2014年12月01日
日本を上回るUAE－MENA(中東・北アフリカ)の「ビジネス環境」(２０１５年版)（４）
(注)本レポートはブログ「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してお読みいただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0331MenaRank13.pdf
（MENAなんでもランキング・シリーズ その１３）
３．調査項目毎のランク(続き)
（表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/13-T02.pdf参照）
（６）Protecting Investors(投資家保護)
MENAで投資家が最も確実に保護されているのはイスラエルで同国の世界ランクは第１１位である。これに続くのがトルコ（世界ランク１３位）、UAE、クウェイト（共に４３位）、サウジアラビア(６２位)である。これに対しランクが低いのはイラン、ヨルダン(共に１５４位)、イエメン（１６２位）、リビア(１８８位)などである。UAE、クウェイト、サウジアラビアと同じGCC加盟国のカタール及びオマーンは共に世界１２２位にとどまっている。
（参考：日本３５位、米国２５位、韓国２１位、中国１３２位）
（７）Paying Taxes(徴税)
この項目ではUAE及びカタールが共に世界１位、サウジアラビアが３位であり世界のベスト３を独占している。さらにバハレーン(８位)、オマーン(１０位)、クウェイト(１１位)などGCC６カ国が世界の上位に名を連ねている。GCC各国では個人所得税が免除されているほか法人税も非常に低い。この点がビジネス環境として高く評価されているようである。なおこの項目のMENAの世界平均順位は６９位であり１０項目の中では最も順位が高い。但し一方ではイラン（１２４位）、エジプト（１４９位）、アルジェリア(１７６位)など税負担のレベルが高い国がある。MENAは一部の産油国とその他の国で徴税レベルの格差が大きい。因みにこの項目の日本の世界順位は１２２位であり課税水準が高いことを示している。
（参考：日本１２２位、米国４２位、韓国２５位、中国１２０位）
（８）Trading Across Borders(通関)
事業用の資本財を輸入し、或いは完成した製品を輸出するためには税関手続きが簡単であることが望ましい。この分野ではUAEが世界第８位であり評価が高い。ドバイのジュベール・アリ自由貿易ゾーンはソフト、ハードの両面で周辺国の追随を許さない３国間貿易の拠点であり、このことが高い評価につながっている。これに次ぐのがイスラエル（世界１２位、以下同じ）で輸出立国を運命付けられた同国の政策に負うところが大きいのであろう。以下クウェイト（１７位）、モロッコ(３１位)、チュニジア(５０位)と続いている。トルコ(９０位)、サウジアラビア(９２位)はほぼ世界の平均レベルである。一方評価が低いのはイラク(１７８位)である。
（参考：日本２０位、米国１６位、韓国３位、中国９８位）
（９）Enforcing Contracts(契約強制力)
この項目のトップはトルコ（世界３８位、以下同じ）で、これに次ぐのがイラン(６６位)である。これに対しサウジアラビア、UAEはそれぞれ世界１０８位、１２１位と低く一見意外な評価と言える。この分野のMENA各国の評価は総合順位とかなり異なっている。GCC各国は上記サウジアラビア、UAEの他、カタール(１０４位)、バハレーン（１２３位）、オマーン(１３０位) 、クウェイト（１３１位）など全て１００位以下である。GCC諸国は契約強制力の分野では世界レベルからかなり遅れているようである。
（参考：日本２６位、米国４１位、韓国４位、中国３５位）
（１０）Resolving Insolvency(清算)
事業の撤退を決断した場合、清算手続きをスムーズに行う必要があり、起業(項目１参照)と同様外国投資家にとっては重要な要素である。この面ではイスラエルが世界２４位でMENA地域では最も高い評価を得ている。これに続くのがカタール（世界４７位、以下同じ）、チュニジア(同５４位)。
これに対しイラク、リビア及びパレスチナ自治政府は世界最下位（１８９位）である。またイラン(１３８位)、エジプト(１２６位)なども世界ランクが低く、GCCのサウジアラビア及びUAEもそれぞれ１６３位、９２位であり評価はかなり厳しい。
（参考：日本２位、米国４位、韓国５位、中国５３位）
(続く)
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