2015年10月02日
拡大する世界のイスラム経済―Global Islamic Economy 2014-2015 Report解説(１)
(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
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(続く)
本稿では報告書に基づいて世界のイスラム経済の規模の現状と将来の見通し、GIEDによる各国のランク並びに６分野それぞれの市場規模について解説を試みる。
報告書は全文２９８ページから成っており、イスラム経済の６つの主要分野―(1)Halal Food(ハラール食品)、(2)Islamic Finance(イスラム金融)、(3)Travel(旅行・観光業)、(4)Fashion(ファッション)、(5)Media & Recreation(メディア及び娯楽)、(6)Pharma & Cosmetics(医薬及び美容化粧品)―について分野ごとの市場規模、ビジネス動向等について解説、また専門家のコメントもある。調査の対象国はイスラム圏だけでなく、イスラム経済に対する非イスラム国の取り組みなどについても触れており、例えば旅行分野では日本についても言及している(報告書１３２ページ)。そしてGlobal Islamic Economy Indicator(GIED)と呼ばれる独自の指標で世界のイスラム経済の健全性を各国別にランク付けしている。
これらイスラム経済に関する包括的な報告書「State of the Global Islamic Economy, 2014-2015 Report」がインターネット上に公表された（＊）。報告書は昨年初めて発行され、今回が２回目である。スポンサーはドバイ首長国であり、Thomson Reuters社及びDinarStandard社が作成を担当している。
URL: http://www.flandersinvestmentandtrade.com/export/sites/trade/files/news/342150121095027/342150121095027_1.pdf
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0358GlobalIslamicEconomy.pdf
１．Global Islamic Economy 2014-2015 Reportについて
イスラム経済の規模が急速に拡大している。世界のムスリム(イスラム信者)が消費する支出の総額は２０１４年の１．８兆ドルから２０２０年には１．４倍の２．６兆ドルに達すると見込まれているが、イスラム経済はイスラム金融の他にハラール（アラビア語で「許されたもの」の意）タイプの食品、観光、ファッション、医薬・化粧品等々多岐にわたっている。
