2015年10月31日

世界主要国とMENAのGDP成長率・一人当たりGDP(IMF 2015年10月版)(2)

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0359ImfWeoOct2015.pdf

(6か月前より下方修正された今年と来年の成長率!)
2.前回(2015年4月)と今回(2015年10月)の比較
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-B-2-08.pdf参照)
(1) 世界および主要地域・国
 上述のとおり今回(WEO2015Oct)の成長率の見通しは今年(2015年)が3.1%であり、来年(2016年)は3.6%である。これに対して6か月前の前回(WEO2015Apr)の見通しでは2015年が3.5%、2016年は3.8%である。今年の成長率は0.4ポイント、また来年のそれは0.2ポイントいずれも下方修正されている。つまり2015年から2016年にかけて成長が高まるとの見通しに変わりはないが、加速の度合いが鈍っている。IMFは世界経済の回復が遅れると予測しているようである。


 主な国別に見ると中国は前回と変わらないが、日本、米国を含めた国々はいずれも下方修正されている。即ち日本の場合2015年の成長率は前回の1.0%から今回は0.6%に下がっており、2016年についても1.2%から1.0%に下方修正されている。また米国も今年は3.1%→2.6%に、来年も3.1%→2.8%とされている。ドイツ(2015年:1.6%→1.5%、2016年:1.7%→1.6%)、インド(2015年:7.5%→7.3%、2016年は変わらず)、韓国(2015年:3.3%→2.7%、2016年:3.5%→3.2%)も同様に成長率は低下すると予測している。ロシアの場合は、今年の成長率(▲3.8%)の見通しは変わらないが来年の見通しは今年4月の▲1.1%から今回は▲0.6%とわずかながら改善の兆候が見られる。


(2)MENA諸国
 MENA地域の成長率は2015年が前回の2.7%から2.5%に下方修正されたのに対して、来年は3.7%から3.9%に上方修正されている。MENA諸国の中で今年、来年とも成長率を上方に修正したのはイランとバハレーンの2か国だけである。イランは今年の成長率は0.6%→0.8%と小幅にアップしており、来年については1.3%から4.4%へ大幅に上方修正されている。


 その他の国は今年または来年のいずれかの成長率が前回4月よりアップ、またはダウンするか、あるいは両年共に下方修正している。たとえばリビアの場合は2015年は前回より10.7ポイント下がり(4.6%→▲6.1%)、来年も15.7ポイント(17.7%→2.0%)とそれぞれ大幅に下がっている。このような例は極端としても、カタールも2015年:7.1%→4.7%、2016年:6.5%→4.9%にそれぞれ下がっており、UAEも2015年:3.2%→3.0%、2016年:3.2%→3.1%とわずかではあるが経済成長率が鈍化する見込みである。石油・天然ガス価格の低迷がこれまで好調であった産油国経済に影を落としているようである。


(続く)


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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp




drecom_ocin_japan at 17:13コメント(0)トラックバック(0) 

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