2016年10月13日
明暗分けたGCC、UAE以外はランク下がる:世界競争力ランキング(2016-2017年版)(3)
(注)本シリーズは「マイライブラリ(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0390MenaRank15.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その15)
3.過去5回の順位の推移
3-1 MENA各国の順位の変遷(第12回~第16回)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/15-T02.pdf 参照)
第12回(2012-2013年)から第16回(2016-2017年)までの競争力ランクの推移を見ると、第13回以降はUAEとカタールが常に20位以内に入っており、また両国は毎年トップが入れ替わっている。
この両国に続き20位台で競い合っているのがイスラエルとサウジアラビアである。イスラエルは第12回が26位でその後3年間は27位であったが、今回24位に上がりサウジアラビアを追い抜いた。サウジアラビアはかつて第12回(2012-2013年)ではUAEよりも上位でカタールに次いで世界18位であったがその後は毎年少しずつ順位を下げ今回は世界29位である。同国は石油価格の下落で財政状況が厳しい。現在石油依存の体質を変革する経済改革計画ビジョン2030に着手したところであるが、当面は競争力の低下は免れず、世界順位が今後さらに落ち込む恐れがある。その他のGCC3カ国のうちクウェイト及びバハレーンは5年間を通じて常に世界50位以内に入っており、オマーンだけが前々回までは30~40位台であったが、前回、今回と60位台に落ちている。
MENAの大国であるトルコ、イランおよびエジプトの3カ国を比較すると、第12回(2012-2013年)はトルコ43位、イラン66位、エジプト107位であった。トルコはその後44位→45位→51位→55位と世界の50位前後を維持している。これに対してイランは第12回は66位であったが、その後の2回は80位台に落ち前回、今回と70位台に戻るなど振幅が激しい。エジプトの場合は第12回以降常に100位以下であり、最近では110位台後半にとどまっているものの、政局が落ち着きを取り戻し順位は上向き傾向にある。
「アラブの春」のきっかけとなったチュニジアは政変後の第12回(2012-2013年)は評価対象外とされ、評価が再開された13回以降は83位→87位→92位→95位と世界の下位グループに停滞し、しかも年々競争力順位が下がっている。
MENA諸国はここ数年競争力順位を下げた国が多く、世界におけるMENAの平均順位も第12回の62位から66位→67位と下がっている。前回の第15回は世界58位に上がり、今回再び65位に下がっているが、これは前回評価対象外となった世界最下位レベルのイエメンが今回再び評価対象となったことが影響したものである。
(続く)
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