2016年06月14日
IS(イスラム国)の黒い影:MENA(中東・北アフリカ)諸国の世界平和指数(2015年版)(3)
(注)本レポートは「マイライブラリ(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0380MenaRank12.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その12)
(平和が脅かされるMENA地域、王制国家が軒並み悪化!)
3.2014年と2015年の比較
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/12-T02.pdf 参照)
今回と昨年の平和指数、世界ランク及びMENA各国間のランクの変動を比較してみると、まずMENA19カ国平均の指数スコアは昨年の2.309に対して今年は2.336であり0.026ポイント悪化している。またMENA平均の世界ランクも昨年の103位から今回は108位に落ちている。MENAは過去1年間に平和が脅かされる状況が深刻化していると言えよう。
国別で見るとMENA19カ国のうち世界順位を上げた国は7カ国、下がった国10カ国、変わらなかった国2カ国であり、世界順位が落ちた国のほうが多い。順位を大きく下げたのはモロッコであり昨年の63位から今年は86位へと一挙に23位も落ち、世界162か国の上位グループから下位グループに転落している。
リビアも133位から149位へとランクが16下がり、またサウジアラビア、ヨルダンおよびオマーンもそれぞれランクを15下げている。リビアは内戦状態が続き平和の度合いが下がったのはうなずけるが、モロッコ、サウジアラビア、ヨルダンおよびオマーンは過去一年間に特に平和が脅かされるような顕著な事件は起こっていない。これら4か国はいずれも絶対王制国家であることが特徴である。2011年の「アラブの春」ではこれら王政国家は共和制国家に比べ平和度が高いと評価されており、ここにきて見直しの機運が出てきたように見受けられる。その背景にはIS(イスラム国)の黒い影がうかがわれる。
一方最も順位を上げた国はアルジェリアで、同国は昨年の114位から104位へ10ランク挙げている。その他エジプト(143位→137位)、クウェイト(37位→33位)、バハレーン(111位→107位)もわずかながら世界順位がアップしている。なおトルコ及びイランの2か国は昨年に比べ平和指数が良くなったにもかかわらず世界順位は下がっている。両国の世界ランクは130位台後半であり、同じ程度の国々の地位が上がったのに比べ見劣りする結果になっている。
MENA内部での順位は昨年と比較して殆ど変わらず、上位5か国の順位は昨年通りである。目立って順位を下げたのはリビアであり、同国は昨年のMENA13位から今回は17位でシリア、イラクに次いで低い。シリアとイラクは今年も最も低く、世界162カ国中でシリアは最下位の162位、イラクは161位である。
(続く)
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