2016年11月03日
急速にランクが落ちるサウジアラビア-MENA(中東・北アフリカ)の「ビジネス環境」(2017年版)(4)
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0392MenaRank13.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その13)
3.調査項目毎のランク(続き)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/areha_kazuya/13-T02.pdf参照)
(6)Protecting Investors(投資家保護)
MENAで投資家が最も確実に保護されているのはイスラエルとUAEで両国の世界ランクは第9位である。この2か国に続くのがトルコ(22位)、サウジアラビア(63位)、クウェイト(81位)である。これに対しランクが低いのアルジェリア(173位)、カタール(183位)、リビア(185位)などである。
(参考:日本53位、米国41位、韓国13位、中国123位)
(7)Paying Taxes(徴税)
この項目ではUAE及びカタールが共に世界1位、バハレーン4位、クウェイト6位でありGCCの4カ国が世界のベストテンに入っている。またオマーンも世界12位である。GCC各国では個人所得税が免除されているほか法人税も非常に低い。但し同じGCC加盟国でもサウジアラビアは69位で他の5か国よりかなり劣っている。なおこの項目のMENAの世界平均順位は74位であり10項目の中では最も順位が高い。一方でイラン(100位)、トルコ(128位)、アルジェリア(155位)、エジプト(162位)など税負担のレベルが高い国がある。MENAは一部の産油国とその他の国で徴税レベルの格差が大きい。
(参考:日本70位、米国36位、韓国23位、中国131位)
(8)Trading Across Borders(通関)
事業用の資本財を輸入し、或いは完成した製品を輸出するためには税関手続きが簡単であることが望ましい。この分野でMENAで世界順位が最も高い国はヨルダンの50位であり、次いでイスラエル(59位)、モロッコ(63位)、オマーン(67位)となっている。評価が低いのはイラン(170位)、シリア(176位)、アルジェリア(178位)、イラク(179位)、イエメン(189位)である。
(参考:日本49位、米国35位、韓国32位、中国96位)
(9)Enforcing Contracts(契約強制力)
この項目のトップはUAE(世界25位、以下同じ)で、これに次ぐのがトルコ(33位)、モロッコ(57位)、オマーン(60位)、クウェイト(66位)の各国である。この分野のMENA各国の評価は総合順位とかなり異なっている。GCC各国は上記UAE、オマーン、クウェイトの他、サウジアラビア(105位)、バハレーン(110位)、カタール(120位)となっている。
(参考:日本48位、米国20位、韓国1位、中国5位)
(10)Resolving Insolvency(清算)
事業の撤退を決断した場合、清算手続きをスムーズに行う必要があり、起業(項目1参照)と同様外国投資家にとっては重要な要素である。この面ではイスラエルが世界31位でMENA地域では最も高い評価を得ている。これに続くのがチュニジア(世界58位、以下同じ)、アルジェリア(74位)である。
これに対しサウジアラビア、イラク、リビア及びパレスチナ自治政府は169位と評価が極めて低い。またイラン(156位)、エジプト(109位)なども世界ランクが低く、UAEも104位である。この項目のMENAの世界平均順位は123位であり10項目の中では信用取得に次いで順位が低く、MENA地域の評価はかなり厳しい。
(参考:日本2位、米国5位、韓国4位、中国53位)
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp