2016年06月07日
前年を下回る給与水準:湾岸諸国で働く外国人の賃金相場 (5完)
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0379GccSalarySurvey2016.pdf
5.2014年~2016年の給与の増減(続き)
(2年連続でアップしたアラブ圏出身者、西欧圏・アジア圏出身者は今年ダウン!)
(2)出身地域別の給与比較
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-I-1-05.pdf参照)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-I-1-07.pdf参照)
過去3カ年にわたり出身地域別の給与の推移を見ると、アラブ圏出身者の平均給与は連続してアップしており、これに対して西欧圏出身者とアジア圏出身者の給与は2015年に給与アップした後、今年は対前年比でダウンしている。
出身圏別の平均給与の推移は以下の通りである。
2014年 2015年 2016年
西欧圏出身者 12,385ドル 12,478ドル 12,351ドル
アラブ圏出身者 11,117 11,638 11,787
アジア圏出身者 8,673 9,518 9,231
3圏平均 10,611 10,392 11,211
上記の通り平均給与は常に西欧圏出身者が最も高く、次いでアラブ圏出身者であり、最も低いのはアジア圏出身者である。西欧圏出身者を100とした場合の3者の給与格差は2014年にはアラブ圏=98、アジア圏=76であったものが、2015年にはアラブ圏=93、アジア圏=76、2016年にはアラブ圏=95、アジア圏=75となっている。アラブ圏出身者と西欧圏出身者は2014年から2015年にかけて給与格差が拡大したが今回は見直されている。アジア圏出身者の給与は3年間を通じて西欧圏出身者の4分の3であり格差は変わらない。
給与の対前年アップ/ダウン率は西欧圏出身者の場合2015年は+9.6%、2016年は-1%であり、アラブ圏出身者は+4.7%、+1.3%と連続してアップしている。アジア圏出身者は2015年は+9.7%の給与アップで3圏の中では最も高く、2016年は-3%と最も落ち込みが大きい。3圏平均では昨年は+7.9%であり、今年は-0.8%である。
完
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp