2016年04月28日
世界主要国とMENAのGDP成長率 ・ 一人当たりGDP(IMF 2016年4月版)(1)
(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0375ImfWeoApr2016.pdf
IMF(国際通貨基金)では毎年4月および10月に世界各国の経済見通し「World Economic Outlook Database (WEO)」を発表しており、今年4月版(以下WEO2016Apr)がインターネット上に公開された。
*URL: http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2016/01/weodata/index.aspx
この中にはGDP成長率、ドル建て・各国通貨建てのGDP金額、一人当たりGDP、貿易額、財政収支など数多くのデータがあり、特に当年度或いは次年度の経済成長率は官庁、メディア等々で広く引用されている。
ここでは2013年から2017年までのGDP総額及び一人当たりGDP(いずれもcurrent price, ドル建て)を取り上げ、また成長率については前回の2015年10月版(以下WEO2015Oct)と比較して世界主要国およびMENA諸国の経済状況の変化を検証する。
(日本だけが取り残され来年はマイナス成長の見込み!)
1.2016/17年の経済成長率
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-B-2-08.pdf参照)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-B-2-01.pdf参照)
(1) 世界および主要地域・国の経済成長率
IMFは今年(2016年)の世界の経済成長率を3.2%と見ており、来年(2017年)は今年よりも高い3.5%と予測している。地域別に見てもEUは今年の1.5%が来年は1.6%、ASEAN5か国も4.8%から5.1%へと上向く見通しを示している。国別に見ても今年より来年の成長率が高い国が多く、米国は2.4%→2.5%、ドイツは1.5%→1.6%といずれもわずかながら成長率が上がるとされ、また韓国も2.7%→2.9%に上向くと予測している。これに対して日本と中国は今年よりも来年の成長率が低下すると予測しており、中国は6.5%→6.2%に低下、特に日本の場合は0.5%→マイナス0.1%と他に例を見ないマイナス成長になると見込んでいる。ロシアの予測が今年のマイナス成長から(-1.8%)から来年はプラス0.8%に改善するのとは対照的である。
(2)MENA諸国の経済成長率
IMFによれば今年のMENA(中東北アフリカ地域)の成長率は3.1%であり、来年は今年を上回る3.5%と見込んでいる。国別にみるとリビアがマイナス2.0%(‘16年)からプラス12.2%(‘17年)と大幅な上昇を予測しており、イエメンも0.7%→11.9%と見込まれている。但しリビアもイエメンも現在内戦状態で経済が深刻な状況である。IMFはこのような状況が変化すると見込んでいるようであるが、改善はかなり難しいであろう。
MENAの大国であるトルコ、イランおよびエジプトの今年・来年の成長率はトルコが3.8%→3.4%、イランは4.0%→3.7%、エジプトは3.3%→4.3%でありエジプトは好転すると予測されているが、トルコとイランは成長率が落ち込む見通しである。産油国のサウジアラビアは今年の1.2%から来年は1.9%に回復すると見込まれ、GCC6か国の平均でも今年の2.2%が来年は2.4%に上向く見通しである。歳入のほとんどを石油・天然ガスに依存しているGCC諸国は一昨年以降の価格急落により成長率が急速に落ち込んだが、IMFではGCC諸国が今年から来年にかけては低成長ながらも上向くと予測している。
(続く)
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