2015年11月18日

MENA(中東・北アフリカ) 諸国の「世界競争力ランキング」(2015-2016年版)(6)

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0361MenaRank15.pdf

(MENAなんでもランキング・シリーズ その15)


4.MENAの分野別競争力(続き)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/15-T03.pdf 参照)
(7) 労働市場効率(Labor market efficiency)
 世界11位のUAEがMENAトップである。カタール(世界14位)、バハレーン(同24位)がこれに続いている。MENAのこの分野における世界順位は概して低く、イラン(138位)、エジプト(137位)、アルジェリア(135位)、チュニジア(133位)など世界140カ国の中でも最低クラスの国が多い。このためMENAの平均順位は90位であり12の指標の中では最も低い。
(参考:米国4位、日本21位、中国37位)
 
(8)金融市場の開発度(Financial market development)
 MENAではカタールが最も洗練された金融市場と評価されており世界13位である。そのほかではUAE(世界20位)、イスラエル(26位)などが世界競争力の高い国とされている。金融活動が活発なバハレーンは33位である。
(参考:米国5位、日本19位、中国54位)
 
(9)技術的即応性(Technological readiness)
 この分野では世界ランク20位のイスラエルがMENAトップである。続いてUAE(世界30位)、カタール(同31位)、バハレーン(34位)、サウジアラビア(42位)と続いている。一方、エジプト及びイランは各々98位、99位であり、アルジェリアはMENA15カ国中では最も低い126位である。
(参考:米国17位、日本19位、中国74位)
 
(10)市場規模(Market size)
 市場規模の競争力ランクではトルコが世界16位、サウジアラビア17位、イラン19位、エジプトが24位である。この指標は人口規模と密接に関係しており、MENAの人口大国が上位に並んでいる。これに対してカタール(56位)、クウェイト(58位)など人口が少ない湾岸産油国は一人当たりの購買力は高いが市場規模での競争力は高くない。
(参考:米国2位、中国1位、日本4位)
 
(11)ビジネスの洗練度(Business sophistication)
 カタールがMENA1位(世界10位)であり、これに続くのがUAE(15位)、イスラエル(23位)、サウジアラビア(29位)である。一方、イラン(110位)のように経済制裁を受けている国は、欧米の経営ノウハウの流入が遅れており、洗練度が低く競争力は見劣りすると評価されている。
(参考:日本2位、米国4位、中国38位)
 
(12)イノベーション(Innovation)
 イスラエルは世界3位であり、技術先進国としての評価が定着している。同国に次ぐMENA2位はカタール(世界14位)、以下UAE(26位)、サウジアラビア(34位)であり、MENA1位のイスラエルと3位以下の格差は大きい。またオマーン、クウェイト、チュニジア、アルジェリア、エジプトなど100位以下の国も少なくない。アラブ諸国はイノベーション分野では後進地域と見なされているようである。
(参考:日本5位、米国4位、中国31位)
 
(続く)


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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp




drecom_ocin_japan at 09:05コメント(0)トラックバック(0) 

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