2014年10月25日
絶対君主制国家こそ平和!皮肉なMENA(中東・北アフリカ)諸国の世界平和指数(2014年版)(4)
(注)本シリーズ1~4回は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0327MenaRank12.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その12)
(急激に順位を落とすエジプトとシリア!)
4.2009年~2014年の世界順位の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/12-G01.pdf 参照)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/12-T03.pdf参照)
ここではMENAの8か国(カタール、UAE、バハレーン、エジプト、トルコ、イラン、リビア、シリア)とMENA19カ国の平均並びに日本について2009年から2014年までの順位の変動を見てみよう。
2009年のこれら8カ国の世界順位はそれぞれ、カタール16位、UAE40位、リビア46位、エジプト54位、バハレーン69位、シリア92位、イラン99位、トルコ121位であり、カタール、UAE及びリビアは世界(140か国)の50位以内に、そしてエジプト、バハレーン、シリア、イランが51~100位以内に入り、トルコだけが100位以下(121位)であった。またMENAの平均順位は80位であり世界平均をやや下回っていた。
ところがカタールは16位(09年)→15位(10年) →12位(11年) →12位(12年) →19位(13年) →22位(14年)と推移し、UAEも40位(09年)→44位(10年) →33位(11年) →46位(12年) →36位(13年) →40位(14年)と毎年ほぼ同じレベルを続けている。その一方、その他の6カ国は年を追うごとに低落傾向を示している。
中でも極端に順位を落としたのはエジプトとシリアである。エジプトの場合は54位(09年)→49位(10年) →73位(11年) →111位(12年) →113位(13年) →143位(14年)と2010年以降毎年順位が下がり2012年に100位以下になった後も悪化の一途をたどっている。また2009年に92位であったシリアは翌年年から100位以下に転落、昨年は160位、今回は世界最下位の162位となっている。このように各国が順位を下げた結果、MENAの過去6年間の平均順位も2009年の80位が最高で、2012年以降は世界100位以下に低迷している。
上位で安定しているカタールとUAEは湾岸の絶対君主制国家であるが、同じ君主制国家のクウェイト、ヨルダンも安定して上位にランクされており、モロッコも60位前後で安定している。またここでは取り上げていないが2009年から2012年まで100位以下であったサウジアラビアは前回97位、今回80位と順位を上げており、オマーンは「アラブの春」でそれまでの20位台から大きく順位を落としたものの50位前後で安定した状態にある。
上記の国々はいずれも君主制国家である。君主制国家が平和度では上位を占めてそれなりに安定しているのに対して、エジプト、シリアなどの共和制国家は年々平和の度合いが低下している。MENAでは絶対君主制国家が平和で民主制共和制の国家群が平和ではないという皮肉な結果を示している。
以上
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