2015年04月21日
MENA(中東・北アフリカ)諸国の人口・出生率・平均寿命(世界人口白書2014年版)(3)
(注)本レポート(1)~(3)は「マイ・ライブラリー(前田高行論考集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0340MenaRank2.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その2)
(アラブ人は子沢山!)
4.MENA各国の合計特殊出生率
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/2-G04.pdf参照)
合計特殊出生率とは人口統計上の指標で、女性が出産可能な年齢を15歳から49歳までと規定し、それぞれの出生率を出し、足し合わせることで、人口構成の偏りを排除し、一人の女性が一生に産む子供の平均数を求めたものである。
MENA諸国の中で合計特殊出生率が最も高いのはイエメンの4.2人、イラクおよびパレスチナの4.1人であり、出生率が4人以上のこれら3カ国は他のMENA各国に比べても際立って高く、世界平均2.5人の2倍弱である。因みに日本は1.4人であり、一人っ子政策が浸透している中国では1.7人といずれも2人を下回っている。
アラブ諸国の平均は3.3人である。一般にアラブ諸国の出生率は高く子沢山の家庭が少なくないことを示している。上記3か国のほか出生率が世界平均を上回っているのは、ヨルダン(3.3人)、シリア(3.0人)、オマーン、イスラエル(2.9人)、エジプト、アルジェリア、モロッコ(各2.8人)、サウジアラビア(2.7人)、クウェイト(2.6人)である。
サウジアラビア、クウェイトと同じGCC加盟国のカタール、UAEはそれぞれ2.1人、1.8人であり世界平均よりも低く、米国あるいは中国並みである。前項で述べた通りカタールの人口増加率はMENAの中でオマーンに次いで二番目に高い(年率5.9%)。このことからカタールの人口増加は外国人労働力の流入による社会増であることがわかる。
一般に先進国は合計特殊出生率が低いとされる中でMENAの先進国であるイスラエルは2.9人と比較的高い。これは同国ではアラブ系の出生率が高いことに加え、宗教的な理由で超正統派ユダヤ人(通称ハレディム)の出生率が高いためと考えられる。
(アラブ諸国の平均寿命は男69歳、女73歳!)
3.主要国の平均寿命
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/2-T01.pdf参照)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/2-G05.pdf参照)
MENAで平均寿命が男女とも最も高い国はイスラエルであり、男性80歳、女性83歳であり、MENAで男性の平均寿命が80歳を超すのは同国だけである。日本の平均寿命(男性80歳、女性87歳)と比較すると、イスラエルは男性が同じであるが、女性は4歳短い。
この他MENAの主な国については、UAEが男性76歳、女性78歳である。UAEは人口の8割近くをインドなどからの外国人労働者が占めているが、平均寿命はこれら一時居住の外国人を対象とはしていないと推測される。地域の人口大国であるトルコ、エジプト及びイランの平均寿命はトルコが男性72歳、女性79歳、エジプトは男性69歳、女性73歳、イランは男性72歳、女性76歳と、トルコが最も長寿であり、エジプトは他の2か国よりもかなり平均寿命が短い。
アラブ諸国の平均寿命は男性67歳、女性71歳であり世界平均(男68歳、女72歳)より少し短い。MENA諸国で平均寿命が最も低いのはイエメンで同国の男性の平均寿命は62歳、女性は64歳であるが、MENAの中で女性の平均寿命が70歳を下回っているのはイエメンだけである。
(完)
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