2016年05月23日
油価急落で中東からの輸入額が急減―MENA(中東・北アフリカ)の対日貿易(2015年版)(4)
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0378MenaRank10.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その10)
2.MENAと日本の2015年の輸出入(続き)
(石油・LNGの輸入で日本の輸入超過6兆円!)
(3)輸出入バランス
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/10-T01.pdf参照)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/10-G02.pdf参照)
MENA全体の輸出入の差額、貿易バランスは6.2兆円の大幅な日本の輸入超過である。これは言うまでもなく石油或いは天然ガスの輸入によるものであり、特にサウジアラビア(-2.2兆円)、UAEおよびカタール(各-1.8兆円)、クウェイト(-5,500億円)並びにイラン(-3,600億円)の産油(ガス)5カ国に対する輸入超過額が大きい。5カ国の輸入超過合計額(6.7兆円)だけでMENA全体に匹敵する金額である。但し日本のMENAとの輸入超過額は昨年の12.6兆円から大幅に改善している。これは原油・天然ガスの価格がこの間に大幅に下がり金額ベースの輸入額が大幅に下がったためである。
一方日本の輸出超過となっている国はトルコ、エジプトなど8カ国1機関である。いずれも超過額は輸入に比べて少ないが、比較的金額が大きいのはオマーン(2,070億円)、トルコ(1,860億円)、エジプト(1,370億円)などである。
因みに中国は6.2兆円の輸入超過でほぼMENA全体と同じであり、米国は逆に7.2兆円の大幅な輸出超過となっている。
輸出入バランスを2014年と比較すると、全体では2014年の12.8兆円の輸入超過から2015年には2.8兆円と大幅に改善している。日本とMENA諸国の貿易バランスも2014年の-12.7兆円が2015年には-6.2兆円に半減している。石油・天然ガスの価格の急落、為替が円安傾向になっておりエネルギーの主要供給先であるサウジ、UAEなどがドル固定相場制であることなどの各種要因が重なった結果、MENA諸国の貿易バランスが大きく改善されたものと言えよう。
(続く)
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