2016年10月25日
世界主要国とMENAのGDP成長率 ・ 一人当たりGDP(IMF 2016年10月版)(2)
(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0391ImfWeoOct2016.pdf
(前回より下方修正された今年と来年の成長率!)
2.前回(2016年4月)と今回(2016年10月)の比較
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-B-2-08.pdf参照)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-B-2-01.pdf参照)
(1) 世界および主要地域・国
上述のとおり今回(WEO2016Oct)の全世界の成長率見通しは今年(2016年)が3.1%であり、来年(2017年)は3.4%である。これに対して前回(WEO2014Apr)の見通しでは2016年が3.2%、2017年は3.5%であり、いずれも前回よりわずかではあるが0.1%下方修正されている。つまり2016年から2017年にかけて成長が高まるとの見通しに変わりはないが、加速の度合いが鈍っている。IMFは世界経済の回復が遅れると予測しているようである。
今年の見通しについて国・地域毎に見ると、米国以外の地域・国は前回よりわずかながらも上方修正されている。例えばEUは1.5%→1.9%と0.4%上方修正されており、ドイツも1.5%→1.7%に修正されている。中国、韓国及びASEAN-5は+0.1%、インドは+0.2%である。これに対して米国の今年の成長率は前回の2.4%から今回は1.6%に下がっている。日本は前回の据え置き(+0.5%)である。
2017年の成長率はアップした国とダウンした国・地域がほぼ半々である。成長率を上方修正した国・地域の中では日本が-0.1%→+0.6%とプラス成長に見直されている。またロシア、韓国、インドもそれぞれ+0.3%、+02%。+0.1%と上方修正されている。中国の2017年成長率は6.2%で前回4月と変わらない。一方米国は2.5%(4月見通し)→2.2%(今回10月見通し)と下方修正されており、ドイツも+1.6%→+1.4%と成長率は下がる見通しである。とは言え米国の場合は日本、EU、ドイツと比べ成長率が高いことは特筆に値する。
(2)MENA諸国
MENA地域の成長率は2016年が前回の3.1%から3.4%に、また2017年は3.5%から3.4%に改訂されており、今年は上方修正し、来年はそれを維持すると予測している。ところがGCC6カ国については今年は2.2%→2.1%、来年は2.4%→2.5%であり、今年は落ち込み来年は回復すると見込んでいる。
国別で見ると18か国のうち今年の成長率を上方修正または現状維持とした国は6か国であり、残る12か国は下方修正している。大きく上方修正された国はエジプト(3.3%→3.8%)とイラク(7.2%→10.3%)であり、一方大幅に下方修正されたのはイエメン(+0.7%→-4.2%)、リビア(-2.0%→-3.3%)である。
来年の成長率見通しについては上方修正または現状維持とした国は8か国であり、下方修正した国は10か国とほぼ均衡している。上方修正された主な国はリビア、オマーン、モロッコ、イエメンなどであり、一方下方修正されたのはイラク、トルコなどである。
(続く)
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