2014年03月28日
ハラールで「おもてなし」ー伸びるムスリムの観光・食品産業(3)
(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してお読みいただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0307Halal.pdf
3.ハラール認定制度とその現状
食品、化粧品などムスリム向け商品にはイスラムの教義に従っていることを示す「ハラール認証」が必要である。ハラール認証は各国のイスラム関連団体が商品や製造工程を調べて認定証を発行する。認証機関は世界30カ国以上に80前後あり 、最も良く知られているのはマレーシア政府直轄のJAKIMであろう。イスラム各国にはほぼ例外なく認定機関があるが、非イスラム国でも国内のムスリム向け或いはイスラム諸国向けの輸出のための認定機関を有している。国内のハラール市場が200億ドルと推定される米国にはおよそ30の団体があり 、日本にも一般社団法人ハラル・ジャパン協会、NPO法人日本ハラール協会などいくつかの団体がホームページを開設している 。
認証制度は厳格であり、使用する原料の中味や保管方法など製品ごとの認証取得が必要で、認証後も抜き打ち検査或いは一定期間毎の更新が必要である。いずれの認証機関も認証作業を行うために複数のイスラム法学者を抱えており、ドイツの認証機関Halal Controlは12人の法学者を抱えている 。
4.日本企業の取り組み
PEW統計によれば日本のムスリム人口は25万人程度とされ、その多くはマレーシア、インドネシア、パキスタン、イラン、トルコなどイスラム諸国からの労働者と見られる。ムスリムの絶対数が少ないため国内のハラール市場は殆どゼロに等しいが、東南アジアのイスラム諸国は有望な輸出相手である。味の素、ヤクルトなど既に現地に製造或いは販売拠点を設けて幅広いビジネスを行っているメーカーもあり、ヤクルトなどは東南アジア全域で1日約470万本を販売しているようである。
その他食品関連では日清食品がインドネシアで即席めんを販売、マヨネーズのキューピーは東南アジアのみならず中東への進出も視野に入れている。また資生堂は2012年9月からマレーシアでスキンケア製品のテスト販売を開始した 。大企業ばかりでなく中小企業の中にもハラール市場を目指す動きがある。ひかり味噌(長野県)はみそ業界では始めてのハラール認証を取得、健康、高級食のイメージが定着している日本食に合わせて5年後にはイスラム圏で1千トンの味噌の販売を狙っている 。
JETRO(日本貿易振興機構)も中東向け輸出を後押ししており、最近ドバイで開催された食品見本市「ガルフード」で日本パビリオンを設け、ハラール認証を受けた豆腐(森永乳業)、冷凍焼き鳥(食品卸佐藤長八商事)などを紹介している 。さらに三井住友銀行はイスラム圏で食品の生産や販売を検討する日系企業のハラール認定取得を支援するためインドネシアの国立ボゴール農科大学と提携したと発表している 。
(続く)
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