2015年11月25日
年々悪化するMENAのビジネス環境-MENA(中東・北アフリカ)の「ビジネス環境」(2016年版)(4)
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0362MenaRank13.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その13)
3.調査項目毎のランク(続き)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/13-T02.pdf参照)
(6)Protecting Investors(投資家保護)
MENAで投資家が最も確実に保護されているのはイスラエルで同国の世界ランクは第8位である。これに続くのがトルコ(世界ランク20位)、UAE(49位)、クウェイト(66位)である。これに対しランクが低いのはヨルダン(163位)、アルジェリア(174位)、リビア(188位)などである。UAE、クウェイトと同じGCC加盟国のカタール及びオマーンはそれぞれ122位及び134位にとどまっている。
(参考:日本36位、米国35位、韓国8位、中国134位)
(7)Paying Taxes(徴税)
この項目ではUAE及びカタールが共に世界1位、サウジアラビアが3位であり世界のベスト3を独占している。さらにバハレーン(8位)、オマーン(10位)、クウェイト(11位)などGCC6カ国が世界の上位に名を連ねている。GCC各国では個人所得税が免除されているほか法人税も非常に低い。この点がビジネス環境として高く評価されているようである。なおこの項目のMENAの世界平均順位は71位であり10項目の中では最も順位が高い。但し一方ではイラン(123位)、エジプト(151位)、アルジェリア(169位)など税負担のレベルが高い国がある。MENAは一部の産油国とその他の国で徴税レベルの格差が大きい。因みにこの項目の日本の世界順位は121位であり課税水準が高いことを示している。
(参考:日本121位、米国53位、韓国29位、中国132位)
(8)Enforcing Contracts(契約強制力)
この項目のトップはUAE(世界18位、以下同じ)で、これに次ぐのがトルコ(36位)、クウェイト(58位)、モロッコ(59位)、イラン(62位)の各国である。この分野のMENA各国の評価は総合順位とかなり異なっている。GCC各国は上記UAE、クウェイトの他、オマーン(70位)、サウジアラビア(86位)、バハレーン(101位)、カタール(112位)となっている。
(参考:日本51位、米国21位、韓国2位、中国7位)
(9)Trading Across Borders(通関)
事業用の資本財を輸入し、或いは完成した製品を輸出するためには税関手続きが簡単であることが望ましい。この分野でMENAで世界順位が最も高い国はヨルダンの50位であり、次いでイスラエル(58位)、UAE(62位)、オマーン(69位)となっている。評価が低いのはアルジェリア(176位)イラク(178位)でありイエメンは世界最低順位(189位)である。
(参考:日本52位、米国34位、韓国31位、中国56位)
(10)Resolving Insolvency(清算)
事業の撤退を決断した場合、清算手続きをスムーズに行う必要があり、起業(項目1参照)と同様外国投資家にとっては重要な要素である。この面ではイスラエルが世界29位でMENA地域では最も高い評価を得ている。これに続くのがカタール(世界51位、以下同じ)、チュニジア(57位)である。
これに対しサウジアラビア、イラク、リビア及びパレスチナ自治政府は世界最下位(189位)である。またイラン(140位)、エジプト(119位)なども世界ランクが低く、UAEも91位であり評価はかなり厳しい。
(参考:日本2位、米国5位、韓国4位、中国55位)
(続く)
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