2015年11月16日
MENA(中東・北アフリカ) 諸国の「世界競争力ランキング」(2015-2016年版)(4)
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
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(続く)
エジプトは「中東の春」によるムバラク軍事独裁政権からムルシ・イスラム主義政権へ、さらにシーシ軍事政権に逆戻りし、その間経済が大きく停滞したが昨年から漸く安定に向かっている。これに対してトルコは中東の優等生として高い経済成長を誇ってきたが、最近では与党の強権体制で経済が停滞気味である他、隣国シリアの混乱あるいは国内ではクルド問題等を抱えていることで欧米諸国に警戒感が生まれている。
トルコとエジプトはここ5年間明暗を分けている。第11回(2010-2011年)の順位はトルコ59位、エジプト94位であったが、トルコはその後59位→43位→44位→45位と安定している。一方のエジプトは第11回の94位以降、107位→118位→119位と順位を下げ100位以下が定着した感があり、トルコとの差は年々大きくなっている。但し今回はトルコが順位を51位に下げたのに対し、エジプトは116位と上げており、両国の格差はわずかながら縮まっている。
サウジアラビアは5年間を通じて第11回(2011-2012年)の17位をピークとしてその後は連続して順位を下げており今回は25位にとどまり、競争力に陰りが見えている。これに対して中国は26位→29位→29位→28位→28位とコンスタントに20位台の後半であり、サウジアラビアと中国のランク差は縮小している。
3-2 主要3カ国と米国・日本・中国の比較
MENAの経済大国であるサウジアラビア、トルコ、エジプト3カ国と米国、日本、中国の過去5回の競争力順位を比べてみる。
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/15-G01.pdf 参照)
米国の第11回(2011-12年)の順位は世界5位であったが、5年間の順位は5位→7位→5位→3位→3位と第12回(2012-13年)に一旦7位まで下がった後は連続して順位を上げ前回と今回はベスト・スリーになっている。日本は9位→10位→9位→6位→6位と5年連続してベスト10に入っており、コンスタントに高いランクにいる。日米がともに最近順位を上げているのは、EU諸国の競争力が相対的に低下しているためと考えられる。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0361MenaRank15.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その15)