
外国人の出身地域別でみた給与は通常西欧圏出身が最も高くアラブ圏出身がこれに次ぎ、アジア圏出身の平均給与が最も低いが、6カ国それぞれについて比較するといくつかの特徴がみられる。
西欧圏出身者の給与はサウジアラビアを100とした場合、カタールが95、クウェイト90、UAE87、バハレーン83、オマーン78である。昨年はサウジアラビア=100に対しカタール、UAEが92であった。今回カタールとサウジアラビアの格差が縮まり、一方UAEはサウジアラビア及びカタールとの格差が拡大し、さらにクウェイトよりも低くなっている。UAEはドバイショックの後遺症が残り民間部門では西欧人に対する需要が停滞しているのに対して、天然ガスブーム及び建設ブームに沸くカタールでは公共部門主導型の経済成長が民間部門に活況をもたらし、外国人労働力の需要が増加していると考えられる。バハレーンは騒乱の影響で民間経済が低迷しており、オマーン同様サウジアラビアよりも2割以上低い給与水準にとどまっている。
アラブ圏出身者の場合はサウジアラビア=100に対してカタール98、クウェイト93、UAE 89、バハレーン84、オマーン80である。ここでもサウジアラビアとカタールの給与水準が他の4カ国より高いが両国の格差は殆どない。クウェイト及びUAEはサウジアラビアより約1割低く、バハレーンとオマーンは2割近く低い。但し昨年と比較した場合アラブ圏出身者に対する6カ国の給与格差は縮小している。
アジア圏出身者についてはウジアラビア=100に対してカタール 97、クウェイト90、UAE 87、オマーン80、バハレーン78であり、ここでもサウジアラビアの給与が最も高く、カタールがこれに続いている。ここではUAEがクウェイトより低くGCC6カ国の中では4番目である。UAEの場合アジア圏出身者の多くはドバイで働くインド人であるが、昨年同国の指数が89であったことと比べ経済の停滞で給与が下げ止まっていない傾向が読み取れる。
(完)
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