2016年05月21日
油価急落で中東からの輸入額が急減―MENA(中東・北アフリカ)の対日貿易(2015年版)(3)
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0378MenaRank10.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その10)
2.MENAと日本の2015年の輸出入(続き)
(小国UAEが最大の輸出相手国。理由はドバイから周辺諸国への再輸出!)
(2)日本からの輸出
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/10-T03.pdf参照)
2015年の日本の輸出総額は76兆円であったが、そのうちMENA諸国への輸出は3.7兆円であり全体に占める割合は4.8%である。輸入に占める割合が12.5%であることに比べかなり低い。日本とMENAの貿易は日本の大幅な輸入超過という片貿易である。
国別にみるとMENAで日本の輸出が最も多いのはUAEの1兆500億円であり、これに次ぐのがサウジアラビアの8,260億円である。UAEの人口は外国人を含め940万人であり、サウジアラビア(2,940万人)の3分の1以下であるにもかかわらず[1]、輸出額では両国が逆転している。UAEはドバイの自由貿易港を通じたGCC、東アフリカ、中央アジア等の国々への再輸出が多いためである。
UAE、サウジアラビアに次ぐ日本からの輸出第3位はオマーンであるが、その輸出額は3,900億円であり両国と大きな開きがある。4位以下はトルコ(2,620億円)、クウェイト(2,260億円)、カタール(1,870億円)、エジプト(1,550億円)、イスラエル(1,410億円)、バハレーン(1,070億円)と続き10位のヨルダン以下は輸出額1,000億円未満である。ちなみに中国向け輸出は13兆円、米国向け輸出は15兆円で全世界向け輸出に占める割合はそれぞれ18%および20%であり、MENA諸国向け輸出額の4~5倍である。
昨年の輸出額と比較すると日本全体では3.4%増であり、MENA地域向けも5.9%と世界平均を上回る伸びである。輸出額1,2位のUAE及びサウジアラビアの増加率はそれぞれ4.2%および2.6%であった。増加率が高かったのはモロッコ(+64%)レバノン(+48%)、ヨルダン(+35%)の各国である。一方輸出額が前年に比べて大きく落ち込んだのはリビア、イエメン(共に71%減)及びアルジェリア(26%減)の3か国であった。
(続く)
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[1] MENAランクシリーズ2「MENA諸国の人口・出生率・平均寿命(世界人口白書2014年版)」参照。http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0340MenaRank2.pdf