2015年04月22日

減らない貿易赤字―MENA(中東・北アフリカ)の対日貿易(2014年版)(1)

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0343MenaRank10.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その10)


 中東北アフリカ諸国は英語のMiddle East & North Africaの頭文字をとってMENAと呼ばれています。MENA各国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。なおMENAの対象国は文献によって多少異なりますが、本シリーズでは下記の19の国と1機関(パレスチナ)を取り扱います。(アルファベット順)


 アルジェリア、バハレーン、エジプト、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェイト、レバノン、リビア、モロッコ、オマーン、パレスチナ自治政府、カタール、サウジアラビア、シリア、チュニジア、 トルコ、UAE(アラブ首長国連邦)、イエメン、


 これら19カ国・1機関をおおまかに分類すると、宗教的にはイスラエル(ユダヤ教)を除き、他は全てイスラム教国家でありOIC(イスラム諸国会議機構)加盟国です。なおその中でイラン、イラクはシーア派が政権政党ですが、その他の多くはスンニ派の政権国家です。また民族的にはイスラエル(ユダヤ人)、イラン(ペルシャ人)、トルコ(トルコ人)以外の国々はアラブ人の国家であり、それらの国々はアラブ連盟(Arab League)に加盟しています。つまりMENAはイスラム教スンニ派でアラブ民族の国家が多数を占める国家群と言えます。


 第10回のランキングは、財務省ホームページの貿易統計により2014年の各国と日本の輸出入を比較しました。

*財務省ホームページ:http://www.customs.go.jp/toukei/info/tsdl.htm 


1.総論:2014年の日本の貿易額
(日本とMENAの貿易は圧倒的な輸入超過)
(1)全世界、MENA、GCCとの輸出入および貿易バランス
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/10-T01Trade2014.pdf参照)
 2014年の日本の輸出額は73兆円、輸入は86兆円で輸出入合計(以下貿易)額は159兆円に達した。輸出入のバランスは13兆円の貿易赤字となっている。前年の貿易赤字は11兆円であり、大幅な輸入超過が続いている。


 MENAと日本の貿易額は輸出3.5兆円、輸入16.1兆円で差し引き13兆円の大幅赤字である。日本の輸出全体に占めるMENA向け輸出は5%弱であるのに対し、輸入は全体の19%を占めている。日本とMENAの貿易は日本の大幅な輸入超過であり、MENAの貿易赤字額は日本全体の赤字幅と同額である。これは言うまでもなく日本がMENA地域から大量の石油及びガスを輸入していることにある。特にMENAの主要貿易相手国であるGCCは輸出2.6兆円、輸入14.7兆円、貿易赤字12.1兆円となっており、GCCだけで日本の貿易赤字とほぼ同じ水準である。


(2)GCC, MENA、中国および米国との輸出入
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/10-G01Trade2014.pdf参照)
 MENA及びGCCの貿易額を中国及び米国と比較すると、中国の貿易額は33兆円、米国は21兆円である。MENAの貿易額は20兆円であり米国とほぼ同等、中国の約6割である。しかしその内訳をみるとMENAは輸入が輸出の4.6倍に対し、中国は1.4倍にすぎず貿易赤字の幅が大きく異なる。GCCの場合は輸入と輸出の比率がほぼ6:1の割合で貿易バランスはやはり厳しい。また米国は輸出13.6兆円、輸入7.5兆円であり、MENAとは逆に6.1兆円の貿易黒字である。


(続く)


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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp



drecom_ocin_japan at 08:55コメント(0)トラックバック(0) 

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