2015年11月12日

MENA(中東・北アフリカ) 諸国の「世界競争力ランキング」(2015-2016年版)(3)

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0361MenaRank15.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その15)


3.過去5回の順位の推移
3-1 MENA各国の順位の変遷(第11回~第15回)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/15-T02.pdf 参照)
 第11回(2011-2012年)から第15回(2015-2016年)までの競争力ランクの推移を見ると、カタールは前回を除き5回中4回はMENAトップを占めており、また世界順位も10位台の前半を維持している。UAEの世界順位は第11回の27位以降24位→19位→12位へと毎回大きく躍進、前回はカタールを抜いてMENAトップとなった。今回は17位に落ちたものの世界20位以内が定着したと考えられる。


 サウジアラビアは第13回まではUAEを上回る順位であったが、過去5年間は17位→18位→20位→24位→25位と最近は20位台に定着した感がある。カタール、UAE及びサウジアラビアはいずれも湾岸の有力産油(ガス)国であり、近年石油・天然ガス価格が高水準で推移しているため豊かな財政力にものを言わせて産業基盤の整備、外資誘致などに積極的であり競争力の評価が高まっていると言えよう。その他のGCC3カ国のうちクウェイト及びバハレーンは5年間を通じて常に世界50位以内に入っており、オマーンも今回こそ62位に落ちたがそれまでは30位~40位であった。


 MENAの大国であるトルコ、イランおよびエジプトの3カ国を比較すると、第11回(2011-2012年)はトルコ59位、イラン62位、エジプト94位であった。トルコはその後43位→44位→45位→51位とほぼ世界の50位以内を維持している。これに対してイランは第12回までは60位台を維持していたが、その後の2回は80位台に落ち今回は72位に戻るなどかなり振幅が激しい。エジプトの場合は第11回の94位から第12回以降は世界100位以下に転落しここ3年間は110位台後半にとどまっている。「アラブの春」以降政局が安定せず、最近ようやく落ち着きを取り戻しつつあるように見えるが、軍事政権に対する評価を含め外国が見るエジプトの対外競争力の評価は極めて厳しいと言うべきであろう。


 「アラブの春」のきっかけとなったチュニジアは政変直後の第11回(2011-2012年)は40位であったものの、第12回は評価対象外とされ、評価が再開された前々回以降は83位→87位→92位世界の下位グループに落ち、しかも年々競争力順位が下がっている。


 MENA諸国はここ数年競争力順位を下げた国が多く、世界におけるMENAの平均順位も第11回の58位から62位→66位→67位と昨年までは毎年下がっている。今回は58位にアップしているが、これは世界ランクが低いリビア、イエメン、シリアが評価対象外となっていることが影響したものであり、実質的には60位台後半程度と見られる。


(続く)


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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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drecom_ocin_japan at 16:31コメント(0)トラックバック(0) 

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