2015年11月23日
年々悪化するMENAのビジネス環境-MENA(中東・北アフリカ)の「ビジネス環境」(2016年版)(2)
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0362MenaRank13.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その13)
2.二年連続で大幅にダウンしたサウジアラビア
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/13-T01.pdf 参照)
MENA諸国の中でビジネス環境が最も良いのはUAEで世界順位は31位であり昨年(22位)よりも9ランク下がっている。同国の順位は日本(34位)とほぼ同等である。UAEはMENAの中でも比較的に順位が高く、UAEに続くのはイスラエル53位、トルコ55位、バハレーン65位、カタール68位である。前回と比べた場合トルコだけは横滑りであるがその他3か国は12乃至18ポイントと大幅に順位が下がっている。その他オマーン(世界70位)、チュニジア(同74位)、モロッコ(同75位)、サウジアラビア(同82位)が世界189か国の上位グループに入っている。なおサウジアラビアは昨年の世界49位、MENA3位から今回はそれぞれ82位、9位と大幅にランクが落ちている。
上記以外のMENA11カ国、1組織(パレスチナ自治政府)はビジネス環境としては世界の100位以下にとどまっている。それらを順に列挙すればクウェイト(世界101位)、ヨルダン(同113位)、イラン(同118位)、レバノン(同123位)、パレスチナ自治政府(同129位)、エジプト(同131位)、イラク(同161位)、アルジェリア(同163位)、イエメン(同170位)、シリア(同175位)、リビア(同188位)であり、リビアは世界最下位のエリトリアをわずかに上回るに過ぎない。ちなみにMENAの世界平均順位は107位であり昨年の98位から大きく後退している。またUAE、イスラエル、トルコなどの上位グループとイラク、アルジェリア、イエメン、シリア、リビアなど下位グループとの格差は大きい。イラク、アルジェリア及びリビアはUAE、カタール、サウジアラビアと同様産油国であるが内戦状態のシリア、イエメンと並びビジネス環境評価は極めて厳しい。
本調査では世界1位は昨年に引き続きシンガポールとされ、韓国が4位、そして米国は7位に入っている。日本は世界34位でありMENAのUAEとほぼ同等であるが韓国との格差は大きい。因みに中国は世界84位で調査対象189カ国中では中位よりやや上に位置し、MENA諸国と比べるとサウジアラビア(82位)とほぼ並んでいる。
(続く)
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